地下鉄を待っていると、すごい格好のばあさんがいた。超ミニスカートにハートのベルト、ティーネージャーのど派手メイク、ぬいぐるみだっこに、タータンチェックのスーツケース。何かのカテゴリに分けるとすればパンクロリータ?そのばあさんが近付いてきて「あんたドイツ語喋る?エスカレータが壊れてて、下いけないの〜。ねえどうしたらいいの〜?あたし下行きたいの〜」と切々と訴える。 階段で下りたら?と言うしかないが、他の人も相手にしていないし、めんどくさかったので「ドイツ語わかりません。全然わかりません」と断るも「あたし下行きたいの〜下行きたいの〜」と延々繰り返していた。なんか妙におかしかった。
こういう変な人に出会うと、なんだかここも同じだな、と思う。妙に親近感が湧いて、オーストリアを離れたくないなあ、という気分になる。おかしい。 いや、ばあさんのせいではなくて、オーストリアにいるのは楽しい。少し友達がいて暇でバカな毎日を送っていて、暑くて、こんな生活がずっと続くと恐ろしいけど、まだまだぬるく生活していたい。 三ヶ月目になると、なにもかもにぐっとなじんでくる。店員の冷たい態度も、馬糞も、クラスメートも、近所の人も、ビラのヨーグルトも。人も。美術館も。公園も。ゆっくり毛穴に浸透してしまった感じがする。
ヨーロッパの夏は楽しい。
ロシアの激安テレカが切れたので、早速アラブ人の店に買いに行くと、その会社潰れそうだからこっちにしな、と言われて「タージマハルカード」というのを薦められた。7.5ユーロで85分も日本にかけられる。
タージマハルか。タージマハル。
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