文ツヅリ
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2005年07月10日(日)
★[ 02.足音��]
 投げ出した腕の先で指がひとりでにピク、と痙攣したように揺れた。いやに身体がべたつくのはきっと湿気を含んだ風のせいだろう。

  ──誰が、

 視線は相変わらず離れない。

  ──誰が言ってやるものか。

 あくまで待つつもりならそれもいい。続くものなら永劫このままでも構わない。
 俺は待ちもしていない。

 全身のけだるさに反して、眠気は失せていた。変化をけどられない為に、重くない瞼を中途半端に持ち上げているのが面倒なくらいだ。山崎の図体がいくらか光を拡散しているとはいえ、日光が目を焼くこの角度が辛い。

(うぜェ。)

 時間が経つに連れ鮮明になる意識が、先ほどの決意に水を注した。

 気を使って話をするなり出ていくなりすればいいのに。まったくコイツは気が利かない部下だった。


「で、合ってますか?」
 ようやく観念したかのように山崎が口を開いた。遅い。
 冷えた風が顔を撫でた。眼球が冷気に捕われ、痛みが僅かな潤いをもたらす。素早く瞬きを繰り返しながら、もはや忘れかけていた先程の接続に係る言葉を思い出した。
「聞いてねーや、」
「聞きたかったんでしょ、」
 沈黙は肯定に取られる。しかし否定したところでかえって空々しくなるのは解っていた。
 返す言葉が見当たらない。
「朝のミーティング、いませんでしたよね。まァ俺も他のヤツから聞いたんですけど、」
 連絡を聞き逃していたらしい。別に異例のことではない。ただ土方さんが俺に報せなかったことが、更にそれをわざわざ山崎の口から発せられることが、まるでいちいち弛緩剤でも打たれているかのように、全身をだらけさせる。
 口の筋肉も緩み、ぽかりと小さく穴が開いた。余程みっともない顔をしていたのだろう、山崎が慈悲をかけるかのようにやんわりと笑んだ。

  ──感謝の意を込めて笑い返してやろうか?

 ひくり、と口元が引き攣った。
「まァ羽伸ばして休めるってもんですよね。じゃー俺、ミントンしてくるんで」

 来たときより大きめの余韻を残して障子が閉まった。普段とは異なる、芝居がかった饒舌な山崎の声が耳障りだった。どうせヤツもミントンなんかしないのだ、俺のアイマスクと同じで。

 再び訪れた静寂が意識を連れていく。
溜息とも欠伸ともつかない、温い呼気を中から追いやって、閉幕。
 瞼の裏、黒にちらつく幾何学の模様をどうにか消せやしないかと躍起になりながら、俺は、



  ──俺は、土方さんを待ってるんじゃない、仕事をサボっているのだ。



<終>

×‐‐‐‐‐×‐‐‐‐‐×

もっとなんとかなりそうだけど気力がないのでこれで。PCで直せたら……ってもう二ヶ月程繋いでないけどな。orz
単純に拗ねる沖田が書きたかっただけやのに、山崎出したらこんなことに(´艸`)=3



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