インフォームド・コンセント - 2001年11月10日(土) 32歳を目前に控えて、眼科検診に。 と言うのも、ある程度の年齢にならないと発病しない 遺伝性の目の疾患を受け継いでいて、その見極めに。 それを宣告された11歳の頃から約20年間、 30代になったら目にメスが入るんだなー…と漠然と思っていた。 先端恐怖症にとって、それは非常に怖いことなのです。 いや、そうじゃなくても怖いと思います。 なんせ目蓋が開けられた状態で手術をされるので、 術着を来た先生や鉗子やメスが向かってくるのが見えて、 それに抗う術がないというのですから。 そんなこんなで頭をグルグルさせながら、 25年来かかりつけの千葉先生の前へ座った。 暗室の中で、目にライトを当てられ、眼底検診を受け、 目の前に血管の残像が残るまま (外界が暗いので網膜に当てられた光に眼底の血管が反射して、 それが見えるのです)、 説明を聞いた。 「残念ながら、病気は受け継いでいます。」 「でも、手術はしなくても大丈夫です。 おばあさんになっても、手術する必要はないでしょう。」 足元が抜けるような感覚で、それを聞いた。 今の状態とこれからの説明を受けながら、身体が震えた。 待合室の母に、手術は一生しなくていいって、と伝えると息を呑んだ。 術後、視覚に後遺症が残ったのが娘にも、と同じ期間、気に病んでいたのだ。 しかし、 私はたまたま手術をしなくても良かったが、 少し状態が違っていたら、この冬にも入院しなければならなかったろう。 あの、地面が崩れ去るような感覚を乗り越え、 病に打ち勝って、 そして日常をおくっている人は、本当にすごいと思う。 私の心と身体に一番近いところにいるひとは、特定疾患を乗り越え、 仕事もそれは見事にこなし、他者への心遣いも一流。 すごいね、と言うと、美しい笑顔で「今は元気やからね!」と答えてくれる。 決して自分に甘えない、素敵な女性だ。 こういう人を愛せて幸せと、心から思う。 -
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