最強の星の真下

2003年03月22日(土) イラク戦争に関して思うことその1。

-最初に-

初めに宣言しておく。
私は戦争が嫌いだ。ささやかに頑張っている小市民を国家が殺すなんて許し難いと思っている。ささやかに頑張っている小市民に人を殺させるのも許し難いと思っている。
私はブッシュが嫌いだ。オレサマお山の大将と本当に信じている辺りが最低だ。
私はフセインが嫌いだ。ふんぞり返った小心者。しかもやること為すこと頭悪いし。人を死地に追いやって平気らしいのに、自分は死ぬのが怖くて影武者30人だし。
私は小泉氏が嫌いだ。経済政策、痛みの伴う改革とか言っておいて、いつの間にか「痛み」の意味がすり替わっているじゃないか。詐欺だ!・・・いや最初から支持していなかったから厳密には詐欺じゃないのか。騙されてないし。



嫌いだけれど。

色々な理屈や計算で物事は動いている訳で。
今回の戦争に関連した「色々な理屈や計算」について、私が読んだ限りのニュースや評論で気になった点、それらを小市民的に咀嚼し小市民的に解釈して思った事、感じた事などを、書いておくことにした。
はっきり言って大した量の文章を読んでいる訳ではない。
毎日お昼休みに20分位webニュースをチェックする程度。たまに書籍の評論を読了する程度。
そんな小市民だけれど、それでも事情が判らないなりにあれこれ考えるのだ。

湾岸の時も、全然判らないなりにあれこれ考えた。フォークランドの時もそうだった。
今思えばそういうお子様な思考の結果でもいいから書いておけば良かったと思う。
書いておいて、今読み返してみたかった。

だから、今回は書いておく。
本当はもう少し早く仕上げたかったのだけれど。
ニュースや報道された事実らしきことを延々羅列したりいきなり想像だったり。だらだらと纏まらないまま、ひたすら長い駄文が出来上がった。
でも羅列した事実も、沢山ある報道の中で今の私が興味を持った部分なのだから、そのまま書いておく事にした。


〈この先この文章を読み返した時の私へ〉
でもね、こんなんでも今の私にとっては渾身の書きっぷりなの。もう忘れているかもしれないけれど、十何時間も掛かったの。時間が掛かれば良いものかって、そういう訳じゃないのは解っているけれど。




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-亜米利加の思惑について-

同時多発テロは悲劇だった。
しかしテロの後、CIAはテロの可能性を事前に察知していたのに、危険性がきちんと認識されなかった為にテロが成功した、という見方が浮上した。

何となく、真珠湾攻撃の話を連想した。
亜米利加は日本の攻撃を事前に察知していたのに必要な対策を取らなかったらしい。
そして真珠湾は日本軍によって攻撃され、多くの一般亜米利加人が亡くなった。
それによって「先に手を出したのは日本だ」という戦争の大義名分を亜米利加は獲た。
日本は日清日露で甘い汁を吸い軍国化。調子に乗っていて、しかも国際感覚に欠けていたので、「戦争の大義名分」などはこじつけておけば大丈夫なのだ、とでも思っていたらしい。更に日本は、手違いから宣戦布告が遅れる、というしくじりまで犯した。
亜米利加国民に「日本は正当性もなく、宣戦布告すらせずに他国を攻撃する狡い国だ。侵略構想に基づいて動いている危険な国だ」とアピールするには格好のネタである。
何しろ事実なのだから説得力がある。
そして井の中の蛙お子様日本は完膚無きまでに叩きのめされた。


顧みて同時多発テロ。
al Qaedaがテロの首謀者だ、と断定された。
Osama Bin LadenとSaddam Husseinについて比較すると、

『国際テロ組織アル・カーイダを率いるビンラーディンと比べ、フセイン大統領には国際ネットワークもカリスマ性もない。このため、米政府内は「捕獲、殺害が求められるビンラーディン」とは違い、権力の座から追い落とせばフセインの脅威は除去できる』と見ている。【ワシントン=菱沼隆雄/Yomiuri on-line】』

『チェイニー米副大統領は16日、米NBCテレビの番組で、対イラク戦が始まった場合、フセイン・イラク大統領を早い段階で拘束することに自信を示した。
米国は国際テロ組織アル・カーイダの指導者ウサマ・ビンラーディンを拘束できないままだが、副大統領は、「長期間、外界から遮断された洞穴での生活に耐えようとするビンラーディンのように美学のある男ではなく、宮殿に住み、ぜいたくに慣れた男は(不自由な逃亡生活には)耐えられない」とビンラーディンとフセイン大統領を比較。また、フセイン大統領がいったん権力を失えば、「自国民に殺されるかもしれない」との“期待”も示した。【ワシントン=大内佐紀/Yomiuri on-line】』

・・・であるらしい。
この二人の比較から想像すると、同時多発テロはHusseinが教唆した訳ではないように思える。
どちらの男が危険か。
これらの比較を基にすると、私にはどうもOsama Bin Ladenの方により危険を感じるのだが。

で。
Osama Bin Ladenの件はどこに行ってしまったのか?
イラクに隠れていて、イラクを制圧すれば見つかるのか?
Saddam Husseinよりも隠れるのが上手いという事であれば、たとえイラクに居ても見つからないのではないか?

で。
亜米利加で起こったテロから、イラクは危険だから討伐する、と、いきなり話が国連査察に飛んでしまった。ような気がする。

前々から非協力的だった国連査察に、イラクがより一層非協力的になった時期が怪しい、というのはある。
もしかするとBin Ladenに教唆されたのか?二人が会って話した事がある、という証言も存在するし。

「一緒に亜米利加をやっつけましょう!(Bin)」「スバラシイ!わしも常々亜米利加をなんとかせにゃならんと憂慮しておったのだよ!君とわしが組めば怖い物無しだ!わっはっはっ!!(Saddam)」なんて会話があったりして、でもSaddamは亜米利加に面と向かって喧嘩を売れなくて、微妙〜に査察の邪魔を増やしてみた。そうするうちにBinが大々的なテロを米国本土で実施した。で、前々から隙を狙っていた亜米利加に思いっ切りイラク非難の口実としてBinとの繋がりを使われて、思いっ切り槍玉に挙がってしまった。馬鹿な墓穴掘り。
・・・なんていうシチュエーションを想像した。

湾岸は完全なイラクの侵略戦争だった。
「侵略戦争を止める」これは大義名分として、攻撃の充分な根拠として国際的に通用した。
クルド人自治区武力制圧はイラク国内の紛争だった。
「人権を擁護する為に他国の内部紛争に介入する」これは大義名分としては賛否両論だったが、事が人権だけに、事後速やかに撤兵という論調で国際社会に何とか受け入れられた。亜米利加国内は賛成論調だった。

今回亜米利加は、「国連査察に協力しないのだからイラクは侵略の意図を捨てていない」を攻撃の大義名分にしようとしてちょっと滑った。
我々が受けたテロもイラクの所為だ、という論法に他国を巻き込めなかったのではないか。
実際に他国を侵略していない状態なのに「テロはイラクが元凶、悪の枢軸、攻撃対象だ!証拠は国連査察への非協力!」は開戦の大義名分としては強引というか、稚拙だと思う。
しかし何となく、「テロの元凶はイラク。先に手を出したのはイラクなのだから攻撃は当然」と亜米利加国民が思っているように見えるニュースが多く流れている。国民へのアピールとしては充分通用したのかも。
そして亜米利加政府は、国民から開戦についての賛意を取り付けた。(勿論反対も多いが、7割は賛成しているので「取り付けた」と言っていいと思う)

・・・亜米利加は、本当に、テロを防げなかったのか?
あんな地球一の情報・諜報大国が、本当に?

・・・何か釈然としない。



亜米利加は、石油を欲しがっているらしい。
実際に自国で管理する必要はなく、ただ、自国に有利な条件で原油を安定供給出来るようになりたいのかもしれない。
それが米国経済の安定に繋がるから。

現在は原油産出国の意向によって原油輸出量や価格が変化する。これは、自国経済を左右する綱(の一本)を原油産出国に握られているようなものだ。

最初、米国に都合の悪いKhomeiniに対抗させようとHusseinに軍事的経済的援助をしていたのに、そのHusseinは権力を握ってコントロールが利かなくなった。親米でない事をするようになったHusseinは亜米利加にとって使えない物、ゴミである。さっさと流さないと下水が詰まる。
だから湾岸戦争が起こったのだと思う。取り除けなかったけれど。

亜米利加は、自国への原油輸出が第二位である南米の国の新亜米利加派にも支援をこっそり行って政権を取らせようとしたらしい。失敗したけど。ベネズエラの話である。
(・・・以前日記に書いたような気がする、と思って今探したら、覚え書きのみ存在。結局書かなかったのか・・・何やってるんだ、私)

親亜米利加的な政権をイラクに樹立すれば、亜米利加は、自国経済の命綱の一本を自分達の手に取り戻せる訳だ。
そうなれば、「最強・亜米利加」を更に強力に補強出来る。
(亜米利加の国家にとって)理想的な展開である。
今度こそ、と思っているのではないだろうか。



もう一つ。つい先日のブッシュの発言。

『ブッシュ米大統領は26日夜、ワシントン市内で演説し、米国が対イラク戦に踏み切った場合、戦後の再建に努力する方針を示すとともに、自由で平和的なイラク新政権の樹立が、イスラエルやパレスチナを含む中東地域全体の平和と民主化を推進するとの考えを表明した。また、対イラク戦後は新政権の民主化支援のため、米軍が長期駐留する可能性も示した。【時事通信】』

つまり亜米利加は、中東を民主化したいと表明した訳だ。
しかし今まで親米的だった大石油産出国サウジなどは、王政だ。サウジは、王家が親米だったが市民は反米感情が比較的強いという話だ。
にも関わらずこんなコメントを出した。ということは、これはサウジ王家が反米に転じることも厭わないという意思表明でもある訳だ。

中東全域の民主化の推進。米軍の長期駐留。
イラク以外も攻める気だろうか。・・・そうかもしれない。
イラクに親米政権を樹立すれば、中東での亜米利加の親友は2国になる。イスラエルとイラク。
拠点が2つあれば、その後の中東制圧もやり易くなる。
それに何と言っても、イスラエルが擁するのはエルサレム。
2大宗教の聖地を亜米利加が押さえているのだ。これは大きい。
拠点がもう一つあれば、亜米利加はイスラエルに対して、パレスチナとの紛争の援助も容易に出来るようになる。
亜米利加の主要財閥は、その多くがユダヤ系だ。だからこそイスラエル建国に亜米利加が奔走したのだし、だからこそ亜米利加は今もイスラエルを強力に支援している。

中東の民主化後、経済による中東の支配はイラクに任せ、イスラエルは東欧羅巴、亜米利加は環太平洋圏を網羅する。友好国英吉利に西欧羅巴と阿弗利加を任せて、露西亜・中国に対しては北朝鮮と日本を足掛かりにする。
・・・もし亜米利加にこんなビジョンがあったら怖い、と思った。



『米英軍のイラク攻撃開始を受け、米上院本会議は20日、ブッシュ米大統領と英国政府を支持するとの決議を全会一致で可決した。
米議会では、それまでは対立を続けていても、いざ開戦となれば軍の最高司令官を兼ねる大統領の下に団結を表明するのが伝統となっている
この日もイラク攻撃が始まる直前まで反対を表明していた民主党のダシュル院内総務が本会議で「米国はブッシュ大統領の下に団結する」と演説、ケネディ上院議員も「われわれと同じように、多くの米国人がこの戦争に反対してきたが、今日からこの紛争が終わるまでは、われわれは団結し兵士を支持する」と表明、共和党ブッシュ政権との対決姿勢を撤回した【ワシントン共同】』

戦争が始まった途端に米国議会の議員は、戦争賛成派・反対派とも、ブッシュと英吉利を支持。
この「戦争反対派」の姿勢は素晴らしいと思う。
戦争反対派の「反対」の根拠は、攻撃の正当性(大義名分)の欠如或いは不足と、国際協調路線を捨てる事から来るデメリット、更に国庫の窮乏ではなかったかと思う。
亜米利加一国が孤立状態に陥るのは、政治的にも経済的にも非常に危険だ。
それに、亜米利加は自国の軍人に対してきちんと相応の補償をする国らしいから、兵士に犠牲が多く出ればその分遺族への補償額も大きくなるだろう。
短期・最小の犠牲で事態が終息しなかった場合、犠牲と国が被る悪評に対して獲る物が小さすぎる、という湾岸の二の舞になりかねない。
等々のリスクを考慮し、今回は攻撃を見送るべきだ、と判断、攻撃に反対したのではないだろうか。

しかし実際に攻撃を抑止することは出来ず、戦争は始まった。
戦地では、「国が送り出した」多くの兵士が戦っている。
戦争に反対していようが賛成していようが、自国の兵士を戦わせ始めた段階で、兵を死地に送り出した国の代表として出来ることは、「戦争反対」を唱えることではない。
如何にして自国の兵士の犠牲を少なく戦争を終わらせるか、を、頭を振り絞って考えるのがこの段階での彼らの仕事になる。

戦争に反対していても、実際に抑止できなかった以上、兵を送り出したのは自分たちでもある。
そういう認識と責任感が当たり前の事として浸透しているからこそ、全会一致で支持を表明した訳だ。
君たちを死地に送った以上、一人でも多く無事帰れるよう国として全面的にバックアップしますよ、と意思表示するのが、送り出された兵士に対しての、送り出した側の最低限の責任であり、礼節でもあろう。
しかし彼らの支持は言うまでもなく「戦争が終わるまで」のものである。戦争賛成派・反対派とも、戦争が終わったら即座に今回の事態を洗い直し、分析し、反省点を国政に生かすべく動くのだろう。彼らは決して経験を無駄にはするまい。日本と違って。



開戦に踏み切るまでの彼らにとって、一番の問題は、資金だったのではないだろうか。
クリントンだか誰だかの代に貯めた国の貯蓄はあっという間に使い果たしているし、国債は限度額まで発行してしまっているし、今回の戦費もあるし、このままでは資金調達に苦慮する事になるだろう。
無い袖は振れない。戦後処理に使える資金調達をどうする。
・・・これが開戦を躊躇った理由の一つではないかなあ。

国連決議さえあれば、戦後処理費用は他国に負担して貰える。亜米利加は「出兵」という負担をしているのだから、当然戦後処理の費用は出さない。
こんな心積もりがあったのではないか。

・・・しかし彼らには強ーい味方がいたのだね。




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<3/23に続く>


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桂蘭 [MAIL] [深い井戸の底]

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