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2002年02月02日(土) 為遂げるには気持ちが不可欠

白くて長い指を小忙しく動かしていた手を止め満足気に微笑む。
その表情からは微かだが固い決意が込められているのが伺える。

その紡いだ糸から編み出そうとしているのはマフラー?

いやいや。あの幅からすると腹巻?

誰にあげるの?密かに思いを寄せる男の子?
最近付き合いだした彼氏?
待て待て、腹巻だから自分のか・・・

見も知らぬ彼女の行動を見守りながら勝手に妄想を膨らませる。
傍目には和やかに見守っているように見えても
よくよく目を覗きこんでみれば余りそうでもなさそうだ。



日本中を挙げての冬の最後のイベント
聖・バレンタインデー
が、近いので こんな風景もチラホラと見かけるのではないでしょうか?

恥ずかしながら私が二十代初頭の頃、当時付き合っていた彼氏に
セーターを編んだ事がある。


周りの友達が彼氏の為に編んでいた「女の子らしい姿」に憧れて
私も「女の子らしい姿」を真似て編んでみた。

自分の「女の子らしい姿」に酔い
一から紡ぎあげていくモノ作りに魅了される。 


大雑把な性格なのに編目が不揃いだと解いては編み直す。
それにだんだんと単調な仕事に飽き飽きしてきている。
編み物は両手を使うので本が読めない。手紙も書けない。
膝で寝ている猫も一秒毎に重みが増している様に感じられる。
毛糸と一緒に編込まれていく長く伸ばしていた髪の毛を
取り除く事もやめている。
彼氏と電話で喋る声も険を帯びる。

             
           
苛苛鬱鬱苛苛鬱鬱苛苛鬱鬱苛苛鬱鬱苛苛鬱鬱苛苛鬱鬱苛苛鬱鬱苛苛鬱鬱
                



結局、断念。

残ったのは猫の毛だらけの鎖帷子もどき。いや、チョッキもどきと毛糸数玉。
 
足らなかったのは、彼氏の為に編んでいるという「心」


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