日々雑感
DiaryINDEXbacknext


2005年05月13日(金)

夜、アパートに戻るべくいつもの角を曲がると、路地の向こうに女性の影がある。上下とも真っ赤なパンツスーツ。赤づくめというのは暗がりの中でもそこだけくっきりと浮かび上がり、瞬間どきりとする。

それで、思い出したはなし。

小さい頃は、毎夏、海のそばの広場にて盆踊りが行われていた。やぐらが組まれてお囃子が響き、金魚すくいや綿菓子の屋台もあったと思う。親戚の家がその広場の向かいにあり、ある夏、そこの2階から小さい者たちだけで、盆踊りの様子を眺めていたのだ。

北のほうでも、お盆の頃は暑い。8月の夜の少し重い空気の中で、ぼんやりとした灯りの中を行き交う人びと、今は閑散としている町の中だが、あの晩はずいぶん人出が多かった。

ふと気づくと、そうした人ごみの中に、真っ赤な影がある。

そばにいた親戚の男の子が指差した先に、上も下も真っ赤な服を着た男性がいて、ひとり歩いている。面白がって眺めていたのだが、よく見ると何だかおかしい。そばには大勢人がいるのに、誰もその男性が見えていないかのようなのだ。

急に気味が悪くなり、窓辺から離れてしまったのだけれども、あれはいったい何だったろう。そもそも「ほんとうに」あったことだったのかも、今となっては自信がないが。

ちなみに、今日見かけた女性は、うちのアパート近くの猫広場にて、野良猫たちをかまっていたのだった。このあたりの野良猫は、そろって巨大。化け猫のごとし。


ブリラン |MAILHomePage