愛より淡く
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今まで生きてきて、
待ち人来たらず、というような目に
イヤというほど遭っている。
すれ違ってばかり。
あの時、何時間くらい待ったのだろう
待っても、待っても、来なかったので
そんな目にイヤというほどあってしまっている私は
絶望的な気持ちになっていた
泣きべそかきながら、もう店を出ようと思った時のことだった。
「ごめん。ミーティングが長引いて」って。
息を切らせて店の中に飛び込んできてくれた。
驚いた。
彼は、運転する時だけ、メガネをかける人なのだけど
その時は、メガネのままかけつけてくれたっけ
約束守ってくれてうれしかった。
忘れないでいてくれてうれしかった。
それから
互いの社用車で
目的地目指して走った
けったいなドライブだったね
私の車はずっと彼の車の後をついていった。
あ、もしかして、ツーリング?っていうのかな。
2時間以上かかったような気がする
遠かったよね
2時間。できればいっしょにいたかったよ
助手席に乗せてほしかった
ここからは運転が危険なのでと
ようやく助手席に乗せてもらったのは頂上までの
ほんのわずかな間だけだったね
途中で車を止めて
「ほら記念に撮りなよ」って
写真を撮らせてくれたっけ。
ふたりきり。
誰もいない。
見渡す限り、山、山、山、
緑、緑、緑
だったのに。
寄り添えなかった
なんだったのだろう
あの奇妙な距離
ある意味
密室のような環境だったのにね
頂上についても
岩をひとつ隔てて座ったね
あの時
何を話したんだろう?
そうだ
「ね。言ったとおりの絶景だろう?」
って言われたような気もする。
確かに絶景だったかもしれない
正直、上の空だった
かんじんなこと何も云えなかった。
云ってもらえなかった
最後だったのに
最後だったから?
。。。
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