原案帳#20(since 1973-) by会津里花
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2003年03月26日(水) 総合病院にてGID診療 戸籍について

(午前中から起きてます)

★1・地元でのGID医療
★2・戸籍についての私の考え
★3・ついでに「9条解釈」



★1・地元でのGID医療

@ケータイ

今、地元の総合病院で、形成外科の受診が終わり、耳鼻咽喉科にかかるところです。
(渡り廊下の途中ならメールも許されるかな?と思って)
で、びっくり!
つい先週の土曜日にGID研究会で紹介された
「膣拡張器」
の現物が、目の前にあるじゃないですか!?
はっきり言って、お祭りの夜店でたまに売ってる「ピョコピョコガエル」と
似たようにしか見えないモノがなんで4000円もするんじゃい、
という気もしないではいけれど、
まあ需要なんか極めて少数のロットでしか作らないと思うので、
このお値段でも仕方ないか。
正式注文の手続きが済んだら再度連絡をもらう、ということで今は一旦お引き取り。

全て順調

except for 診察券の性別

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★2・戸籍についての私の考え

(帰宅後)

やっぱり、戸籍の性別も変更したい。
考えてみたら、私もう実家からは「分籍」してるので、
弟にも特に迷惑はかからないじゃないの。

あとは、ついでに「長男/次男/三男……」「長女/次女/三女……」という
きょうだいの序列と性別をごっちゃにした言い方を
やめてくれればいいのに。

戸籍法変えようよ。

日本には確かに、欧米、たとえば英語圏みたいに
「きょうだいの序列を言い表さない」ということはせず、
何番目の男か女か、ということを明確に言う言い方が
長くてここ数百年程度は「文化」として定着していたようだけれど、
(でも「日本語には『もともと』そういう文化がある」と勘違いしてはいけない;
たとえば『もともと』っていつ頃からのお話?)
現代の日本社会ではほとんど実質的な意味合いを持っていない。

にも拘らず「そういう文化がある」という「気がする」のは、
実は順番があべこべで、
「戸籍法が現行の内容になっているから、それが文化に縛りをかけている」だけ。

たぶん、いわゆる「田舎」の「長男が後継ぎ」なんていう風習も、
戸籍法を改正すれば長くて50年以内にはきれいに消えてなくなっていることでしょう。

今は専ら、親の老後を子の誰も見ないようになってしまいそうな家族で
「それでも長男/長女だから……」と
ヘンな言い訳に利用されるのが関の山。

そんなものを後生大事に保存しておくのは、
多くの家族の悲劇を起こすことはあっても
その逆はありえない。

なぜ私がこんなに、感情的とも言えるほど現行の戸籍法を攻撃するかといえば、
一つは確かに私自身が父から「おまえを長男として育てる」といって
魔術のように「恨みの連鎖」を着せられてしまったから、ということもあるけれど、
もう一つ、……
同じように父から「恨みの連鎖」を着せられ、
私以上に強い抑圧を受けて育った挙句に
父よりも早く死ななければならなかった、
私のいちばん上の兄の無念が言わせているのかもしれない。

あ、↑書いてから気がついた。
具体的に言う時は兄/姉、弟/妹、というのは
英語にはなく日本語にある便利な表現だと思う。
けれど、法律にそれが書いてある必要があるのか。

私は強く主張したい。
戸籍法は「第一子/第二子/……」などと、性別を含めずに
序列だけ書いていけばいいと思う。

序列、というより「生まれた順番」。
だって、それは「事実」でしょ。
もしかしたら「認知」とかの面で何か役に立つかもしれないでしょ。

でも、たまたま「いちばん最初に生まれた男子」だからといって
法律上何か特別な権益だの責任だのを付加されるようなことがあるのか。

少なくとも、現行法にはない。

だったら、「長男/次男/……」という言い方は止めろ。
それで苦しめられた日本人は、私だけではないはずだ。

しかも、その「言い方」によって、私の性別は法律上「男子」とされてしまう。
なんという不合理。
そんなに性別が必要なら「第一子・男」
「第二子・女(=現行法上は『長女』;この言い方で『家』に縛られる女性を
目前で見たこともある)」
とすればいいじゃないか。

しかも、「婚姻において憲法にある『両性の合意』という時の『両性』は書面審査でしかない、
だからリジッド(固定的)で変更し難い」
なんて、なんでそういうところだけまるで理不尽な迷路に入れられてしまったような
おかしな理屈がまかりとおっているんだろう。

戸籍上の性別が問題になるのなら、書面審査なんかじゃなく「実態」を審査すべきだし、
そもそもそんなことをする必要があるのか。

私は、「もちろん」と言ったら言い過ぎだけど、
「同性婚」を支持する。
映画「Torchsong Trilogy(『恋愛悲歌三部作』とでも訳す?)」を見てから、
その思いはますます強くなった。

結婚するのに「男と女じゃなくちゃいけない」なんて、
プライバシー侵害もいいとこじゃん。
そこまで言うなら、婚姻届に染色体の検査結果を添付させるようにしなくちゃ、これからは。
あっ、それじゃ足りないや、外性器の形状とか生殖能力の有無とか。

いったい、誰がどういう根拠であなたを、私を、「男」とか「女」とか
決めているわけ?

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同じ憲法に9条があっても自衛隊が「合憲」とされるのと同じように、
実情に合わせて法解釈を変えていけばいいじゃん。
「両性」というのは、結婚する二名の当事者=「配偶者」がそれぞれに固有する「性」の
その両方だ、と。
それがどんな性の組み合わせであるかまで、この条文は言ってないぞ。
(たぶん、GHQから草案をもらった時には「両性=男女」としかとれない語彙で書いてあったんだろう。
でも、ここは日本なので日本語に書き換えられている。
まさに「9条解釈」が現実の世界にあわせて捻じ曲げられてしまったように、
この場合は現実のカップルを救済するために
日本語の流動性を援用しよう!)

……里花は「判例」がどんなことになっているかはぜんぜん知らずに
この文章を書いています……
今までの判例を「ちゃぶ台ひっくり返す」みたいにぶち壊す言い方なのだろうけれど、
正直言って、そんなの知ったことか。


……

なんか、すごく極論している気がしますけど、どうしてもそんなふうに思えて。

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★3・ついでに「9条解釈」

日本国憲法第9条は、とても優れた内容の条文として認識しています。

ただ、ただ。
とても残念なことに。

「現実世界」が、まだこの条文の目指すものを現実のものとして
成し遂げていないのです。

だから、子供が考えても「おかしいんじゃない?」と思うようなヘンな解釈で
条文は残したまま、
日本の軍備を認めるよう「解釈」しています。

日本という国の政府に少しでも「外交」という政治行為をする能力があるのだったら、
一刻も早く、現実の世界をわが国の憲法に近づける努力をしなければいけないと思います。

ああ、そうだった。
「9条に見合わない現実」の最も残酷な表れは、
とても象徴的なかたちで全国のあちこちに見られます。

日本国中に(もはや「テロ国家?」疑惑さえある)アメリカ合衆国の軍事基地があります。

これらの基地によって、日本は、その国土と国民を、
「人質」にとられているのです。

逆らえばどうなるか。

簡単なことです。
各地の基地にある銃口の向きが、わが国の国民に向けられるでしょう。

旧・社会党で「左派」だった村山富市氏が首相に就任し、
たぶんその夜にいわゆる「ホットライン」で
(たぶん村山氏は英語がほとんどわからなかっただろうから、通訳を通して)
何かを当時の米大統領(誰だっけ?)と会話した、……
その結果、翌日には村山氏は、ほとんど彼の信念と180度反対のことを言い出したのでした。
「自衛隊は合憲じゃ」と。

他に何か、これ以上に雄弁な説明がほしい人、いますか?
私は他にはほとんど知らないけど。

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