Opportunity knocks
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コドモと一緒に「マグリット展」を見にいった。 午前中洗濯だのトイレ掃除だのやってたら、家をでたのがお昼近くになってしまったので、着いてすぐお昼ご飯を食べることにした。何が食べたい?と訊くと、和食が食べたい、というのでお気に入りの和食屋(もともとは鮮魚店だったところで、とても魚が美味しい)に行った。湯葉巻き豆腐、もずくの甘酢あえ、れんこんのはさみ揚げ、さわらの西京焼き、釜飯なんかが一緒にでてくる定食を頼んだ。 魚好きのコドモはとても気に入ったみたいだった。
お店を出てから美術館へ向かう。 「そういえば、かあさんと美術館へふたりでいくなんて初めてだね」 「うん、そういえばそうだね。良いでしょ、たまにはかあさんと行くのも。」 「うん。そーだね。」 天気の良い中、そんなような会話を交わしながら歩いた。
市美術館。 会場内はかなりの混雑ぶりで、マグリットって結構人気があるんだなとびっくり。 コドモは自分の気に入った絵はじっくり見て、ぱっと見気に入らない絵はさっさと素通りしていく。それでも時々、わたしのところに戻ってきては、あの絵が気に入っただの、あの絵は少し気持悪くて嫌だのと感想を言う。いろんな感想があって結構面白い。特に気に入った絵は、大きな岩がパステル色のブルーの空に浮遊している「現実の感覚」という絵と、「光りの帝国」という絵。 なんで岩が浮いてるの?何で鳥が空の色なの?何で部屋が石になってるの?なんで女の人の顔に花が咲いてるの?なんで鼻が伸びてるの?なんでなんで?・・・と何で?だらけだったらしいけど、とにかく面白かったとのこと。イメージを喚起できたかどうかはわからないけど、一緒にきて良かったなと思った。
わたしの感想はというと、正直いって思ったより楽しめた。抽象画とか現代アートとかに結構苦手意識があるのだけど、マグリットの絵はイメージそのものがすっと頭に入ってくるところがあって、全く違和感がなかった。 絵のわきにマグリットの言葉らしきプレートがつけられていて、その中でも、 「私の作品とは目に見える形の考えなのです。その考えは世界が私に与えてくれる像によってのみ形成されます。そしてその像はある秩序で集結され謎を呼び起こすのです」という言葉が印象的だった。 本来あるべきではない場所に対象を持ってくる(つまり岩が空中に浮いていたり魚が空を飛んでいたり)手法をデペイズマンというらしいのだけど、彼のそういう描きかたは彼なりの哲学というか考えに基づいたものだということが何となくわかった。顔の上に鳩が乗っていたり、女の人の顔に花が描いてあったりする絵をマグリットは多く描くのだけど、それは通常ではない描きかたで対象を隠すことによって見えてくる何かを描くためだったんじゃないだろうか。 隠すことによって、通常とは違うものを描くことによって、それまで見えなかった謎なり、違う面の世界を見せたかったような気がする。 そういうことを思いながら絵を見ていたら、ルネ・マグリットという人が、どんな人だったのかということが、よくイメージできるような気がした。
「マグリット展」を見終わってから常設展の方へ行った。 いつもと同じように、モジリアニの「お下げ髪の少女」とシャガールの「二重肖像」を見た。お下げ髪の少女は相変わらず何か問いたげな目でわたしを見つめ、 「二重肖像」はいつものようにどこか寂しげな雰囲気を漂わせていた。 「二重肖像」の感想を書こう、というコーナーがあって、コドモは二重肖像を見た感想を書いた。結婚式のドレスをきているのに何だか暗いね、このヒトタチ・・ とコドモは言った。
帰り際、大きな吹き抜けのホールでミュージアムコンサートがやっていた。ショスタコーヴィチの弦楽四重奏第8番ハ短調。チェロとビオラとバイオリンが2人、全員女の人だった。弦楽器の生の音をこれほど近くで聴いたのは初めてだったので、すごく感動した。楽器が作りだす音の震えが空間いっぱいに広がって、全体を覆っていた。素晴らしかった。
美術館を出て、ちょっとLoftで寄り道をし、ハーゲンダッツでアイスクリームを食べた。コドモはフローズンヨーグルトのペア(わたしは知らなかったのだけど洋梨のアイスクリームらしい)わたしはメープルウォールナッツとオレンジ&クリームのダブルを頼んだ。
帰りは足が痛いーと騒ぐコドモを引っ張りながら駅まで歩き、JRに乗って帰った。駅に迎えにきた連れ合いが、「どうだった?かーさんとのデートは?」とにこにこしながらコドモにきくと、コドモは「デートじゃないもん」と言いながらも「楽しかったよ」と笑いながら言った。たのしい1日だった。
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