キ ミ に 傘 を 貸 そ う 。
index|back|next
あけましておめでとうございます。 今年もひっそり書いていきます、都築はるです。
------------------------------------------
去年の12月28日。 高校の同級会に行ってきた。 スカートと、黒のブーツ。 普段はあまりしない化粧。猫をかぶるように、繕う。
懐かしい友達と会った瞬間、「はるがお姉さんになってるー!」 って言われた。 変わってないんだけど。
高校時。 私は皆が好きだった。 勉強だけにあけくれる訳ではない、あの教室の空気と温度。 どうして皆あんなに優しかったのだろうかと思う。 もうあの場所には戻れない。
飲み会。 みんな色恋沙汰話に華が咲く。 「彼氏できた?」 「彼女できた?」
そんな話ばかり。別にいいけれど。 年が上がるにつれて、独りであることがどんどん惨めに見えるのかもしれない。 妥協ばかりを持ち、独りじゃないことを確認できるように、誰かの好意を受け入れる。 悪いなんて言わない。軽蔑なんてしない。 ただ私は、もし傷つける事があるなら嫌ってだけの話。 軽い気持ちで付き合って、周りの人が傷つく場合もある。
周りを傷つけたくないのは、自分が傷つきたくないからとか。 そういうことはもう分かりきってるから。
皆お酒がまわってくる。 私は殆ど飲まなかった。
智樹と蓮が話しかけてくる。
蓮は、高校の時に別れた彼女とやりなおしたい、どうしよう。と私に相談する。 その首にかかっている2万円のネックレスを、私は知っている。 蓮の家庭事情は複雑だ。そのせいもあってか性格が何処かひねくれている。 私はそんな彼に怒ったり、軽蔑したときもあったけど。 なんだかんだ言って許したり、沢山話したりしていて、矛盾の多い生き物だ、人間て。 蓮は顔立ちが綺麗だから、あれで性格も曲がってなければね、と内心思う。
智樹とは、少し複雑な心境で話してた。 自分の感情を否定したり、理解不能だったりする私は、智樹のことも、どのように思ってたかよく分からなかったけれど。 高校のとき、多分私は智樹に惹かれていたんだと思う。 認めなかったけど。
飲んでるとき、少し昔のことを思い出した。 勘違いしないように笑ってた。
蓮の顔立ちに騙されないように、離れた。 結局私もみんなと同じなのだ。
お開きになって、駅に向かった。 中ちゃん(女のこ)と智樹と私で迎えを待った。 智樹が突然 「もう一生会えないってこともあるよね」 と言った。
哀しくならないように心を閉ざした。 「そうだよね。」 と、少し笑ってこたえた。
|