ある大学院生の日記

2001年12月19日(水) うまくいかんのお.

Allgood, Sam and Arthur Snow [1998] "The Marginal Cost of Raising Tax Revenue and Redistributing Income", Journal of Political Economy, 106(6), 1246-73 に再び挑戦.半分くらい読んだぞ.ちらっと眺めたときはぴんとこなかったのだが,これは静学一般均衡モデルだった.ということは,ちゃんと定式化すれば消費税だって何だって入れられる(かもしれない).しかも累進所得税を扱っている.こういう分野のモデルでありがちなのかもしれないけど,とりあえず解があるとしておいて,関数形も特定化しないで,1階の必要条件たちや,弾力性の定義や,スルツキー分解や,双対性の議論や,そういうのを駆使して,推定可能な形に変形する,という手続きをとっている.主体の均衡→市場均衡→比較静学というのがなんとなくだらだらと書いてあるのでちょっとよくわからなかった.たいしたことではないけど.しっかし計算がめんどーだ.全微分しまくり.全部読み終わる予定だったのに….
 しかし,1次同次のマクロ生産関数をおいて,利子所得は家計に帰属して,とかいうことをやっていると,実際のデータとしてどれを当てはめればよいのか気になるところだ.いやじっさい.

 国際マクロ経済学はメキシコの通貨危機を扱ったのだが,学部生はけっこう準備していて,なるほどねえ,とおもった.国の数が増えるのと,貨幣とかいう財が入ってくる話は基本的によくわからんのだけど(いいのか?).ファンダメンタルズのなんらかの悪化要因が,「危機」と呼ばれる状況になるというのを説明するのは大変だろうと思う.なぜクラッシュだったのか? ソフトランディングしなかったのはなぜか?というのは,ふつうのIS-LMでは説明しにくいし,ゲーム理論などが登場するところなのだろうなあ.

しかし,そのあと学部生にえらそうな話をしてしまったのは失敗だった.言ったこと自体はふだんから思っていることだからいいんだけど,あーゆー態度はよくないなあ.えらそうで.まるで○○くんのようだ(特に名を秘す).自己嫌悪.

テイラールールがカオスをもたらすことがあるらしい.っていっても,完全予見なんだからパレート効率的じゃないの?貨幣があるからそういう設定じゃないのかしらん.うー(悩).


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