股・戯れ言
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とびきりの映画監督に会いにいってきた その1

先週の強烈2連発。

まず、渋谷に「映画監督って何だ」を見に行く。映画監督協会創立70周年記念の映画だそうで、出演者の9割以上が「職業:映画監督」による映画。2週間限定レイトショー公開であったが、日替わりで映画監督のトークショーがあり、そのメンツがなかなか豪華でした。

11/4(土)山田洋次&林海象 
11/5(日)佐藤真&林海象 
11/6(月)孫家邦(映画プロデューサー)&阪本順治&望月六郎 
11/7(火)佐野史郎&林海象 
11/8(水)山本晋也&壇雄二 
11/9(木)高橋伴明&福岡芳穂 
11/10(金)伊藤俊也&高橋伴明 
11/11(土)崔洋一&山本起也 
11/12(日)石井聰亙&緒方明 
11/13(月)西岡琢也(シナリオライター)&林海象&茅場和興 
11/14(火)成田裕介&小水一男 
11/15(水)宇崎竜童&山本起也 
11/16(木)森重晃(映画プロデューサー)&緒方明&北川篤也 
11/17(金)伊藤俊也&黒沢清 ほか多数

目下石井聰亙おっかけ中である私は12日の回に行くつもりであったのだが、12日は糞障害の仕事(オールナイト)のため行けず。なんだよオイ、だったら阪本順治の日に行っていたよ!と思ったが時、すでに遅し。しかも13日から16日まではなんやかんやと忙しかったので、結局足を運べたのは千秋楽の17日金曜日でした。
千秋楽なのだから激混み必至であることはわかっていたのだが、どうしても仕事が終わらなくて走って走って辿り着いたのは開演5分前。同行のみやらさんが先にチケット買っておいてくれてよかった。ゼイゼイ言いながら館内に入ると、思った通り満席なのであった。
なんとか席を見つけるも別々の席だし、端っこも端っこで見づらいことこのうえない。まあしょうがない。
肝心の映画の内容は、現在の日本は法律によって「映画の著作権は映画製作者にある」と定められており、映画監督には著作権がないという由々しき事態と映画監督協会は闘っていますと宣伝するプロパガンダ映画。プロパガンダなんて言葉をきくと非常に堅苦しいが、監督たちが寸劇やったりしているので堅苦しくもない。むしろ、「全日本プロレスがやった白雪姫のミュージカル」や「ガキの使いのスタッフたちしか出ていないドラマ『とぎれたインカム』」と同じテイストであった。大真面目だがとにかくゆるい。
小栗康平は傘を作る浪人に扮し、阪本順治は白塗り女装の花魁となり、若松孝二は大部屋俳優顔を十二分に利用した悪党大家(時代劇の)というわけのわからなさ。そのほかの監督も国会議員役やったり新米監督やったり、実在の映画監督役やったりさまざま。
「監督」と呼ばれる人たちがピンからキリまで集まっているのだが、
「ああ、これは壮大な自主制作映画なんだなあ」
と思わされることしきり。やってる人たちはさぞかし楽しかったことだろう。
「映画は映画製作者のもの」という考えの元にあるのは、「映画は観客のもの」「観客を楽しませるために存在する」という大義名分がある。悪しき資本主義民主主義的大義名分である。糞くらえだ。唾ペッペだ。観客は確かに必要かもしれないけれど、観客を集めるためだけに/話題を呼ぶためだけに作られた映画がいかにクソであるかを我々はもう既に知っているのに。まあ、今流行りのシネコンで上映される映画なんて「映画は観客のもの」という考えに則ったものばかりであるが。
映画でも何でも、作っている人間/やっている人間が満足して作ったものでなければ一時的には盛り上がるが消費されていくのもあっという間だ。後には何も残らない。この映画は映画監督のための、映画のための映画であったけれど、いろいろと考えさせられた。って、この映画の意図とは違うことことばかり考えてしまったが。的外れ。
お客に迎合するのが必ずしも「善」ではないんだよなあ、とか。客を寄せるために無理や唐突を敢行するのは、その場凌ぎでしかないんだよなあとか。客の望むものと作っているものが最初から一致されている世界は幸福だけど、そんな幸福は滅多にない。だからといって唐突に、帳尻合わせ的に無理矢理客に迎合する必要なんてないのだ。(ある部分では必要かもしれないが)
自分の世界観や、自分の考えや、何がしたいのかをはっきりと持たないと、呑まれて流されてわけわかんなくなってすべてパーになっちまう。自分の立ち位置とか、自分の器量(外見だけでなく、自分にできることのすべて、自分が持てることのすべて)を正面から見つめ、自分の価値観、簡単に言えば「ここだけは譲れない」って部分を必ず持って、それに沿ってすべてを全うせねば。相手、あるいは客に媚びちゃいけねえ。いきなりデカイところを狙ってもいけねえ。いかに周りを巻き込んで一緒に走り回らせるかのほうに私は重きを置きたいね。そのうち自分が思ってもみないくらい遠くに進んでいたりするから。


と、そんなことはともかく、映画の後にトークショーがありまして、千秋楽なだけあってさまざまな監督が出演されたのですが、何はともあれ黒沢清監督がかっこよすぎてクラクラしました。どんだけ好みの顔なんだ!!!!端っこの端っこに座っていたのも、結果的には黒沢清、伊藤俊也、緒方明という顔ぶれを間近に見ることができたので満足なのだった。トークショー終わった後思わず緒方監督に話しかけてしまったよ。みやらさんがビックリしていたが。(のちにファンであったことが判明)
そして黒沢清監督にサインを頂いたのだった。握手もしてもらった。握手していただいてさらにポワーン。一番見た映画「スイートホーム」だけど!あ、「アカルイミライ」も好きだ。未来なんか全然わからねえ感がリアル。
これで生きていけます。しばらくは。

しばらく、それは2日間。




続く
2006年11月20日(月)

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