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2002年02月04日(月) ないたあかおに

私こわいんよ。
常に怯えててさ、それがなんでなのか分からなかった。
ただただ怖かった。
みんなと一緒にいるときは楽しいからそんな事忘れてるんだけどね。
家に帰って一人になると凄い寂しくなって、なぜか怖くなる。

それが何故だか今日わかった気がする。
私、きっと大人になりたくないんだって。
大人ってさ、顔見れば大体そうなんだけど
みんなものすごく疲れた顔してるの。
今の社会がどれだけ、
どんな風に大変なのか私は体験したわけじゃないから分からないんだけど、
無言の怖さがある。

そんなに、そんなに大人になったら変わっちゃうの?
幼稚園の時みたいにキラキラした笑顔や心の温かさが消えちゃうの?
あどけない気持ちや、夢がつぶれていくの?

そしてわたしもそんな風になってしまうの???
って

すごく、すごく、すごく・・・怖くなる。

「雫、人と違った生きかたはそれなりに苦しいし大変だぞ。
何が起こっても誰のせいにもできないからな。」

宮崎監督の映画「耳をすませば」のしずくのお父さんの言葉。


「大人は大変なんだぞ」
東京に住むおじさんの言葉。

「正しい事だけ信じなさい」
家逃げをした時のタクシーの運転手さんの言葉。

みんな本当に聞こえるから
みんな本当の事だから
怖くて怖くてたまらない

今、活動できない私にとって。
友達とも接触事がないから、相談できる話相手もいない。
ずっとずっとず〜〜〜〜〜〜っと。何度も挫折を味わったし、たちあがる気力も
限界って感じで。
先の見えない将来が怖くって、その矢先に親の虐待の事思い出してしまった。
かろうじて生きてるって感じなのに、マジでどうしていいか分からなくなった。
こんな悪魔みたいな親と一生住むくらいなら死んだほうがまし・・・
そのくらい思いつめてた。
そう!思いつめて思いつめていっぱいいっぱいだった。



*あかおにくん
にんげんたちと なかよく まじめに つきあって
いつも たのしく くらしなさい
ぼくは しばらく きみとおわかれ。
このやまを でてゆくことを きめました。
きみと ぼくと いったりきたり して いては、
にんげんたちは きになって、おちつかないかもしれません
そうかんがえて たびに でる ことにしました
ながいたび とおい たび、けれども、ぼくは、
どこにいようと、 きみをおもっているでしょう。
きみの だいじな しあわせを いつもいのって
いるでしょう。
さようなら、きみ、からだを だいじにしてください
どこまでも きみのともだち 

あおおに




*あかおには だまってそれをよみました
三ども四どもよみました
「ああ、あおおにくん きみは そんなに 
ぼくをおもってくれるのか。」
いわのとに りょうてをあてて
あかおには かおをおしつけ
たらたらと なみだをながして なきました 



私、苦しかったんだ。
「現実社会」に嫌と言うほ気づいてしまって。
あたしの夢も、希望も、ちりみたいに消えちゃって
生きてるのか、死んでいるのかそれを考える気力すら残っていないほど
糸がこすれあって切れる寸前・・いや、切れてた。

だから、だから、安心できる居場所が欲しくって
必死に探したんだ。

誰かに「大丈夫だよ、もう十分生きたから、たくさん苦しかったから
ゆっくりゆっくり休んで良いよ。もうなにもしなくてもいいよ。」

きっとそう言ってもらいたかったんだと思う。

警察に行った。専門の相談員の人がいた。
精神科の主治医に話した。聞いてもくれなかった。まともに。
児童相談所に行った。でも私は違和感を感じた。
どうしたらいいのか
どうやって生きていったらいいのか

困って困って困りまくって
何人もの友達に相談した。

「今は学生だから、家で養ってもらった方が良いよ。」
わかってる!!そんな事は分かってる。分かってた・・・

けど、私が待ってたのはそんな言葉じゃない。

また急いで電話した。
今度は近所の生まれた時からの親友に。
「Yちゃん、Yちゃんちにいっていい?」
「どうしたの???」
「相談したくて困ってる事あるから。」


生まれて初めて彼女の前で号泣した。
彼女は高校3年生。受験の真っ最中。彼女もいっぱいいっぱいのはず。
しかも希望の専門学校に行けなかったから、そこ一本だったから
面接で落とされて、精神的にもかなり来てたと思う。
なのに彼女は、Yちゃんはいともかんたんに
私を包み込むように受け入れてくれた。
嬉しいって言うより、嬉しいって言うより、本当に本当に安心した。
3日ぶりに私は眠る事ができた。
体を横にする事ができた。
虐待の恐怖で3日3晩精神状態も不安定だったし
眠るなんてとても・・・


「わたしがここで勉強してるからさ、しずくちゃんゆっくり寝てていいからね。」

「うん。」

いつもは私がしっかり物の役目で、彼女のリーダーって感じだったのに
すっかり逆転してしまった。
でも、ほんとうに良かった・・・・







これでハッピーエンドだと思ったのに、「虐待」って言う悪魔は心の
奥の奥の奥まで悪性の癌みたいに住みついてたの。

それからまた2週間くらいたった。やっぱりたくさんの人に相談してた。
児童相談所に行ったのもここの期間。
でも、そんなもんじゃあ、あたしの心は治らんかった。
癒せんかった。効果0だった。
だって、相談所の人があたしの心の中治療してくれるわけじゃないし
祖母の「母親が悩んでいるのはしずくのせいだ」って思う気持ちも変わらない。

またかけた。
すぐ繋がった。
いつもはおばさんが出るんだよね。
携帯みたいにお金かからんからいいよな・・なんて思いながら。


今度は・・今度は前とは違った。
体調面ではいいのだけれど精神面が・・・って感じで

「うちにおいで」

即そう言ってくれた
「いいの?」
っていいつつ体はもう彼女の家に向かっていた。

彼女とは、中学2年になるまでずっと同じクラスだった。
だから、私の事全部知ってるって言っても過言ではない。
トイレまで一緒に行くくらいの親友だったし。


「しずくちゃんがそこまで悩んでるなんて知らんかったよ・・・。
しずくちゃんの家っていつもいい感じだったからさ、おばさんがそう言う風だなんて知らんかった・・・ほんとに信じられんし。だってこの前行ったときも
仲良さそうだったじゃん?」

「あれはYちゃんがいたからだよ〜〜っていうかもっと深いところに問題は
あるんだもん。」

「そか〜〜困ったネエ。。。」
「うん。(涙」
「しずくちゃん、もうあの家から離れたほうがいい。私みててそう思う。
この前も言ったじゃん。」
「でも・・・なんか怖いし。だってお金も無いし。私ができる事なんて限られてるよ。なんの力も無いしさ。」

「でもさ、しずくちゃんならなんでもやってける気がするんだけどネエ。
私がしずくちゃんだったらもう死んでるよ。しずくちゃん、辛すぎるよ・・・。」

「・・・・。」
「なんでそんな風に言ってくれるの?みんな病気の話すると責めるのに。
もっと頑張れっていうのに?」
「だってさ・・・、しずくちゃんの場合、悩みの大きさが違うじゃん?
つらい事多すぎるじゃん??私ずっと見てきたけどさ、今行ってる高校にも
そんな子おらんし、しずくちゃんみたいにそこま
で勉強したいなんて思ってる子
そんなにいないって。私なんかただ普通に高校行ってるだけだもん。」
「そんなことないって〜〜」

顔をひきつらせて泣きじゃくる彼女。びっくりするよ〜〜
私の前でないたことなんてないのに。

「うん・・・。」

っていいながらまた私も泣いちゃう。

「でもYちゃん入試なんでしょ?いいの??」
「だめだけど、少しくらいならいいかな。」
「ごめんね〜〜ありがとう」

私たち2人はずっとずっとず〜〜っと泣いてた。

そのなかで保育園の話になったり、私が入院した時の話になったり
いろいろした。良くわからないけど・・・
なんか・・なんか良かった。

結局答えは出なかった。

それから一周間たって私は東京に逃げた。
東京に行く電車の中、ずっとずっと怖かった。
Yちゃんに携帯でメールを送った。
「今東京に向かってる。怖いよう。頑張れっていって!!
励まして!!」

「頑張れしずくちゃん!!しずくちゃんならなんだってできるよ。」

すごく嬉しかった。

はたからみたら馬鹿に思えるかも。
でもあの時の私には死ぬか、家を離れるかどちらかしかなかったから。
死ななくて良かったと思った。

それからいろいろあって今は家にいる。
「ちゃんと」って言葉は使いたくない
「ちゃんと家にいるって。」

家にいて、とりあえず落ちついている。


私って明らかに不利なんだよね(笑)
体力も、気力も、勉強する気力も無いんだもん。


「どうしよう・・これからずっと先・・・ずっとこのまんまだったら
わたしどうしたらいいかな?どうしよう??あの子みたいに看護関係ってのが今の社会一番いいのかな、給料とかもいいし・・・やっぱり。でも倍率とか高いし」

Yちゃんが言ってくれた。
「う〜〜ん。そうだね〜あの子は看護は確かにそれなりの能力とかそういう看護婦
って言うのに適していると思うし、高校もそっちに進んだから
本当に頑張ってていいと思うんだ。でもさ、こんなふうにいったらなんか
いかんけど、看護は看護婦しかできんわけじゃん?
看護婦としての力はすごくあるけど、いい意味でそれだけだと思うんだよね。
しずくちゃんは、それ以外の事いっぱい経験してきたんだもん。
しずくちゃんになら色んな事できると思うんだ。例えばテレビ関係の仕事だとかさ。」

「ほんとに???ほんとにそうおもう??」
「うん。しずくちゃんならなんだってできるよ。絶対できるって!!」



↑に書いてあるあおおにくんの手紙。
「泣いたあかおに」
っていう絵本の1ページなんだよね。

あかおにが村人と仲良くするため、あおおには彼の前から姿を消した。
切ないね・・・


私もいつか、Yちゃんと別々の場所で暮らす時がきっと来てしまうだろう。
そんなの絶対に嫌だけど、けど、心のどこかでずっと、ずっとず〜〜〜〜っと
繋がっているから、大丈夫。

彼女がいるから、彼女が「大丈夫だよ、休んでいいよ。」

って言ってくれるから
私は今ここにこうして生きている。

現実って、きっときっと苦しい事とか、辛い事とかいっぱいあるんだよね。
今も怖いけど。でも、それでも私たちは生きている。生きたいって思ってる。
それはきっとこういうことが、暖かいものがなんらかの形で
私たちの胸を癒しているからじゃあないかな?って私は思うんだよね。


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