日々雑感
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2002年10月02日(水) 時間の淀み

台風一過。少し暑い。

帰り道。いつも歩く通りの一本裏へ入ってみると、古びたトタン屋根の大きな建物がある。そばへ近づくと、中にはいろんなお店がぎゅっと詰まって並んでいる。カタカナで「ショッピングセンター」と書かれた看板も錆色。住宅地の路地のすきまに、こんな場所があったのか。

魚屋、八百屋、豆腐屋、雑貨屋。ひとつ屋根の下、それぞれ小さな店の奥に、お店の人がひっそりと座っている。電球の鈍い灯りと、外からの光でできる影。時計の音が聞こえてくるような気がする。

こんなふうに、外の世界から忘れられたような場所というのがある。時間の流れがそこでは淀みをつくっている。例えば、ほんの数日前に入った喫茶店もそうだった。または、青森のとある町、駅前にあったバスの待合所。墨で書かれた時刻表も路線図も、色とりどりのお菓子や雑貨が置かれた売店も、いったいいつからそこにあるのかわからない。時間の感覚がなくなる場所。そうしたところは、なぜか決まって薄暗い。光の届きにくい場所では時間も動きが鈍くなるのか。

夕方、近所のおばちゃんの会話。「昨日の風で、神社の銀杏たくさん落ちたんだって。知ってる人はみんな拾ってたわよ」。まだ青い銀杏。拾ってみんな、どうしたろう。


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