日本の中央政府には財務省という行政機関があって、その部門のなかに財務総合政策研究所なるところがあって、ここが散発的にディスカッションペーパーを出しております。国立大学の、学会では名前を寡聞にして知らないような先生方がときどき論文めいたものを書かれていて、なんじゃらほいと思ったり思わなかったりですが、ええまあそれはそれとして。しかししかし、足立伸「地方交付税法の運用の実態について−地方交付税をめぐる誤解とその背景−(PDF)」というのはなかなかに興味深い論文です。なにが興味深いといって、この論文は「地方交付税交付金の総額が基準財政需要と基準財政収入の差の積上げで決まっているのは誤解だ」ということを主張していて、「普通交付税相当額に、地方自治体の財源不足額の総計が一致するように、単位費用や補正計数が調整されるように算定されている(p.24)」と述べているからです。たしかに、単位費用や補正係数のアヤシイ動き方や、とくに事業費補正に見られる補正係数の決まり方を見ると、なるほどねえ、と思うところです。しかし、となると、日本の大半の地方財政の教科書は書き直されなければならないのではないですかなあ。それとも、たいがいのひとはうすうす感づいていたのに黙ってた、ということなんでしょうか。そりゃまたいったいなぜなんでしょう?
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