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2002年03月28日(木) とべないぴょんた

これはのんびり村の可愛い子うさぎ達のお話です。

のんびり村は1年中とても暖かく、野菜や果物がたくさんとれる
豊かな平和な村でした。

ある日、のんびり村に三匹の可愛い可愛いうさぎが生まれました。
いっぺんに三匹も生まれたものですからうさぎのお父さんもお母さんも
それはそれは幸せでした。
一番上のうさぎはミミちゃん、二番目はハナちゃん、三番目はぴょんたくんといいました。

三人はいつも一緒に野原で草を食べたり、タンポポのかんむりを作ったりして
遊んでいました。三人とても仲がよく、小さいこうさぎ達はそれはそれは
楽しそうでした。

あるときぴょんた達に試練が下されました。のんびり村のうさぎ達にはあるしきたりがあるのです。
それは3歳になったら自分の後ろ足で力強くピョンピョン跳ぶ事だったのです。
二人のお姉さん達はなんなくその技をこなす事ができたのですが
ぴょんただけはなぜかうまく跳べないのです。

本当はピョーンピョーンって跳ばなければならないのに
ぴょんたはどこかぎこちないのです。

「ぴょこ、ぴょこ、ぴょこ」
何度練習してもうまく行きません。
お姉さん達2人はくすくす笑って言いました。

「ぴょんた、あなたうさぎのくせに跳べないなんてちょっとおかしいわね。」
「私達2人で森の奥で競争してくるから、せいぜい頑張ってね。」
今まで仲が良かったおねえさんたちにそんなふうに言われて
ぴょんたはとても悲しくなりました。
「なんで僕だけこんなふうに生まれてきちゃったんだろう。なんで僕だけ違うんだろう。」
ぴょんたのちっちゃいハートはきしきし傷みました。
そして日が暮れるまでずっとずっと練習していました。

お姉さん達が帰ってきました。
飛べなかった事、ぴょんたは2人にずっと黙っていました。
また馬鹿にされるかもしれません。

その日お母さんが作ってくれた大好物のにんじんスープも
涙がぽとぽと入って少ししょっぱい味がしました。
それになかなか喉を通りません。胸がつまりそうです。
布団の中にはいってもぴょんたはなかなか寝つけませんでした。
涙でまくらがぐっしょりぬれていました。

次の日の朝、ぴょんたはお母さんにこう言いました。

「ぼく、姉さん達みたいにうまく跳べないんだ。
 ぼく、間違って生まれてきちゃったのかもしれないんだ。
 だからちょっと旅に出てくるね。何かいい方法が見つかるかもしれないから。」

うさぎのお母さんは悲しそうな顔をしながら言いました。

「うまく飛べなくったって、ぴょんたは大事なうちの子供よ。
 大切な大切な子うさぎよ。」

お母さんのその言葉もぴょんたには届きませんでした。
ぴょんたは言いました。
「ぼく、絶対飛べるようになって帰ってくるからね。
 だから楽しみしてに待っててよ。」
精一杯の笑顔でぴょんたはうさぎののお母さんにこう告げると
「ぴょこ、ぴょこ、ぴょこ」
と歩き始めました。
ほんとの悲しい気持ちを小さな胸にそっと隠して。

どこまでも続く草原。
きれいなお花がたくさん咲いています。
お日様もぽかぽかぴょんたを照らしてくれます。

ぴょんたの心とはうらはらに、いい天気です。

風がぴょんたのホホを優しくなでていきます。
そしてしばらく歩いて行くとちょうちょさんに出会いました。

「こんにちは。ちょうちょさん。ぼく、ぴょんた。」
「あら、こんにちは。私はちょうちょのひらりよ。」
「君ってとーっても綺麗な羽を持っているんだねえ。
 レースみたいに薄くってひらひらしていていいなあ。」
「ほんと?どうもありがとう。嬉しいわ。」
「ぼくも君みたいに空を自由に飛んでみたいなあ。」
「あら、簡単よほら、こんな風に羽をパタパタ振ればいいだけよ?」
ぴょんたは一生懸命両手を振りましたがひらりのように美しく舞う事はできませんでした。
「やっぱりぼくはだめうさぎなんだ。。。」
落ちこんでいるぴょんたにひらりが言いました。
「そんなに落ちこまないで、元気出しなさいよ。
 さっき誉めてくれたお礼にちょうちょ特製の花のミツをあげるから。」
「うん。ありがとう。」

ぴょんたはひらりから貰ったビンいりの花のミツを、持っていたお気に入りの麻の
草色の袋にそっとしまいました。

そしてさよならを言ってまた
「ぴょこ、ぴょこ、ぴょこ」
と歩いて行きました。

お昼になりました。
今度はキリンのリンリン君と出会いました。
「君はいいなあ。そのなが〜い首でどんな美味しい果物でも
 食べられるんでしょう?どんな景色でも眺められるんでしょう?
 それにその体の模様とってもステキだよ
 ぼくなんて真っ白白だもん。」

りんりんは言いました。
「簡単なことだよ。ほら思いっきり首を伸ばしてごらんよ
あそこになってるりんごがきっと軽々取れるはずさ。」
ぴょんたは一生懸命首を伸ばしましたがやっぱり無理でした。
「ぼく、やっぱりだめうさぎだよ。。。」
りんりん君はやさしくなぐさめるようにこう言いました。
「きっとなんとかなるよ。いつかきっと長い首に成長するさ。
 さっき誉めてくれたお礼にこのりんごをあげるよ。」
「うん。ありがとう」

ぴょんたはりんごを袋に入れると

また
「ぴょこ、ぴょこ、ぴょこ」

と歩いて行きました。

空はもう夕焼けでオレンジ色に染まっています。

ちょっと疲れたな、と麦畑で一休みしていたらたぬきのぽんた君に出会いました。
ぽんた君は変化の真っ最中でした。
稲を頭に乗せて鳥になったり、ネズミになったり、狼になったりしています。

「君はすごいねえ。たくさんの動物に変身できるんだもの。」
ぽんたはちょっと照れながらこう言いました。
「簡単なことさ。ほら、これを頭に乗せて、くるっと一回転。
これでなんにでも化けられるさ。」
ぴょんたは稲を頭に乗せてくるっと一回転しました。
それでも化ける事はできませんでした。
ぴょんたはまた悲しくなりました。
「やっぱりぼくはだめうさぎなんだ・・・」
「そんなにがっかりしないで。ほら、さっき誉めてくれたお礼にこの
ぎっしり身の詰まった麦を上げるからさ。」
「うん。ありがとう」

両手いっぱいの麦をやっぱり麻の袋にしまいました。
ぴょんたはくたくたになっていました。
辺りはもう真っ暗です。
鈴虫の鳴き声が聞こえます。

むこうがわに目をやるとぽつりと明かりが見えました。
小さい家が立っていました。
ぴょんたは小さい手でトントン、と入り口のドアをたたきました。

そっとドアが開きました。
中からはぴょんたより少し年上のうさぎががゆっくりと出てきました。
お姉さんに少し似ているけれど、それとは違う何かをぴょんたは感じました。
「こんばんは。ぼく、こうさぎのぴょんた。旅をしていたんだけどくたくたになって疲れちゃったの。だから・・・」
ぴょんたが最後の言葉を言いきらないうちにそのうさぎのお姉さんは言いました。
「あら、そうなの?じゃあ今日は家に泊まるといいわ。
 ちょうどシチューを作っていたところなの。
 一緒に食べない?」

「どうもありがとう。ぼくくたくたで、お腹もぺこぺこなんだ。」
えへへと照れながら家の中に入ります。

暖炉にはまきがくべてあり、冷え切ったぴょんた体のを芯まで暖めてくれます。

ふと横を見ると、けいとで編んだ素敵なセーターが見えました。
きっと手先が器用な手芸が大好きなお姉さんなんだろうなってぴょんたは思いました。

そうこうしているうちに、テーブルの上には美味しそうな料理の数々が並びました。

「さあ、冷めないうちにどうぞ?」
「うん、いっただっきまーす。」
 もりもりぴょんたはごちそうにありつきます。
うさぎのお姉さんはその様子を嬉しそうににこにこしながら眺めています。
「ごちそうさま。ぼく、こんな美味しい料理食べた事ないや
 お腹もほら、満腹だよ〜。」
「そう?どうもありがとう。とっても嬉しいわ」
そう言ってうさぎのおねえさんは、ぴょんたににっこりと笑いかけました。

おねえさんは言いました。
「ちょっと早いけど、私そろそろ眠るわね。
 ぴょんた君は眠くなるまで起きてていいわよ。
 そこにわらの干草を敷いておいたから。」

ぴょんたはちょっと不思議でした。
なぜってまだ時計の針は夕方の6時半なのです。
ひょんたが眠る時間はいつも9時か8時です。
「うん、ありがとう」
そう思いながらぴょんたは窓からずっと星空を眺めていました。
吸いこまれるような空をずっと眺めているうちにぴょんたは次第に眠くなって
干草に横になりました。
そしてぐっすりと眠りました。

太陽の光がぴょんたの体をてらしました。
「まぶしいっ」
今日もいい天気です。
大きく伸びをして隣のお姉さんを見るとお姉さんはまだ眠っていました。

ぴょんたはいい事を思いつきました。
「そうだ!親切にしてくれたお礼に、おねえさんが喜ぶようなケーキを作ろう。」
おねえさんが起きない様にそっとそっとひょんたはケーキ作りを始めました。

蝶々のひらりがくれた特性のミツと
キリンのりんりんがくれた実がいったりんごと
たぬきのぽんたがくれた麦でアップルケーキを作り上げました。

ぴょんたはいつもお母さんが台所でお料理をしているのをずっと見ていたし
手伝っていたのです。
ぴょんた特性のアップルケーキができあがりました。

お姉さん喜んでくれるかな?ぴょんたはワクワクしていました。
甘酸っぱい匂いが部屋中を包みました。

「ぴょんた君、おはよう。昨日は良く眠れた?」
「うん。ぐっすり眠れたよ。それよりお姉さん、ぼくケーキ作ったんだ。
 特性アップルケーキ!!一緒に食べようよ。」
「まあ、すごいわね。じゃあ朝ご飯にしましょうか。」

ミルクと一緒にアップルパイを食べながらぴょんたはおねえさんに悩みを打ち明けました。

「ぼくね、だめうさぎなんだ。蝶々みたいに飛べないし
 キリンみたいに首が長くない。
 たぬきみたいに化ける事もできないの。
 うさぎは力強く飛ぶものでしょう?ぼく、うまく跳べないの
 だめうさぎなの。」

おねえさんはゆっくりゆっくりぴょんたの話を聞いてくれました。

「そうだったの。辛いわね。でも、ぴょんた君こんな素敵なケーキが作れるんだも
 の。ちっともだめうさぎなんかじゃないわ。」
「そうかなぁ・・・」
「そうよ!あなたはとっても賢い可愛い子うさぎよ。」
それを聞いたぴょんたはとっても嬉しくなりました。
それから昨日疑問に思っていたことをお姉さんに聞いてみました。
「ねえ、おねえさん、昨日はどうしてあんなに早く寝ちゃったの?
ぼくはいつももっと遅くに寝るよ?」

おねえさんはくすっと笑って言いました。
「私ね、体がとっても弱いのよ。だからみんなより早く寝ないと疲れちゃうし
 あんまり外にも出られないの。」
ぴょんたはそれを聞いてとてもびっくりしました。
「そうなの!?そんなの悲しすぎるよ。ぼくはこんなに元気なのに」
少し涙が出そうになりました。
「そんなに悲しそうな顔しないで。私にはね、できることがたくさんあるのよ。
 ほら、あそこのセータ。お料理だってとっても好きだし、本をよんでたら
 楽しいでしょう?」
「辛くないの?苦しくないの?」
「そうね、苦しい時も辛いときもあるわ。でも、私はとっても幸せなのよ。」
「そっか〜」
お姉さんが早く寝てしまったわけ、それからここに来た時自分のお姉さんより
何か大きなものを感じた理由がやっとわかった気が、ぴょんたにはしました。

ぴょんたのハートはなぜかぽかぽかしていました。
両手を胸に当ててそっとなでました。とくとく嬉しそうに心臓が鳴っていました。

「お姉さん、色々ありがとう。ぼく、お家に帰るね。」
「気をつけてね。寂しくなったらいつでもあそびにいらっしゃいね。」
「うん。絶対来るよ!!!」

ドアをくぐるぴょんたの顔はとっても晴れやかでした。
「ぴょこ、ぴょこ、ぴょこ」
道を歩くぴょんたの足はいつも通りでした。

それでもぴょんたはとても嬉しそうです。


どこまでも続く草原
きれいなお花がたくさん咲いています
風がぴょんたのほほをそっとなでていきます。

のんびり村は今日も相変わらず平和でのんびりした村でした。






 
 





 




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