水野の図書室
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2018年05月17日(木) 荻原浩『金魚』

荻原浩の短編集「月の上の観覧車」(新潮文庫)、4番目の物語『金魚』。
これも、せつない。
哀しみがあふれてきます。

妻を亡くして、心を病み、精神神経科に通院している男性が主人公です。
ひょんなことから金魚を飼うことになり、在りし日の妻との日々を回想します。
若かったときのこと、結婚したいきさつなど、語りがとても自然で、すぐそばで聞いているよう。
何を後悔しているのか、わかりすぎるほどよくわかります。

夏祭りの描写が郷愁を誘い、美しい水彩画を見るような感覚。
金魚の赤が鮮やかに浮かびます。

そうですね。金魚で癒されることもあるでしょう。
でも、一緒に金魚を眺める女性を見つけましょう。
そう言ってあげたい。




水野はるか |MAIL
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