samahani
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2002年06月03日(月) アメリカ社会の中のユダヤ人

「ねぇ、アメリカの発祥の地ってどこだと思う?」と、息子1に訊いたら、「そんなもんあるわけないじゃん、日本の発祥の地がどこだって言われたら、答えられる? まー しいて言えばアラスカかな、大昔、大陸が繋がっていた時、そこから人類は渡ってきたんだよ。それよりママ、アメリカにはもともとネイティブ・アメリカン(インディアン)が住んでいたのは知っているよね?」って、しらっと言い放たれた。 ちっ いいようにアシラワレてるなぁ。

ボストンの常識は、『1620年に102人の清教徒が、イギリスからメイフラワー号に乗ってボストン南部の海岸に着いた。この地はプリマスと名付けられ、「アメリカ発祥の地」と言われている』なのである。だから(もとボストニアンの)わたしもずっとそう思ってきたのだけれど、お隣のバージニア州の常識はそうではないらしい。バージニアの観光ガイドには、「アメリカはここから始まった」とある。英国の最初の植民地がここにあり(1607年)、やがてここが独立戦争の舞台となったからである。

うちがオリジンだよと言いたいのは、どこの人も同じだろう。まあ、どっちでもいいのだ。わたしが言いたいのは、アメリカは、そうやって宗教的な迫害を逃れて、自由で平等な国を作ろうとした人達、この国にアメリカという名前をつけ、その宗教的教義と建国の精神を認めた人達のものではないだろうかということだ。もともとは。

わたしがそう思ようになったのは、ここに住むJewish(ユダヤ人)の強い勢力を「ひし」と感じるからだ。メリーランドでは、ユダヤ教の儀式の一つであるヤムキッパーの日は、学校が休みになる。ラッシュハナハの週末は行事(サッカーなど)が行なわれない。ボストンではそんなことはなかった。そして、ボストンでは休みだったコロンバスデーは休みにならない。なぜ、Jewishだけ特別なんだと、毎年それを不満に思う。(それなら日本の祝日も休みにして欲しい)

Jewishは優秀なので議会や官庁に多くの人を輩出している。実際、マグネットなどの優秀な子どもが集められる学校に行くのも、レベル別クラスの上級にいるのもJewishの子どもが多い。外見で分かる訳ではないけれど、彼らは自分から名乗るのである。

アルカイダに報復していったときも、どうしてアメリカは、よその国の争い(パレスチナとイスラエル)に首を突っ込むのだろうかと思っていたのだが、それはアメリカの政治にJewishが力を持っているからだと夫に聞いて、わたしは、ある日のスミス夫人の悲しそうな怒った声を思い出した。


きょう、ホロコースト・ミュージアムに行った。ナチスドイツが、600万人ものユダヤ人を大量虐殺した、歴史上もっとも悲惨であったと言われる出来事を伝えるためのフイルムや展示品が置かれている所である。以前、日本から来ている友人がスミス夫人に(観光した中で)どこが一番良かったかと訊かれ、ホロコースト・ミュージアムと答えようとするや、彼女は、言葉をさえぎって、「わたしは、あれが国有の土地に建られていることに納得がいかない」と言った。その様子に驚いて、それ以上は理由を聞き取れなかったけれど、敬虔なプロテスタントのクリスチャンであるスミス夫人がユダヤ人のことを嫌いだということはよく分かった。

「力のある者が支配する、しかしそれは無理やりではなく共通のルールの下(もと)に行なわれる。」

夫は、それがアメリカという国で、それがアメリカの良いところなのだと言うけれど、わたしは、400年も前に苦労してアメリカに渡ってきた、会ったこともないプリマスの人たちの気持ちを考えると、ユダヤ人に侵食されていくアメリカを複雑な思いで見つめざるを得ない。


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