Opportunity knocks
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| 2002年03月15日(金) |
唯一にして絶対的なもの。 |
朝、連れ合いが仕事に出かけていった後、ふとテーブルの上を見ると お菓子の紙包みらしきものが置いてあった。
ふむ。これはきっとホワイトデーのお返しということなんだろう、そう思って 中身をあけてみると、中にチョコレートの詰め合わせと村上春樹さんの短編が入っていた。 チョコレートというのが笑えた。 クッキーよりキャンディーより喜ぶと思ったのだろう。 だてに10何年も一緒に暮らしてないだけあって、よくわかってるみたいだ。
春樹さんの短編は、「蛍、納屋を焼く、その他の短編」だった。 読んだことのあるものだけど、本棚の中には入ってない。 わざわざ本棚の中をチェックして買ってきたのだろうか。
蛍〜は2番目に読んだ春樹さんの短編。 ちなみにいちばん最初に読んだのがパン屋再襲撃。その次が蛍〜、 その次がノルウェイの森、世界の終わり〜、ダンス〜、カンガルー日和と続く。 羊3部作はだいぶあとになってから読んだ。 最初にダンス〜から読んだため訳がわからず、風〜から読みなおしてダンス〜も再読したのを覚えている。
蛍は読んだ時、激しく揺さぶられた。心臓がことことと大きな音をたてた。 パン屋再襲撃を読んだ時に漠然と感じていたものが、はっきり形作られるのが わかった。わたしはこの小説家の書くものにはげしく惹かれている、 そうはっきり感じた。
それ以来ずっと春樹さんの小説を読みつづけている。 徒然にぱらぱらとページをめくることもあれば、ひとつひとつかみ締めるように 読むときもある。
春樹さんの小説がこの世の中に存在しなかったら、こんな風に本を読むこともなかっただろうと思う。単なる娯楽の1つで終わっていただろうと思う。 春樹さんの小説に出会えて本当に良かった。
今日はそんなことを思いながら、蛍〜を読んだ。
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