たまに××したり。
INDEXこれまで。それから。


2002年10月12日(土) 10年目のラブレター。

あたしはその昔、マメな女であった。
今のように、携帯もメールも普及してなかった頃、恋人にはせっせと電話をし、手紙を書き、週末は必ず予定など入れず、ひたすらデートのために空けておくような女であった。
前夜熱が38度あろうと、解熱剤飲んでまでデートに向かったこともある。

週に1度ではなく、毎日のように会っていてもその合間には手紙で愛を綴ってみたり、とにかくマメな女であった。
あたしに愛される男は、その絶対的拘束に如何に耐えるかと言うのが必須条件であった。愛される幸せと同時に得るのは異常なまでの束縛だ。

まあ、たいていの場合、その息苦しさに耐えかねて逃げられてしまうのがオチで、こんなに思っているのに、の裏側には自己満足以外の何ものもなく、うまくいかなくなって当然であることに気がついていく。

夢中になるあまり、我を失い、相手に合わせようとするあまり、不自然な自分が存在するようになる。

いくつかの恋を経験して、いくつかの失恋を経て、うまくいかなくなる原因の一つは自分自身にウソをついていることにある、と気が付いた。

夫と結婚することにしたのは、ありのままのあたしを受け入れてくれたからだ。
わがままであり、自分勝手である、そんなあたしを半ばあきれながらも、決して見捨てることなく、見守ってくれた。
時折、いろいろなことで、精神のバランスを崩してしまうあたしの、傍から見たら、手のつけられないほどの壊れっぷりもしっかりと受け止めてきてくれた。

10年も経てば、一緒にいることが当たり前になってしまう。
お互いを思いやる気持ちも少しずつ、薄まっていく。
言わなくても分かるだろうとか、そこまでしなくてもいいだろうとか、思ってしまいがちだけど、本当は違うと思う。
近くにいるからこそ、きちんとした形で、お互いを思いやる気持ちや、優しさは形にしていかないとだめなんだ。

結婚して10年。約束していた指輪はもらえなかったけど、夫が送ってくれたメールは、今までで一番嬉しいプレゼントだった。
ねぎらいと感謝の言葉、10年の思いがたっぷりとこもったそのメールに、ついうっかり涙ぐんでしまった。
くそ。してやられた。


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うらら |あばら家足跡恋文

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