2005年10月30日(日) |
なぁ、お前。このばかげた世界で。 |
あほうな失敗をする人間の方が明らかに多いのだから。
一緒のクソにまみれ。 一緒に考えられる側に回ったほうが、ずっとずっといいじゃないか。
確かに貴殿は利口な人間。 転落に至る大穴のありかを予測できるほど。
けれどもその先に堕ちてみないことには、永遠に。 その先に堕ちた人間の真実も見えては来ないだろ。
街角で軽やかに身を翻し、君は今。 三面ゴシップの世界から、すんでのところで逃れきったが。
その先はどこだ。 その後はどうだ。
君の利口な判断力を生かせるていどに利口者なら。 君の教えを乞うまでもなく。
そもそも堕ちたりしない。 そもそも君と同じ身振りで。
フタのないマンホールなぞ察知して。避けて通っている。
なぁ。このばかげた世界。 次から次へとあほうが穴に落ちていくのを。 呆れて見下ろすことに、ほとほと飽きちゃこないか。
本当の英知を試すにもってこいの場所ってのは、もう。
残念ながら机の上や。 上質な印刷紙の上には、残ってないんだ。
残念ながら、もう。
ずっとずっと地底に近い。
汚泥に近い人間の本質の薄暗い劇場の更に下の。
あほうどもの世界にしか、もう。
残ってないんだよ。
本当の英知を机の上や。
天球儀の上や。
図書館の奥さらに上。
ブーブー紙に包まれた美しい書物の中でだけ問えるような輝いた時代なぞ。
二度と巡って来ないってことを。
みんな知れよ。
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