ソレは火曜日に遡ります。
いつものように夜仕事をしていると、営業さんたちが帰って来ました。
この日はみんな接待クルージングで、
ぐったり日焼けして戻って来て早々、
バーベキューの残り物の食材を分け合っていました。
クーラーボックスで微妙に解凍された肉や、
痛んでいるのかギリギリの魚介類とか、野菜とか、
袋詰めにしていたときは気付かなかった。
とりあえず、生ものは処理し、
あとはペットボトルのジュースとか缶ビールとかが
大量にそのクーラーボックスに入っていました。
営業のYくんが貧しそうなのでYくんに寄付することになりましたが、
あまりに彼は疲れていて、
「落ち着いたら持って帰るので今日はそのままにして帰っちゃいます」
と言って火曜日は帰りました。


水曜日、クーラーボックスはフロアに放置されたままでした。


木曜日クーラーボックスはまだありました。


夕方のことでした。
わたしたちは相変わらず忙しく仕事をしていると、
営業から戻ってきたM課長が
「なんかこの辺臭わない？」
とクーラーボックスの周辺をかいでいました。
クーラーボックスを持ち帰ると言っていたYくんが
「まさか、コレが・・・？」と言いながら、開けたんです、
クーラーボックスを。
一瞬のことでした。
フロア全体に胃の中のモノが逆流するかのような悪臭が回り、
Yくんの悲鳴と嗚咽。
○×△◎□〜ッ！？！？
何事かと思ったあのニオイ！
アタシはもう耐えきれずホントにヤバかった。
何度も戻しそうになってタオルを口と鼻に押し当ててギリギリのところでしたが、
気が付くと泣いてました。
Yくんは慌てて台所の流しへクーラーボックスを運び、
泣きながら洗っていましたが、
この仕事フロアでボックスを開けてしまった為、
思いっきりフロアに悪臭がこもってしまったのです。
「トモコさん、泣いてるじゃん」などと笑われながらもみんな必死で臭さに耐え、
ワタシは「ホントにウッてこの辺まで来ちゃってるんですけど〜！」
と仕事フロアから出られるベランダに逃げました。
ところが、ウチのビル、↓のような作りになっていて、



■→クーラーボックス　□→クーラーボックスが置いてあった場所　赤線→悪臭　●→ワタシ


台所から外のベランダを通って臭いがワタシの避難したベランダに回ってくる！
だってここ、4階だよ？
ベランダに居ながらも何度も何度も吐きそうになり、
その度にどんどん涙が出る、何で吐くときって泣いちゃうのー？
他の人たちはアタシほど重傷ではなく、
「なんかこの臭いに慣れてきた」なんて悠長に言う。
もう、マジやばいって。
アタシがホントにゲロッたら、一気にみんなもらいゲロだ。
失神寸前でした。


で、結局何がいけなかったんだろうと言うと、
生ものは全部片づけたけど、
肉や、海老や、イカのパックが解凍されて出たエキス（汁）が
腐ってしまったのでした。
エキスがたまったまま、ビールやジュースが入れっぱなしになっていたわけです。
一瞬クーラーボックスを開けたときの衝撃と言ったら！悲惨なものでした。
意識を失いそうでした。
まさか外の空気まで汚染されるとは・・・
上下の階の会社から苦情が来なかったのは奇跡です。
とんだ異臭騒ぎだ。
ってゆーか未だに臭いが流しに残ってるし、
まさかナニカに感染しないだろうかと、ちょっと不安です。
日本だぞ、ココは。


あまりに気持ち悪いので何度も掃除をしているのですが一向に消えない悪臭。
キレたアタシは流しと床にクレンザーをぶちまけ、全部拭きました。
・・・床拭いてるとなぜか風俗嬢の気分になります。
そのあとハイターで支店内の食器を全部漂白し、
使った雑巾、スポンジ、タワシは容赦なく捨てました。
これでとりあえず菌とかは大丈夫だろう・・・と一息ついて、
新しいスポンジとタワシと洗剤などを昼休みに買いに行ったのです。
行きつけのスーパーでそれらと自分のお昼を買いました、あとうちのコ（犬）のリンゴも。
で、かごに入れてレジへ。
「こっちの洗剤とタワシと、お弁当とリンゴと会計別にしたもらいたいんですけど。
で、洗剤の方は領収書ください。」
「では、こちら（洗剤の方）は321円です。」とレジのおばさんに言われて、
財布見て、びっくり。
・・・お金がない！
え？マジで？
焦ってもない。千円札一枚もない、小銭も200円くらいしかない。
おまけに「お金おろしてからまた来ます！」と言いたくても
銀行のカードが入ってない！（おろし癖があるので持ち歩かないのです）
・・・クレジット？
321円をクレジットで？
「あの、カードでもいいですか・・・」
恥。
恥恥恥。
「いーですよ、そうしますと、領収書が手書きになってしまうのですがお時間頂けますか？」
うっわーん！会社に提出するのに、支払いが「クレジット」だってバレるー！
しかもたった321円のお買い上げ！
領収書には思いっきり「クレジット」に○が付けられている・・・。
ってか、「お支払い方法は？」って聞くなー！
分割にするもんかッ！
あぁ、せめて自分の弁当だけならばまだヨカッタものの・・・。
凹みきった気分で社に戻り、経理のSさんに領収書を出しました。
自ら「お金なくてクレジットで払っちゃったんですけど」なんておどけてみた。
しかし心のキズは深すぎます。
いつからこんなズサンな人間になってしまったんだろう。

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