日々雑感
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上京一週間目。近所に住む友人と飲みに行く。
人通りもない住宅街を延々と歩いて約30分、知っていなければ通り過ぎてしまいそうな一角にひっそりと看板が出ていた。店内は、カウンターと小さなテーブル席が3つほど。そんなに広くはない。お客も誰もいない。テレビから、何の番組だろう、笑い声が響いてくる。隅っこの席について、とりあえず生ビールから始める。
友人のおすすめのモツ煮込みも、にんにく醤油で食べるレバ刺しも絶品。お店のおかみさんが「このあいだも来てらしたわよね」と友人のことをおぼえていたのは、そのとき、モツ煮込みを三杯おかわりしたためらしい。そうです、と笑いつつ、この日も同様におかわりを三度繰り返す。「花と蝶」という、すごい名前の焼酎も美味い。
気がつくと常連らしき人びとが次々にやってきて、店内は満員だ。地元の飲み屋を甘くみてはいけない。あちこちからかかる注文の声。場の空気がだんだんと、いい感じに緩やかになってくる。やがて、常連客のひとりが「今度はいっしょに飲みましょうね」と言いながら、握手して帰っていった。
幸せな気分になるのは、こんなに簡単なのだ。長い帰り道も、酔っ払いにはあっという間である。遠くに高いビルの灯りが瞬いている。高速の音を低く聞きながら、ふらふらと歩く。
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