ある大学院生の日記

2002年10月19日(土) Webってすごい

午後からのろのろと大学に来て,労働時間のデータをあさってみました.所得階層別の労働時間というのがほしかったのですが,とうぜん賃金センサスにはそんなデータはありませんでした.国民生活基礎調査にあると思っていたのは誤解でした.しかししかし,「社会生活基本調査」にはありました.すばらしい.一見してわかるのですが,所得階層によってそれほど労働時間(1日あたり週平均)が変動しているわけではありません.年収1000万円以上では0.2時間(12分,7.2時間→7.0時間)ほど短くなりますし,1500万円以上では6.4時間まで短くなりますが.これを累進課税に帰することができるんでしょうか.

それはそれとして,社会生活基本調査は5年に一度の調査なのですが,直近の平成13年度の統計表は統計局のページからとってくることができます.いやあすごい.便利な世の中になってしまったものです.それからなんと,財務省のページでは,財政金融統計月報までダウンロードできます.ちょっと以前の所得税制を確認する必要があったのですが,「いやいや残念図書館も閉まったことだし.帰るしかないなうふふふふ」などという目論見はあっさり潰え,租税特集までwebで見ることができました.財務省の人間がいかに経済(学)が分からないか,ということについて最近しばしば耳にするところなのですが,悪く言うもんじゃないですね.関係ないことですが.

その他のデータもweb上に置いてあることが多いので,だんだん手入力の必要性がなくなってきているようです.手入力をしていると研究しているような気になることができるので言い訳として便利だったのですが,こうなってしまうと,ほんとうに生産的な活動に注力せざるを得なくなってしまいます.つらいところです.論文もwebで取れてしまうので,図書館に行って論文を探してコピーしているうちに1日終わってしまったよ,などという言い訳も使えません.しかし考え事をするというのは疲れることなので,こういった形の気分転換(時間の浪費)ができなくなるとしんどくなってしまいます.競争社会もしんどいですしね.あ,いや,しんどいですね,といえるほど研究活動をしていないことは重々承知なんですけども.がんばってデータ集めてがんばって計算しました,それはすごい,といって実証が評価される時代ではないということでしょうか.はあ.

情報処理技術の発達やその技術・技能の偏在はできるひとに負担が多くかかり,そうでないひとに仕事が回らなくなる傾向があるんでしょうか? 企業としては高度な(?)技術を持った人間が少数必要になり,「失業したからとりあえず事務でも」といった再就職が困難になってしまうのかもしれません.比較的に学習能力の高い若者層はこのような「技術を持った」層として会社に残る可能性は高くなりますが,技術進歩に対応できないながらも会社に残り続ける老人層(?)に対する不満が鬱積する可能性はあります.「近頃の若いもんはすぐに会社を辞める」などといわれることもありますが,会社を辞める理由として「使えない,手は出さないけど口だけ出すジジイ・ババア多すぎ.こき使われるだけだし」ということがあるとすれば,話はそれほど簡単ではないような気もします.そしてそうであるならば,過渡期(?)の失業の受け皿としてのIT分野は非常に心許なく,「い〜じゃぱん」などへの政策的ウェイトの重さは正当性を失いかねません.むしろ,介護・保育といった,労働集約的分野への介入こそが実効性を持つ可能性が高くなります.

話が飛んで行き過ぎましたが.累進税制下でのMCPFという足許の課題のほうがよっぽど重要です.財政学会論文ももちろん重要ですが.


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