日々雑感
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2002年01月06日(日) いちばん古い記憶

一日中、持ち帰りバイト。ストーブのある部屋でせっせと仕事をしていると、母が練習するピアノの音が聞こえてくる。その音を聞きながら、ふと小さい頃のことを思い出した。あれは何歳頃だったのだろう。やはり母がピアノを弾いていて、自分は離れた部屋でその音を聞いていたのだ。

そのとき、クレヨンで画用紙に絵を描いていた(それは、なぜか青い地球の絵だった)。クレヨンを動かす手をふと止める。夕暮れどきで、部屋には夕日が差し込んでいる。部屋には他に誰もいない。ピアノを聞きながら、何か急にものがなしくなって、クレヨンを置いて母の姿を探した。

古い記憶は、みな断片的だ。ほんとうにあったことなのか、実はなかったことなのか、その境界線も曖昧である。父のいちばん古い記憶は、祖母の背におぶわれて、空襲警報を聞きながら逃げたことだという。年齢でいえば2歳になったかならないかの頃だが、サイレンの音と遠くの空が赤く染まった様子をはっきり覚えているらしい。「怖い」という強烈な思いが、その光景を深く刻みこんだのだろう。

自分の古い記憶。チューリップ畑に埋もれて歩いたこと、梨の実を箱に詰める小屋、夕方の部屋の中を横切った猫(鏡が夕日に光っていた)。そして、ピアノの音。そうした光景が私の中に刻みこまれたのはなぜだったのだろう。何か強烈な思いがあったはずなのだが、今はただ光景だけがはっきりと浮かぶばかりである。

持ち帰りバイトはなかなか進まず、結局半徹夜。新年早々。


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