「魔力を持っているな…」 幼い兄弟を見つめ、男は呟いた。上手く育てれば、良い魔導師になるだろう。それにこの容姿…ゆくゆくは多くの者を魅了するようになるのだろう。 男はそんなことを思いつつアイザックの頬を撫でた。 アイザックとジュリアは二人で庇い合うようにくっついて眠っていた。 「おや、アルカード様。いらっしゃっていたのなら、お声をかけて下されば良いのに」 燭台を掲げて、アルカードの顔を確認したのは、この教会の主のイダーだった。母が懇意にしていたこの教会に、アルカードは時折顔を出していたのだった。 「幼子を拾った。あのままでは獣の餌になっていただろう。お前に預ける、この子たちの世話をしてやってくれ」 そう言うと、イダーはゆっくりと頷いた。 「構いませんが…ゆくゆくは貴方の御元で愛でられるおつもりで?」 悪戯っぽく笑うと、アルカードは困ったような顔で首を傾げた。 「今はまだ分からん」
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