■あんただけにそっと■

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2007年12月19日(水) 誕生前後の長い記録。


生後5日目


■入院■

11月11日の夜10時過ぎ、さあ寝っぺ、とぴーと布団へ。
ぴーが寝付いた後、なんだか腹が痛くて、ああイテテこりゃ痛い、
腹下すかも・・・とトイレへ行って気張ってみたら出血。
おしるし?とビビり、どうあれ、まずは病院に聞いてみようと電話。
取りあえず診察するので今すぐ来てくださいと言われて、
ぴーを起こして入院準備のバッグを持って出発。

病院に到着し、胎児心音と腹の張りのモニターをした所、
どうも規則的な張りが来てるみたい、と
張り止めの薬を入れながらちょっと入院して様子見に。
でもまあ二三日だろうと踏んでいたら、担当医の見栄晴先生、
回診の際にサラッと
「じゃあ、ぴー田さん出産まで入院ね、大人しくしててね」と。
えええええ〜。
「赤ちゃんの育ち具合を見て、小児科の先生と相談して、
 また手術の日を決めるからね」
ということで、誕生日は12月5日から11月30日へ変更に。

管理入院中、ヨコさんがお見舞いに来てくれて、
モーリーの子だからモリオ、と腹の子の名前が決まる。
ブハッ!って生まれてきたら笑えるね、
ブハッゲホッゲホッ!あーまいった、あ、どうも!こちらがお母さん?
などとメールで言い合い、本番で面白くなくてがっかりしそうと心配に。

毎日暇で寂しかったので、あーちゃんとヨコさんのお見舞いは助かった。
本当に看護士さん以外と話さない日々だったので。
夜になると、ぴーちゃんが今日は寄ってくれるかどうか気になって、
来られないとすごく落ち込んだりしていた。
今思うと情緒不安定だったのかもしれない。


■誕生日■

半月以上、24時間点滴で張り止めの薬を入れ、とうとう11月末日。
昼前にぴーちゃんと実父が来て、私は12時半に手術室へ。
ぴーは手術室の前のベンチで待つことに。

さていよいよ手術台に上がり、見栄晴先生もやってきて、麻酔。
「ちょっと冷たいよ」と、背中に消毒液をかけられてビクッとなる私。
「まだ痛いことしばらくしないから、楽にしててねー」と見栄晴先生。
す、すいません・・・。
そして腰椎麻酔を打つ場所へ局所麻酔のようなものをし、
本番の腰椎麻酔やら硬膜外麻酔をして、仰向けに。
そういえば、前回より痛くなかったし、体を押さえつけられもしなかった。
麻酔後に導尿カテーテルを入れてくれたので、これも痛くなくてホッとした。
剃毛も上半分だけだったし、今回は少し楽だななどと思う。

ここは痛い?ここは?という確認のあと、手術に入ったのだが、
ちょっと痛い・・かな?位でスタートし、その後もかなりの痛さに。
引っ張られる感じがビンビン、ギシギシ。
「痛いです〜!」「我慢できないくらい?」「が、我慢します〜」
と、なぜか我慢したほうが良いのだと、頑張ってしまい、
その後も我慢できずにずっと「痛い〜ひ〜痛い〜」と騒ぎ続けた・・・。
子供と対面するための八分効き?

「これじゃ赤ちゃん出せないよ」と先生が苦戦する声。
8cmに肥大した左卵巣が邪魔してるらしい。
ちょっとお腹押しますね、と看護士さん。
ちょっとじゃないくらいドッフンダッフンと腹を押される。
ウフーオフーと必死で息を吐いて耐える私(耐えられてないわけだが)。

今赤ちゃんの入ってる膜が出ましたからね、と看護士さん。
「生まれるよー」と先生の声。
ちょっとして「ほら、見えるかな?」と顔の前のついたて越しに赤ん坊が!
「あー本当だー!」と驚く私。
その後何か(羊水かな)吸う音がして、赤ん坊が泣く声。

私の顔の横にンゲ!ンゲ!と泣いている赤子が連れてこられる。
きゃ〜!と一瞬で痛みが遠のき、嬉しさでいっぱいに。
どんな顔してるのかな、と楽しみにしていたが、第一印象は朝青龍。
すぐ近くにいるのに両腕拘束されているので触れず、
首を伸ばしてホッペにブチューとした。
すると赤子、泣きやんで目を開け、べえ、と舌を出した。
どういうことだ。
ハイ、お母さんここ見てね〜、と生まれたてと一緒に記念撮影。
腹を開けたままで微笑む私と、舌を出した赤子の2ショット。

「男の子ですか?」と聞くと、あ、そうだった、と
看護士さんが赤子のお股を見せてくれた。
立派な金玉が見え、なるほどなるほどと納得。
「面会終わりました〜」と赤子は連れて行かれ、
じゃあ麻酔追加しますからね〜と看護士さん。
お願いします〜と、すっかり痛みが戻ってきた私。

麻酔が効いてきてからはほとんど覚えていない。
「ここ痛いかな?」と確認する先生に
「痛いです〜!何すんのォ〜」と言ったのは覚えてる。
ガラガラと台に乗って移動してるのと、ドサッとベッドに移されたの、
あとは気が付いたらぴーと実父がベッド脇にいて、ビクッとしたの位。

今回、本当に思ってもみなかった位に術後が楽だった。
六月の卵巣嚢腫の手術よりは酷くないかな?とは思っていたけど、
病院によってこんなに違うんだ!と驚くほどに楽だった。
背中に入れてる硬膜外麻酔の管から、前の病院は痛いと訴えてから、
次に医者が来る時間まで待ったのちの麻酔注入だったのが、
今回は自動でずっと麻酔薬を入れていた。
それでも一度座薬を入れてもらったけど。

傷は前回より少し大きくなったし、手術の翌日には歩行、
2日目には授乳開始で、結構スパルタなスケジュールだったのに、
それでもずっと楽だった!
今回、卵巣の手術も一緒にやったので、
出血が多量になってしまい(2リットル以上!)、
管理入院中から貧血の薬を飲んでいた私は思い切り貧血に。
ヘモグロビンが10あったのが一気に6になったらしい。
確かに顔も手も白かった。足首が無くなるほど浮腫んだ。
しかしそれでも前回よりずっと楽だったんだよー(しつこい)。
ああ、あの病院で生まなくて良かったと、返す返すも思う。

生まれた子供も、2586gと意外と大きくてホッとした。

ぴー、新生児室に陳列されてる子供を見て、
「他の子より可愛いよ?」と真顔でバカ発言。


■産後■

産後は三時間おきの授乳と、その間に色々な指導を受け、
マッサージだのシャワーだの洗濯だのを済ませ、
何も無いときは部屋に赤ん坊を連れてきて一緒に過ごし、
夜は時々面会があり、と忙しかった。

一度、ぴー、ぴー父、私の父の三人がやってきた日は、
赤ん坊グズりまくって泣きまくり、大変だった。
おっさん三人に囲まれて不快だったのかしら、と思ったけど、
ちょっと部屋が寒かったのらしい。
翌日、あーちゃん、さやちゃん、ヨコさんの三人がきてくれた時は、
キョロキョロ、ウトウト、スヤスヤ、と可愛げな姿を披露。
可愛い可愛いと言ってもらえてホッとする。

帝王切開で、自分でいきんで出した感じがないせいなのか、
この子は私の子!という感覚が無く、多分全く関係ない子を渡されても
「かーわいい!」と喜んで育ててたなと思う。
世話をするたびに親しみが湧いて、可愛いな〜とは思うんだけど、
どうも私に割り振られた子というか、退院の時も、
本当にこの子貰って行っちゃっていいの?みたいな、
すごくいいお土産貰って帰るような感じだった。

自然分娩で生んだ人達に、
やっぱり生んだ後って感動して泣いたりした?と聞いたら、
その場にいた全員が絶対泣くと思ってたけど、
終わったー!ああ〜!ってので精一杯で、泣く余裕無かったそうな。
私も絶対泣くと思ってたけど、痛くてそれどころじゃなかった・・・。
テレビで他人の出産シーン見ては泣いてたのだが。


■名前をつけてやる■

そして子供に付ける名前。

ぴーとドライブしていて、二人とも毎度感動する風景
「田植えが済んだばかりの緑の田んぼ」を名前にできないかなと思ったが、
「苗」を使ったいい名前が作れず、青田とかになってしまい断念。
「穂」ならいくつか出来たけど、田植えじゃなくて収穫の風景だもんなー。

色々と考えてる内に何がいい名前かわからなくなり、超直球で
長生きするように長生:ながお(女児の場合は千歳:ちとせ)、
丈夫に育つように丈夫:たけお、などで良い気がする。

画数の多い一字名がいい、というぴーは、
勲、肇、篤などを候補に出すが、私が書けなそうなので却下。
私が好きだった漢字で、まあ画数も多い一字名にぴーも賛同し、
男の子の場合は決まり、生まれた顔を見ても特に違和感が無かったので、
そのままその名前に決定。

しかし、もし女の子だったら?とふと思い、生まれる前になってぴーと相談。
私が付けたい名前は、どうも江戸時代か芸者、もしくはアホみたいらしく、
ぴーの反応はイマイチ。
私の考えた名前リストから、ぴーがいくつか無難なものをピックアップ。
ちょっと可愛らしすぎるかなー、とも思うが、
昨今人気の女子名の愛らしさからしたら、地味な方かもしれん。
冬生まれなので「ふゆ」ちゃんという、どこまでも直球な名前であった。
お蔵入り。

ここではモリオと呼ぶことに。


■退院後■

予定通りなら8日の土曜に退院。
指折り数えて待つ。

担当医の見栄晴先生に、もうちょっと貧血治ってから退院ね、と言われ、
もう帰りたいです〜と泣きつき、渋る先生に食い下がり、
退院当日の朝に採血して、その値が上向きなら退院OKに。
そして気合が通じたのかヘモグロビン値が上がり、無事退院。

ぴーちゃん、一週間有給をとってくれて、9連休。
簡単ながら三食用意してくれて、洗濯や買い物、
モリオの体重測定に車で一緒に行くなど、とても助かった。

退院した日、家に戻って、モリオが部屋にいる風景がすごい違和感だった。
5年以上二人で住んでいた部屋に、赤ん坊が寝ている・・・。
なんて見慣れないのかしら。
ぴーちゃんから、母子手帳ケースのプレゼント!
大事に使わせていただきます。

初めてモリオをゆっくり抱っこしたぴーちゃんは、
可愛いなあ、本当に可愛い・・・と言いながら泣いていた。
こんな気持ちになるなんて思わなかった、と。
その後も発する言葉はほとんどが「可愛い」又は「小さい」。
「なんでこんなに可愛いのかねえ」と、大泉逸郎の「孫」みたいになってる。

退院翌日、家で初めての沐浴。
シンクにギリギリはまったベビーバスで、ぴーちゃんにやり方を教えながら、
自分も必死でお風呂に入れる。
背中を洗って居たとき、気を付けるように沐浴指導で言われていたのに
モリオの顔を水没させ、パニックで号泣させ、私もパニックになり、
モリオと共にびしょ濡れになりながら泣き合う。
大したことにはならず、モリオもしばらくして落ち着いたけど、
私は「こ、殺すとこだった・・」と涙止まらず。
ああ怖かった・・・。

モリオの顔、ぴーにも私にも似てない気がする。
じっと目を見開いて居るときはジェフの羽生に似ていて、
オッパイ出せや!!早く!と怒っている時はチャッキー、
眠くて半目で黒目も上がってる時は子泣きジジイに。
全体に妖怪めいた表情が多い気がします。
眠くて、でもまだ乳欲しいかも、というとき、
目を閉じ、おでこにシワを寄せ、口を突き出すという表情をするのだが、
このひょっとこみたいな顔が、一番好きです。
だがなかなか写真に撮れない。

モリオ用にお昼寝マットを買ってあったので、夜はそこへ寝かせたのだが、
布団に置くと30分で起きて泣くので、早速困る。
寝られないと途端に追い詰められるのね・・・。
もう、こっち来いや、と私の真横に寝かせてみたら、いきなり3時間寝た。
寒かったのかなー。
その後も一緒の布団で寝ていて、2〜3時間は寝てくれていたのだけど、
ここ数日は寝付くまでが結構困難。
吸わせすぎで乳が痛い。

生後19日。
今日は出産予定日だったのだ。
モリオもいつの間にか成長しているらしく、泣き声も大きくなって、
耳にビリビリくるように。
ちょっと太ってきたらしく、ホッペも盛り上がってまいりました。

ぴーが職場に戻ってからも、まあなんとかやっております。
お風呂もなんとか毎日無事に入れてます。
ひと月過ぎたら大人と湯船に入れるとは言うが、それも大変そうだなあ。


モーリー・しい子(藻)