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―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
回帰

2005年04月27日(水)
ある日の思い出。


真っ青なワゴン車で、ただひたすら待っていた。
何をしているのか知りながら、己に課せられた現在に動く事さえ出来ず。
目と鼻の先にいる筈の存在を焦がれながら、時にうつ伏せて、時に膝を抱え込んで。
何を催そうとも離れる事は出来ずに。きっと、どの理由ならば動いていいと、分からなかった。
ただ、守れと言われたから。動くなと、言われたから。
堪えて、じっと堪えて。早く時が過ぎる事を望んだ。
時には二人で。けれどそれは救いにはならず、他愛の無い話は恐怖を食い潰す為のもの。
触れる肌や躯にさえ、熱は有りとて温もりを得られず。
それも暇潰しと、分かっていたから。
ただの気紛れ遊び相手。
同じものを課せられながら、立場の違いは弱者を生み。強者の快楽に食い潰されて。
それは二人共時に食い潰されて、しまった何よりの証なのに。
このまま二度と扉開く事無く、窓叩かれる事無く、終えるのかと度々思った。
弱い心は恐怖と疑念と敵愾心と。そんなものしか生んでくれない。
いっそ一人だったなら、様々を考え、絶てたかもしれないのに。
そう思いながら、時を過ごした。何年も何年も、同じ事の繰り返し。
それが終わったのがいつ頃かなんて、覚えている筈は勿論無くて。
けれど時を隔てた今、同じ事をしている自分に笑える。
だがそれはあの頃の自分と、ではなく、自分をその環境に置いた元凶と、であり。
私の意志の筈なのに、それは確かな筈なのに、心の何処かで何かが疼く。
そしてか細い声で小さく叫ぶ。
これも、ねぇまた、鏡なの? ただの真似事に過ぎないの?
近付きたいだけの一心で、選んでしまった道なのかしら。
人になりたい人形のように。
人になりたくは無い人形のように。
人間になりたい人のように。


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