原案帳#20(since 1973-) by会津里花
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2003年08月25日(月) Anyone to help me...? 9/23ライブ中止

わたしはDV加害者でした。

もう3年も前にそれは終わったし、相手=元配偶者だった人は不問に付しているし、たぶん騒ぎ立てるほうがよほど相手の心をずたずたにしてしまうと思うので、わたしもそのことについてなんの補償もせず、できるだけ彼女とは接しないようにして生きています。

でも、今でもわたしの心の中で、ざわざわ騒ぎ立てる何かがいるのです。
そのせいで、ある掲示板に自分のことを書いてしまいました。

そしたら、心無い人が、そのことをネタにわたしをゆするようなことを書くのです。
ネット上で書いたことだけをネタにしているので、はっきり言って事実無根な勘違いまでされていて、正直言ってとても悔しいです。
わたしは、とっさにその「心無い人」が、あるわたしの知っているいやな人だと思ってしまったけれど、(たぶん大半は本当にその人なんだろうけれど)全てがそう、と決め付けてしまってはいけなかったのでした。
わたしには調べようがないから。

それから、わたしの心は音を立ててきしんでいます。
きっと、わたしに悪意を抱いている人は「ざまあみろ」と思うでしょう。
また、わたしを「支配」したいと思っている人は、自分がわたしに対して影響力を行使できて嬉しいでしょう。

わたしにも、そうした「影響力を行使したい、他人を支配したい」という気持ちが全くないわけではありません。
むしろ、たとえばネット上で、過去にそういう気持ちを抑えられずに人をつけまわしてしまったことだってありました。
でも、それって「ストーカー」でしょう?
今のわたしにはその自覚があるので、そういうことは一切したいとは思いません。

過去の過ちが現在の自覚で帳消しになるほど、世の中は「甘くはない」のでしょう。
(「世の中甘くない」という言葉を使うのはいやだけど;本当はわたしが思っているよりもずっと世の中は「甘い」はずなので)
でも、自覚があります。
自覚して生きるのは、ものすごく辛いです。
自分自身に犯罪者の烙印を焼き付けるようなものだから。
焼印は、ことあるごとに痛みます。疼きます。

わたしは、無理して男の役割をまっとうしようとして勘違いの努力を続ける中で、誤った「男ジェンダー」として「DV」に走ってしまったのです。
そのことを自覚したとき、「もうこんなくだらない努力は止めよう」と思ったのです。
だから、妻子がいたにも関わらず、女に戻る決意をしたのです。

本当は、離婚などしないで、幸い彼女がしっかりした職を持ち、わたしが働かずに家事に専念しても生活が立ち行く目途があったから、わたしは子どもに対する責任も自分が育児を担当する、というかたちで担っていきたい、と思っていました。

ところが、それは彼女の思惑とは全く相容れなかったようで、彼女には完全に拒否されてしまいました。
あくまでわたしに対しては「男として社会適応して生きていくこと」を、彼女はわたしに突きつけたのでした。
わたしにそれができそうもない、とわかると、彼女はさっさと子どもを連れて実家に帰ってしまい、わたしは一人ぼっちになってしまいました。
もしかしたら、彼女はわたしにそういう「制裁」を与えることによって「改心」するとでも思ったのでしょうか。

でも、わたしにはそんなこと、できるはずもありませんでした。
彼女に捨てられたわたしにできることは、離婚届を作って役所に提出することだけでした。

本当に、悪夢のような時期でした。
世間的に見たら、わたしが悪いのです。
「妻子を捨てて性転換に走った身勝手なやつ」
何度もそう言われ、叩かれました。

でも、だったら、もう限界を越えて自分では止めることもできない状態に更にストップをかけ、たとえば自殺するまで自分を押し殺して生きるべきだったのか?
それとも、わたしが「思い直して」、またDVをぶり返してでも「男らしく生きる」べきだったのか?

わたしは、そのどちらも正解だったとは思いません。
わたしは、40歳になる直前のあの時期、もう男性として生きることはできなくなっていたのです。
たとえ、上に書いたような歪んだ「男らしさ」ではなく、もっとしなやかでやさしい「適切な男性性」を学ぶことができたとしても、わたしが男の体を持ち、男として生き続けることは、もう許されることとは思えなくなっていたのです。

そのことには、あと一つだけ理由があります。
けれど、それはここにも書けません。人を傷つけることになるから。

もしもわたしではない他の人だったら、「女に戻る」という方法以外にも、救われる道は何かあったのかもしれません。
いえ、わたしじゃなければ「女に戻る」などという発想は浮かばないでしょう。
3万人に1人くらいしか、わたしと同じように自分のことを本当は女だなどと思っている生物学的男性はいないでしょうから。
たまたま、わたしの場合は、物心ついてからずっと自分に嘘をつきつづけて「男として生きなくてはいけない」と思いながら、その一方で「本当は女だ。自分は嘘つきだ」ということがわかっていた、というだけのことです。
ごまかしとおすことができたら、死ぬまでごまかしつづけるつもりでした。

でも、彼女と家庭を続けていこうとする中で、そのむなしい努力は力尽きました。
どのみち、嘘で家庭を続けようとすることが間違いだったのだろうと思います。

今こんなことを書くのは、わたしがある人(たち)からとても傷つけられたからです。
心が弱くなっているときに、見てはいけない場所を見てしまったのでした。
そのことも、これからは充分に気をつけなくてはいけない、と思います。
具体的には、他人の名前を何の配慮もなしにあげつらって、自分は匿名のままで罵倒しまくる、という卑怯で異常なことが平気で行われるような「匿名掲示板」はわたしが見てはいけない、ということです。

わたしの心は今、とても弱っています。
たぶん、そうでなければこんな暴露的なことも書きはしないでしょう。
たとえ自分の日記だろうと。

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9/23のライブは中止することにしました。
理由:
一見関係なさそうだけれど、↑のように自分を一生懸命追い詰めようとしているのは、要するにライブを成功させる見込みがないから、「激鬱」になればダメダメ〜になっても誰も怒らないだろう、というセコい根性からだと思う。
だったら、そんな「成り行き」みたいなんじゃなくて、自分で責任もってけりをつけたほうがいいと思う。

皆さん、ほんとうにすみません。


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