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■ SAKURA(※鬱病注意)
※以下の話はフィクションです。 コレに対する感想・意見・その他は一切受け付けません。
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"キレイ"なものを"キレイ"と思えないなんて 悲しい人。
満開の桜の下、私は薬の性でぼうっとする頭を少し左右に振って、そう自らを嘲った。 心に余裕がないと、そういった感情が薄れてしまうものらしい。
風を受けて、一面に舞い広がる花びら。 それに視界を覆われながら、一つの小説が頭の中に思い浮かんだ。 テニプリのSSにおいてある、不二菊小説『サクラ』 2年程前、同じ桜並木を歩きながら作り上げた作品だ。
『落ちてくる花びらをキャッチできると、願いが叶うんだって』 話の中で、そう無邪気に菊丸が笑う。
手に触れそうで触れない、そんなもどかしさを持った花びらに 僅かな期待を込めながら作り上げた捏造。ありそうでない嘘。 実際にはそんなジンクスなんて存在しない。
しかし、私は今回それを信じてみた。
ふわり、と風を受けてサクラが舞う。 花びらが私に向かって大量に降り注いでくる。
人目を少し気にしながら、ゆっくり、ゆっくりと手を伸ばす。
殺して
殺して
私を殺して…
舞い上がる花びら一枚一枚に、そう願いを込めて見つめる。
苦しまないように
痛くないように
幸せに死んでいけるように。
私を殺して。
それが、花びらに託すたった一つの願い。
ひらり、と目の前に薄いピンクのかけらが舞い降りたとき 顔に歪な笑みが浮かんだ。 どんな形にしろ、ここ数日、見せることの少ない笑顔だった。
残念ながら指をすり抜けていった花びらは、温かい日差しを楽しむかのようにゆらゆらと地面へ落ちて行く。
殺して。
爽やかな風が通り過ぎる度に、私は花びらに向かって醜く手を伸ばす。
自分で命を絶つ勇気を私は持っていないから。
だから 殺して。
生きる自信も。死ぬ自信もないから。
花びらに殺されるなんて、なんて雅で素敵な最期。
サクラの花よ。
もしも願いが叶うなら
殺して。私を
安らかに逝けるように。
もう両の足で立っているのさえ苦痛だから
散り逝く姿を美と崇められる貴方に
殺されるのなら私は本望。
2004年04月08日(木)
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