金糸雀...無法地帯 DiaryINDEX|past|will
明日ですね、KYO24巻。 またケン犬(笑) にゃー!(何) 先日の、「072.色のない世界」の続き…というか逆サイド、というか。(むむぅ) - 074.寂しいね。 - 今度はケンが風邪を引きました。 「ごめんね、私の…移っちゃったんだよね。」 しゅーん、と耳があれば垂れ下がっているだろう程の落ち込みよう。 眉間はしわをよせ、まゆも尻尾も耳も垂れ下がる。 先程からこいつはタオルを変えたりしながら、「ごめん」を繰り返した。 「だーから、気にすんなって言ってんだろ?」 「…でも、」 「でもじゃない、」 「……わかった。」 「よし。」 と、納得させるものの数分後にはやはり居たたまれないらしく「ごめん」が出てくる。 これも繰り返し。 「ケンが望む事だったらなんだってするから、」 「おぅ。」 「だから、…なんだって言ってね?」 「わーったから、な?」 こくり、と一つ頷き腰を上げる。 それから台所へと消えた。 唇を噛んで、何も出来きないことに腹が立つ。 実際、「何もできてない訳じゃない」ってのに。 十分、心が…休まってる。 お前がいるだけで、さ。 看病してっと、全然解らねーんだよな。 先日自分も経験した事で、 思わず苦笑が出た。 「にしても、…ほんっとに引くとは思わなかったぜ。」 ぼぉーっとしてくらくらする。 こんな思いを彼女が1週間程していたのか…。 ふとそんな考えがよぎって目を瞑った。 躯が重くて、 絶対、…あいつに移しちまうって思って、 でもあいつは部屋から出ようともしない。 むしろ、 そう、 むしろたかが一個の林檎をむく時だってそばに寄ってくる。 「えへへっ、前よりは皮むきが上手くなったんだよ。」 へらっとした気の抜けた笑みを浮かべて。 「店番の時そんな顔すんじゃねーぞ?」 以前、一度注意したことがある。 けど「なんでなんで」と逆に質問攻めにあった。 それからはこいつの時は俺が一緒に当番にしてもらった。 悪い虫を追っ払うために。 「へぇ…。で、今見せてくれるって訳か?」 ぎこちねーだろうが笑って、 なるだけこいつが安心できるだけの笑顔を向けた。 「うん、お披露目ーっ!」 そういってしょりしょり向き始める彼女の手先は不器用だ。 料理ができない、ってだけじゃなく、他の裁縫だってまともにできない。 ま、そーゆートコも可愛いわけなんだが…、 「だーっ…あぶねーっ……て、の。」 指先が今にも切れてしまいそうな手つき。 普段は俺がやってんだもんな。 「慣れない事、すんな…って、な?」 くらくらする意識をなんとか引きとめて口を動かす。 熱くらいで情けねぇなあ。 「ぅー…やるったらや」 「駄目だ、俺がやるから貸してみろ。」 「…やだ。」 俺が強く言ったって、こういう時のこいつは聞かない。 意地が強ぇってのは解ってはいる。 …が、 こいつが指切った所なんざ見たら安心して寝ていられる訳もない。 「ほら。」 「や、やだ…できるよ!」 「むくれたって駄目だ。」 「……つ、つーん!」 「拗ねたって駄目だ。」 こんなやりとりが続いて、結局折れるのは… 「はあ…、じゃあ…やるだけやってみろよ。」 俺なんだよなあ。 惚れたモンの弱みって奴。 頭を一撫でし、すぅーっと髪の先を梳いてやる。 「うんっ!」 それから嬉しそうににっこり笑って手を動かし始める。 危なっかしい手つきは全然変わらない。 そそっかしくて、見てるだけでも「いつ切るか…」って心配ばっかだし。 でも、 嬉しそうなの見るだけでいーってのは、なあ…。 自分でもなんつったらいーかわかんねーけど、 悪い事じゃねぇよな。 「よし、でーきたっ!」 じゃん、と俺の前に出して見せる。 それはぼろぼろで、身も……小さくなってる。 「ぷっ。」 「な、何…?」 「…お前、…皮、すんげー厚くむいたろ?」 「ぅっ…、ま…まあ食べられれば問題、…ない。」 完全に縮こまっちまった。 俺はぷっとまた笑って、 「しょーがない、お前のむいたもんだし、貰うよ。」 「…うんうん!」 ぱあぁっと目を輝かせて、こくこくっと何度も頷く。 一口食べて、俺は「りんごは美味い」といってやると拗ねて言う。 「…どーせ皮むきは下手だもーん。」 「んなこと言ってない言ってない。」 ぽんぽん、と頭を撫でてやり。 「もぅ……あ、またそろそろ眠った方がいいよ?熱は?もっかい計る?」 今までの明るい顔を一気にしゅんとさせて再び、眉間にしわがよった。 「や、へーきだな。寝てりゃ治るって。」 「うん……」 しゅんとしっぱなしのこいつの表情を見ていたらぽつっと思わず口に出た。 「ごめん、な。」 寂しい想いさせて。 「…ぇ?」 「…んや、なんでもねーよ。」 ついこの前の自分を思い出して思っちまったんだ。 いつもの時間、タイミング、瞬間、…そこにこいつがいないって知らされる。 こいつを想った瞬間、こいつがいないって、 抱きしめる腕には何もなくて、 触れる筈の指先は空を裂く。 急に寂しくなってくる、 胸に穴でもあいたような感覚に襲われる。 それを実感して…、 こいつも、 寂しーんじゃねぇか? って。 とんだうぬぼれだよな。 ふ、と笑って目を瞑って力を抜いたら一発で眠気に誘われた。 「 ――――――…ケン、 」 「私、」 「寂しく、ないよ。」 ちゅ、と頬に柔らかい感触。 「すぐに元気になるって、知ってるから。」 そう彼女が、俺に言った事はわかるはずもなく、 俺は懇々と眠り続けた。 後日、俺もあいつもぴんぴんしてて。 何故か、アヤが風邪を引くことになった。 何故あーにゃん。 ごめんね、とばっちり。(爆 はわゎ、…寒ぃー。 とはいえ、北海道はこれ以上なんだろうね…ハルカちゃん。(微私信なの!?:笑
白兎
|MAIL
|