日々雑感
DiaryINDEXbacknext


2005年06月14日(火)

あじさいが咲いている。裏庭にはドクダミの花。もう梅雨入りしたと思うのだが、これまでのところ雨の降る気配なし。湿度ばかり高い。

大岡昇平の『成城だより』(講談社文芸文庫)再読する。当時70歳を越えていた大岡氏の好奇心、何より柔軟さ。アニメ「名犬ジョリー」を見ては亡くなった犬の姿を思い出して涙し、偶然見た映画「ネバーエンディングストーリー」を「拾い物」として絶賛、少女マンガに読み耽っては、5歳の孫に「おじいちゃん、そんなに少女マンガ読んでどうするの」ときかれる。文学界隈だけでなく、時事ニュースやスポーツ、映画、そして日々の暮らしの諸々、偏見なく向き合って、よいものはよい、詰まらないものは詰まらない、バサバサと言い切って、けれども決して声高に正論や主張を唱えない。

登場する顔ぶれもいい。盟友・埴谷雄高は「酔払って、中野(孝次)への小説作法講義繰返しとなること、ラヴェル『ボレロ』に近し」、富士山麓の別荘地において隣人だった武田百合子も何度も現れる。これが書かれたのは80年代、多くの人がすでに故人となっている。20年というのは、そういう時間なのだ。

夜、ゴキブリが出た。古いアパートなので覚悟はしていたが、ついに来た。以前ならば、完全装備したうえでおっかなびっくり対決していたところ、今回は不思議と冷静、窓の外へと追いやって出て行ってもらう。神経が太くなったかもしれない。


ブリラン |MAILHomePage