甘い煙
頭出し|巻戻し|早送り
あの子のこと、やっぱり好きだったなぁと思う。 過去形で言えるかな。わかんない。半々?
いくつか、ここに行こうあそこに行こうこれしよう、って約束していたことがあったのに、全部できなくなってしまった。 全部、したかったんだけどな。あの子と。 でも、ひとつ実現するごとに、言うつらさが、重さが、ずんと増してしまうのがこわくて。 遊びに行きたかったし、先に進みたかったし、笑顔を見たかったし、嬉しいとか楽しいとかいっぱい感じて欲しかった。もっと幸せをあげたかったな。幸せな時間を一緒に過ごしたかったな。甘くてべったべたなふたりになりたかったな。
はぁ。
でも、 この子とは長くやっていけないからつきあわない、と判断したのは私だ。 あんなに近づきたかったのに、よく何もせずにごめんなさいを言って離れられたな。 今でも近づきたい。 でもたぶん、それと同じくらい、ダメだと思っている。
最後にプライベートで会ったとき、おしゃれしてきてくれたな。仕事のときもきちんとした格好なのに、それに輪をかけて、おしゃれを。
好きなところもいっぱいあった。
まだ、望めば手に入る。 だけど、戻ったら泥沼だ。 がんばって断ち切ったんだから、つながりを戻そうとしちゃだめだ。
早く新しい好きな人にうかれたいな。 でも、この子のことは、しばらく心に残るかな。 しこりとして。と、もっと一緒にいたかったな、と不完全燃焼な燻りの残る相手として。
勝手だね。
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