ライフ・ストーリー
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2004年10月04日(月) |
ロマンスとエスプレッソの間に |
秋の長雨の季節です。 はだ寒さが新しい季節の訪れを告げています。
秋は芸術の秋、読書の秋、食欲の秋。 芸術の秋の一環(?)として、音楽を聴いています。曲名はショパンのピアノコンチェルト第1番「ロマンス」。この甘美なメロディは夜が更けたころに聴くのが最もふさわしいと感じるのですが、雨の日の午后に聴くのもなかなかオツなものです。「ロマンス」と書くとつい「マロン」を想い浮かべてしまうのは、単にわたしがくいしんぼうなせいでしょう。
音楽の中のロマンスにひたりながら、読書の秋の一環(?)として学者さんがオーストラリアから抱えて帰って来てくれたダンベルより重い『HORSE and RIDER』(HERMES HOUSE)という本を辞書と首っ引きで読んでいます。馬の写真とイラストで綴られたA4サイズの美しい本です。ハミ(馬銜=轡)ひとつでもこんなに種類があるのかというほど載っている素敵な本。
この本の題名は、映画『ノッティングヒルの恋人』(ロジャー・ミッチェル監督、'99、米)で、旅行関係の本屋の店主を演じるヒュー・グラントが有名ハリウッド女優を演じるジュリア・ロバーツに会いにいく際に、ジュリアのマネージャーから取材の雑誌記者と間違われ、「どこの記者?」とたずねられて咄嗟に答えた雑誌名と同じではないでしょうか? ※あとで調べてみたら『HORSE and HOUND(馬と猟犬)』でした。ごめんなさい。
「ロマンス」を聴きながら、『馬と騎手』のしなやかに美しい馬の絵をながめる至福のひととき。
あと食欲の秋の一環(?)としてハーゲンダッツのEspressoアイスクリームがあれば最高!(←至福の上の最高ってどんなの?)。 あのエスプレッソ特有の奥深いほろ苦さと甘さのハーモニーは、ハーゲンダッツのアイスのなかでも群を抜いて美味しいのです。
それでは、今から至福の上の最高なものを買いに行ってきます。
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一篇の詩をどうぞ
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「林檎の香」
季節は老いゆく ゆるやかに ひと日ひと日の陽のきらめきを 樹樹の根かたに蒼くしづめながら 時は透明な火となり樹の管(くだ)をのぼる なか空にひろがる枝枝の網目に まろやかな果實を熟れさせるために 老いた季節は ある夜ひそかに しろがねの夢を吐瀉してたち去る 果肉のなかに 凍る香りをとどめて
/那珂太郎『空我山房日常其他』(青土社)より
☆那珂太郎さんは1922(大正11)年福岡市生まれ。 昭和15年東大国文科に入学。昭和18年繰上げ卒業後、 江田島海軍兵学校の国語科教官となります。 昭和48年玉川大学教授に就任。萩原朔太郎研究に着手。 第一詩集『ETUDES』ほか多くの詩集を刊行されています。 詩集『音楽』(思潮社)で読売文学賞。 『空我山房日常其他』(青土社)で芸術選奨文部大臣賞。 『鎮魂歌』(思潮社)で藤村記念歴程賞を受賞されています。
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