昨夜の電話は最悪だった。
否、昨夜の電話は最悪の切り方だった。
それまでの楽しい会話も、どこかへ飛んでいくくらい。
私は「ごめんね」を3回言った。
ダーリンは「ううん」を3回返した。
慌しく通話終了のボタンを押した後、
私はそのままゴロンと仰向けで寝転がる。
しばし呆然とした後、自然に溢れる涙。
悲しくなんか、ない。
悲しむ必要なんか、ない。
そう言い聞かせて、一瞬目を閉じた後、
ふうっと息を吐きながら、勢いをつけて起き上がる。
今日は眠るのだ。
何も考えずに、ぐっすりと。
数時間後。息苦しい夜が明けて、
私は何事もなかったかのようにダーリンに電話をかける。
受話器から聞こえる彼の声が、心なしか固いような気がして、
ついつい問い掛けてしまう。「怒っているの?」。
すぐに彼は答える。「昨日の事?」。
うん。
どうして?
なんとなく。
怒ってないよ。
いつもよりも優しい声色に聞こえるのは、
気のせいなんかじゃない。
| |