diary/column “mayuge の視点
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恐るべき十八歳

 先日、著者の岡さんと会食。

 岡さんも僕も、プロ野球は横浜ファンである。いよいよ今年もキャンプ期到来。当然、話題は今季の展望、ということになる。
 「多村はいいよねえ」
 「成長しましたよねえ。地元(横浜高校)出身ってのもいいんですよ」
 「吉村っていう若いのもいいわけよ」
 「ああ、背番号31番の奴ですね。よくそんなマイナーな選手知ってますね」
 「俺、シーズンシート持ってるし。吉村なんか、多村以上に成長するかもねえ」
 打線の話は盛り上がる。
 「問題はピッチャーですよね」
 「だよなあ」
 店内にもすきま風が吹き抜ける。しばし二人とも沈黙。これはまずい。話を膨らませねば。
 「新監督の牛島さんはどうなんでしょうねえ。僕はちょっと心配なんですけど」
 「牛島か。牛島は大丈夫だよ。俺はね、ある話を聞いたから、心配はしてないわけよ」

          ◇

 こんな話だ。
 牛島は名門・浪商高校を卒業後、投手として中日に入団した。同期入団には、牛島を含め投手が四人。ルーキーイヤーのある日、その四人が投手コーチに呼ばれた。コーチは四人に、ある質問をする。
 「9回裏、俺たちは3対2でリードしている。ヒットで出たランナーは二塁まで進んだが、2アウトまで漕ぎ着けて、カウント『ツー・スリー』。お前なら、この状況でどんな球を投げる?」
 大学やノンプロ出身の投手たちは口々に答える。
 「得意のスライダーをアウトコース低め、ですね」
 「真っ直ぐを力いっぱい、インコース高めヘ投げます」
 コーチはここで、高卒ルーキーに尋ねた。
 「牛島。お前ならどうする」
 すると牛島は、こう切り返した。
 「コーチ。ツー・スリーまでの配球を教えてください」

          ◇

 「そのコーチ、『こいつはすごい』と思ったらしいよ。18歳だからね、当時牛島は」
 「確かにそれはすごいスね」

 そんな感じで、さらにこの後も野球ネタで盛り上がった。
 我々二人、今季も「横浜で一喜一憂」となりそうである。

2005年02月01日(火)

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