金糸雀...無法地帯
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2004年01月02日(金) これだけ。<夢100題:067.歩き続ける>

これだけのっけて寝ます。
駄目だ、眠い。眠い。眠いぃいい!

多分ケン夢で。(多分も何も…)
SideB…ちょっぴりグリーエン。
オミとヨージが出張ってます。
「The Road」を聞いていたらイメージが絵でなく夢として出てきました(笑)
だから隠れタイトルは「The Road」(笑

こやぴのソロが切ないよね…。



- 067.歩き続ける -





夢を見た。





とても切ない。





目を覚ました今でも、胸が痛む。








「じゃあ僕はここでお別れ。」

「ああ、俺も。」

真っ暗な世界で4人が立っていた。
ひんやりとした地に足をつけているのは解っているのに、
自分はカウントされない。
自分がそこにいるという実感が無かったんだ。

ただ見守っているだけの、存在。


オミ君とヨージが一つ言葉を告げると、他の二人はこくりと一つ頷いた。
全員が少し寂しげに笑っているのが印象的だった。



「元気でな。」

「そっちこそ…ってま、お前には言わなくても馬鹿な位能天気そうだ。」

「…お前なぁ、最後の最後まで…。」

こめかみをひくつかせて、恨めしそうに見上げるケン。
それに大してくつくつと喉を鳴らして笑うヨージ。
その横で、オミはいつものように止めに入ろうとし、
二人の様子を見ていたアヤはふっと一つ笑みを洩らす。

「もぅ…二人とも、」

「少し、」

「え?」



「寂しくなる、いつもあったものがなくなるからな。」



「…そうだね。でもそれって、今まで…倖せだった、って事だよね?」

「ああ、…一握りの。」







[ …。 ]

彼女は泣きそうな表情でやりとりを見つめていた。
「みんなで一緒にいようよ」そう言って引き止めたい。
だが、言葉は届かない。
手はすり抜ける。
伝える術はどこにもなく、弱い気持ち。







「じゃ、俺たちは行く。」

「じゃーな!」

背中越しに振り返りながら、手を振る二人は足を一つ一つ前に出す。


「二人とも!」


オミが大声で何かを伝えようとしていた。
大きく息を吸い込み。




「倖せになってよね!」




足をぴたりと止める。
ヨージは「そうだぜ」というようにこくり、一つ頷いた。
足を止めたアヤとケンの二人振り返り。




「おぅ!」
「ああ。」




片手を上げて同時に返した。
本人の中のとびきりの笑顔も忘れずに。
それから再び歩き出す。













「行っちゃったね。」

「ああ。」

二人の背中を見送り、見えなくなった頃ぽつりとオミが呟いた。

「なあ、」

「え?」

二人にもまた、別々の新たなる「道」が出来ていた。
続く先はまだ見知らぬ「答え」。




「倖せっつーけど、あの二人はいつまで十字架を背負わなきゃなんねーんだろうな。」




二人の姿があった場所を見つめる。
暗い面持ちで、見つめた先は黒い「地」。
オミはくすっと笑い、

「それは違うよ、ヨージ君。」

「あ?」

「あの二人だけじゃない、僕達一人一人に突き刺さった十字架だって、」

「…」

「これから突き刺さっていくあの二人の十字架だって、皆…」

彷徨っていた視線をヨージに向け。






「『Weiβ』の十字架だから。」






「ぁ…。」

「だから、あの二人だけが背負うんじゃない。
あの二人に突き刺さった十字架だって、僕たちに突き刺さるのと同じ!

例え、」

「…ああ、例え離れていよーが、記憶をなくそーが、か。」

「そう!皆で…いつだって、背負っていくんだよ。一緒に。」



「…どっかの体力馬鹿がいいそうな台詞を言っちまったな。」

くつり、と喉を鳴らし言葉を続け。

「けど、そーゆーのも嫌いじゃない。」



「ほんっとーに最後の最後まで、って感じだねヨージ君は。」

オミはふふっと可笑しそうに笑い、また見送った方に視線をやった。

「一握りの倖せ、かぁ。」

「は?」

「アヤ君が、さっき言ってたんだ。」

「…アヤがぁ?」

ぷっと可笑しそうに吹き出した。
仕舞いには「ありえねー」とまで言い出し。


「聞、い、て。」


耳を引っ張り。

「その小さな倖せをきっと、あの子を中心に作られていくんだよね。」

「あーいつはどこまであの二人を『倖せ』とやらにしてくれるんだか。」

「生きてる限りはずっと、だよ。きっと。」






[ そんな、切なそうな顔しちゃヤダよ。オミ君…。
私が、…倖せになんかできるわけ、…ないじゃない。 ]

はらはらと涙が零れ落ちていく。
頬を伝い、ぽろぽろと止まる事の無い涙。
目の前で、耳届く台詞を、アヤとケンを追っていく自分の姿見て言っていたから。
自分に向けたものだとわかった。
拭っても駄目、目を抑えたって駄目、…止まらない。




「っ…!」



[ 声が、 聞こえる。 ]

自分を必要とする声。
心配で、不安で満ち満ちた表情。



「…にを、…そ、なに…?」



ふゎ、と視界が明るくなり夢だったんだと理解した。
明るくなった眼前には愛する人の顔。
鼻同士がこつりとくっつきそうな程近い。
ベッドで寝ていた自分の頭の横に手をつき、
今にも…



「なきそうな顔してるよ?ケン。」



くすっと笑って言う彼女に、
痛々しげな瞳をむけ。



「そりゃお前だろ?ぼろ泣きしながら寝やがって。」



ふーっと安堵の息を見せ、がっくしと肩を落とし首に顔を埋められた。

「へ?」

「よく見てみろ。」

鏡を突き出され、自分の涙に戸惑った。

「…なんで、」

「ったく、器用な奴。」

ふっと呆れた様な、安心したような…どちらにも取れる笑みを浮かべた。




「ケン、」




「ん?」




「倖せになってね?」




「…おまえなぁ、」













「『倖せになろうね。』、だろうが!」

ごく普通のことのように言われ、
力強く言われ、
謝るしかなく、
不安を見せる彼に苦笑を贈る。



これが、一握りの倖せなんだ。



今、はっきりと感じた。




気付いたら、
こんな所にまでいた自分。


それでも、


歩き続けるんだ。
その先を。



ずっと、ずっと、ずっと、ずっと…



遠く遠くまで、
自分が果てるその時まで、



「一握りの倖せ」を優しく抱きしめながら。






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白兎 |MAIL

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