日々雑感
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2002年04月29日(月) 誰かのポップコーン

休日ということで通りは歩行者天国。ふと目をやると、道路の真ん中にポップコーンが散らばっている。すぐそばにはプラスチックの容器もある。近くのお店で買ったものを誰かが落としてしまったのだろうか。白いポップコーンはそのままに、人がどんどん通り過ぎてゆく。

思い出す。たぶんあれは幼稚園の頃、弟と二人、母親に連れられて小学校の運動会を見物に行ったのだ。親戚のお兄さんがいたからだと思う。運動会にはお祭りでよく見かけるアイスクリーム屋台が出ていて、パラソルの下におばあさんが座っていた。ピンクと黄色と、二色が混じり合ったアイスクリーム。

離れたところからじっと眺めていたら、母親が買ってもいいよと小銭をわたしてくれた。めったにないことなので、弟と二人して、興奮気味に屋台まで走る。おばあさんは差し出した小銭を受け取ると、コーンにアイスクリームを詰めてゆく。ピンクと黄色と、ちょうど半分ずつ。息を詰めて見守る。

大盛りのアイスクリームを受け取り、満足して母親のところへ戻ろうしたその瞬間、つまづいて手からアイスクリームが落ちた。草の上にピンクと黄色の固まり。暑い日だったのですぐに溶けてゆく。悲しいような、情けないような、あのときの気持ち。運動会のピストルの音。歓声。スピーカーから流れる音楽。はっきりと覚えてることに自分でも驚いた。

道路に散らばったままのポップコーン。誰の手から落ちたのか。そのとき、どんな思いだったろう。

通りには小さなスピーカーがついていて、休日になると音楽が流れる。今日の音楽はなぜかマドレデウス。ものがなしい旋律と歌声は、休日向き、歩行者天国向きかというと微妙だ。自分自身も何となくものがなしい気分になって通りを歩く。

快晴。ずいぶん高いところに薄い雲がある。


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