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2004年10月03日(日) 走らない人々

べン・バウンダーさんと日本語のレッスンをするために、ボーイング社のオフィスに出向いているのだけれど、最初の頃 私は、受付のおばさんにいつもクスクスと笑われた。「さとこは、いつも走ってやってくるね」と言うのだ。遅刻しそうだと思わず走ってしまうのだが、余裕のあるときでもやっぱり私は走っている。受付簿に名前を書くときも、IDを提示するときも、せかせかと忙しそうにしている私に、「ちょっとくらい遅刻しそうでも、走らなくってもいいのに」と、小錦くらい太った黒人のおばさんに言われ、ああ、私ってやっぱり日本人なんだなあと再認識できたことが、(笑われてるのに)ちょっと嬉しかったりする。


夏休み前、夫のオフィスの近くに出かけていたので、「お昼まだだったら一緒に食べない?」と電話したとことがある。私は、オフィスとはホワイトハウスをはさんで反対側にいたので「10分ほどで着くよ」と言ったものの、工事中で、廻り道しなければならなくなった。走って持ち合わせ場所に行ったのに、夫はまだ来ていなくて、きょろきょろと夫の居るビルの方を捜していたら、夫が社長出勤ですか?というような悠長さでゆっくりと歩いてこちらに向かっていた。

「どうして遅刻しているのに走らないの?」と言うと、「アメリカでは走ってはいけないんだよ」と夫は答えた。(まさかぁ!? 学校の廊下じゃあるまいし)と私は思ったけど、夫が言うには、走っているところを見られたら、大物と思われないからダメなんだそうだ。(私なら、遅刻したら走ってきてくれたほうが好感持てるんだけど・・・)

「あなたも、偉くなったのねぇ」と言うと、夫は、てへっ(^^;;)と照れて「そんなことないよ」と言った。(あのーぉ、褒めてないんですけど??)

プレゼンテーションでも普段の態度でも、いかに自分をアピールするか、いわば自分が商品、高く売るってことが大事なのだとか。
ふーん、そうなのかと分かったような分からないような気持ちだったが、そうやって見てみると、どこにも走っている人なんていないのだった。


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