若いとき、貧乏だった。絵に描いたような貧乏では無かったし、それなりに心の余裕もあったから、殊更「貧乏」というのはよろしくはない。でも、周囲に比べればつつましい生活をしていた。海外旅行にも行かなかった。免許は親の金で取らせてもらったものの、車なんて夢の夢だった。今。お金には困っていない。相変わらず贅沢はしていないけれど、時間さえあれば北海道にも関西にも行ける。でも、今の方が幸せかというとそうではないような気がする。何かを得る代わりに何かを失う。そのようにして人生は流れていく。