お茶の間 de 映画
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2004年08月26日(木) 「サスペリア」 イタリア製オカルトホラーの傑作。手堅い古典的な創りなのに一抹の古くささも感じさせない。

サスペリア
【SUSPIRIA】1977年・イタリア
監督:ダリオ・アルジェント 
脚本:ダリオ・アルジェント/ダリア・ニコロディ
撮影:ルチアーノ・トヴォリ
音楽:ゴブリン 
 
出演:ジェシカ・ハーパー(新入生、スージー)
  ステファニア・カッシーニ(スージーの隣室、サラ)
  アリダ・ヴァリ(ターナー先生)
  ジョーン・ベネット(副校長)
  ウド・キア(精神科医)
  フラビオ・ブッチ(盲目のピアノ弾き、ダニエル)
  ミゲル・ボゼ(マーク)
  レナート・スカルーパ(ヴェルデガスト医師)
  スザンヌ・ジャブコリー(パット)

ストーリー用ライン


ドイツの空港、夜10時すぎ。ひどい雷雨でなかなかタクシーも
つかまらない。
NY出身のバレリーナの卵、美しい少女スージーは、名門バレエ学校への入学を許され、単身異国の地を踏んだのである。

豪雨の中どうにか学校の門に辿り着くが、挙動不審な少女がずぶぬれで玄関で何か必死に誰かに話している。

秘密・・・アイリスが3つ・・・青いのを・・・
ひどい雨音でよく聞き取れない。

スージーがインターフォンで到着を告げるが、焦った様子の若い女性の声でむげに追い返される。諦めて翌日出直すことにし、再びタクシーに乗り込んだ。

林の中を必死で走るさきほどの少女を、車窓から不思議そうに見つめるスージー・・・。

少女パットは命からがら、という様子で街の友人の家に逃げ込む。
事情を聞き出そうとする友人を拒み、1人バスルームに籠もったパットは、高層マンションだというのに窓から飛び込んだ何者かによって惨殺され、友人も巻き添えにあい、事件の真相は闇に・・・・。

翌朝、改めて学校を訪れたスージーは、副校長、主任教授のターナー先生、副校長の溺愛する甥、ルーマニア語しか喋らないという醜い下男、盲目のピアノ伴奏者ダニエルらに紹介される。

校長先生は旅行中だという・・・・。

初めてのレッスンの日、副校長の甥の少年と老いたメイドと目の合ったスージーは、突然ひどい疲労感と目眩に襲われ倒れてしまう。

街の下宿から校内の寮に強制的に移されたスージーは、病人食とワインを毎食与えられ、当分の間、自室に軟禁状態に・・・・。

そんなスージーの隣室は、サラという少女。
惨殺されたパットの親友だったのだという。

パットは、校長先生が旅行だというのはきっと嘘で、どこかにいる、他の先生たちも街の自宅には戻っておらず、足音が校内に消える、と必死でスージーに訴えるが、どうしたことか、スージーの
意識はひどく朦朧とし、前日の記憶があやふやになってしまうのだ・・・。

サラは魔女伝説に取り憑かれているようだった。

やがてスージーは、サラの主治医だった精神科医に紹介された教授から、この学校の伝説を聞くことになる・・・。

この学校の“伝説”とは。
校長先生の行方は。
そして、身の毛もよだつ真実を知ってしまったサラとスージーの運命や如何に・・・・!

DVDはリマスター版が発売されているものの、売り切れ。


コメント用ライン


テクニカラー時代の断末魔か思うほどの絢爛豪華に禍々しく毒々しくも、息をのむほど美しい真紅、緑、青!
そこへホラー映画を数多くてがけるゴブリンのプログレッシブな
音楽が神経を逆撫でするように華々しく響き渡る。

劇場公開当時はサーカム・サウンド(立体音響方式)で360度、
あの音楽がぐーるぐる劇場を包んだとうから、背筋が凍る。

明らかに『エクソシスト』のメインテーマにして永遠の名曲、マイク・オールドフィールドの“チューブラベルズ”に影響を受けてはいるが、不思議と二番煎じな印象は受けない。
恐怖よりも切なさと儚さを感じさせる繊細な“チューブラーベルズ”とは違い、ゴブリンの本作のテーマ曲は、とにかく刺々しく
禍々しく、実に官能的なのだ。

監督のパートナー、ダリア・ニコロディの祖母が白魔女だったそうで、子供の頃繰り返しきいた祖母のうら若き頃の体験や、世界各地の魔女伝説やお伽話をミックスして原案としたようだ。

経緯としては、邦題『サスペリア2』(※こちらが先であり、邦題は嘘、独立した物語)がイタリア国内で大ヒットを記録、勢いに乗って製作したのが本作『サスペリア』ということになる。
こちらは国内どころか、全世界のホラー愛好家だけでなく、映画を愛する人々に語り継がれる名作となった。

夜の闇、豪雨、鮮血のように淫らに紅くうかびあがる建物、照明。
雪のように白い少女の肢体から吹き出し流れ落ちる鮮血。
洗面台に糊のようにこびりつく謎の赤ワイン・・・。

これだけ、一切の自然光を排した人工的な照明が続くと、
後半、数分ある、開放的な屋外での普通の会話が、息抜きになるどころかかえって落ち着かず恐怖心をあおる。

残忍であればあるほど美しいが、邪悪な存在を賛美など決してしない正当派の手法がよい。
悪魔は祓えても排除できないが、魔女は特殊能力を授かった形あるもの。対決は可能だ。

信奉は全くしていないが、魔女や悪魔の存在を疑わない私には非常に興味深く面白い展開だった。

日本公開時のキャッチコピー、「決して1人では観ないでください」はそう大袈裟でもない・・かも・・・・。
演出でカタルシスを感じてしまうほどの大仰な悲鳴をいっぱい
聞かせてくれることだし、ものすごく痛そうな殺され方が続くので、真夜中に1人きりで観るのはやめたほうが・・・・。

あまり関係のないエピソードが散らばっていたり、やってることは美少女虐待なやや変態チックな行為でありながら、その映像・音響美ゆえに高級な美術品を鑑賞し終わった後のような充足感が堪能できる。
是非、オススメの1本。




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