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≫2005年09月29日(木)≫デビュー |
ケンジに会った日の話。 半年ぶりに会ったケンジはちょっと髪が伸びてた。 床屋に行く暇もないほど? うん、そうなんだ。残業続き そう… 無理に半休をとってあたしを迎えに来たケンジは 前と同じ照れたような顔であたしをみる。 あたしは、その日の朝、というより ケンジの車を見つけるまで、連絡したのをひたすら後悔していて、 きっと会ったって楽しくないんだ、とか きっと帰るときは気まずさでいっぱいなんだ、とか そんなことばかり考えていて 前はあんなに、会う瞬間が待ちきれなくて 幸せでいっぱいだったのに なんだか初めて味わう種類の後悔。 あたしを拾って お決まりの部屋へ向かう。 元気だった? うん どれくらいぶり? 半年…それ以上かな… 焼き鳥屋行った以来? ああ、そうだね 冬だったね 冬だったかぁ 前と違って ケンジは優しかった。 前も優しくないわけじゃなかったけど すっかり痩せてしまったあたしの体を見て ちゃんと食べて…病気になっちゃうよ なんて言う。 そんな言葉は聞いたことがなかった あたしもう病気なんだよ。 もうずっと前からなんだから。 時間がない… なんの時間? ふたりでいる時間が… なんでそんな寂しそうにぎゅってするの。 それは前はあたしの役目だった。 お別れのキスだって前はしてくれなかったくせに。 じゃあね…って言っても なかなか車のドアを開けてくれない。 また…メールして うん 俺もするから うん また… 朝の後悔はすっかり消えていた。 楽しい時間をすごした、と思えた。 これが「わりきってつきあう」ってことなのか。 一緒にいる瞬間だけ相手のことを好きになる 終われば、何の想いも苦しさもなく 自分のココロに都合よく それができるようになっちゃったんだ、あたしは。 朝の後悔はもしかしたらこれだったのかな。 でも苦しいよりずっといい、って思うあたしは やっぱり病んでる…。 |
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