愛より淡く
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2002年07月17日(水) ☆儚い衝動  ☆茶番だ

すぐに本社の人事部に電話をして確かめると、担当の人が出て、
「え?昨日電話でご連絡したはずですが」と言われた。そんな電話かかってこなかった。だいたい連絡受けてたら、あほみたいに、新幹線乗ってはるばるこんなとこまで来るかいな!!と切れそうだった。でも、ここで切れたらせっかくありつけそうな仕事がフイになる。それどころか今日の分の交通費ももらわれへんかもしれへん。それは痛い。

で、結局また明日行くことになった。なんだか出鼻をくじかれたようで、すっかりやる気を失ってしまった。でも行かんとしゃあないしなあ。


がっかりして新幹線に乗った。ふとこのまま東京まで行きたくなった。東京に行ったら偶然会えるかもしれないと思った。突然むしょうに会いたくなった。発作みたいに会いたくなった。
いや、もしかしたら、あの人も出張かなんかでいっしょの新幹線に乗ってるかもしれない。なんてそんなほとんどありえないことを考えて、キョロキョロしてそわそわしている自分がいた。あほみたい。あああ。ほんまにもういいかげんにせんと。忘れ去らんと。すっかり忘れとったはずなのに。

こんな時でさえふと思い出してしまうその人の存在が憎らしかった。

それでもうっかりすると浮かび上がってくるその人の存在を打ち消し、打ち消し、打ち消し、打ち消し、打ち消し、打ち消しながら、窓の外を通り過ぎる景色を目で追っていた。

そうしているうちに降りるべき駅に着いた。

一瞬このまま降りずに東京へ行きたいという衝動にかられた

でもできなかった。現実は過酷だ。現実は夢も希望もない。衝動はいとも簡単に打ち砕かれた。

なあんてことを思ったけれど、家路につくまでには、そういうのって旅につきもののセンチメンタルにすぎなかったのだと思い直した。

そして一夜明けたらキレイさっぱり忘れていた。そういうことにしておこう。

私は恋とは程遠いところにいる。もともと恋と呼べるほどたいそうな感情でもなかったのかもしれない。過去の想いに執着しているだけだ。自分ひとりで膨らませるだけ膨らませてしまった甘美な妄想、幻想。そのとおり。わかっているんだ。私が会いたいのは今の(どうなっているか見当もつかない)その人ではなく、19歳のその人なんだ。もうどこにもいない。いるわけない。

なんだか茶番だ。茶番だ。茶番だ。




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テキスト庵さん