過去は過去 おぞまし経験 なぐり捨て 「今に生きよ!」と 師は説くなり 届きしは 「今、産まれし」と 説く葉書 機ぴったりと 母の感、想ふ ***** ***
泣く我に 「霜柱から福寿草」 と母から励みの 春来る葉書 母からの 葉書眺め 会いたいと 再び涙 幼心に還る 大人捨て 還りたい子に 抱かれたい 母に父にと 切に願いて ***** ***
涙落つ 切ない想い 掻き乱れ 病(やまい)憎しと ぎゅっと丸まり 願いあり 君がいなければ 死を選び 辛さ逃げたい 生きる術なく ***** ***
落ち込んで 励ますように 誘われて 街にお茶しに 君に救われ 落ち着かず 寒空眺め お茶をする 「落ち着いた」と問ふ 君が優しくて 病気で 体調がよいと 後ろめたく 涙がこぼれそ 君がいなければ ***** ***
回復と 共に焦り来る パニックよ 年末準備 気になりつつれ 年末に 退院向かえ 間に合えし 二人仲良く 買出し出れり 再びの 入院警戒 気にしつつ 雪残る道 君と歩けり ***** ***
喘苦し(あえぐるし) 救急治療 受けれども もがき苦しむ 救いの手なし 入院し 多量の点滴 入れども 苦しみ減らず 喘ぎ咳続く 人生を 喘ぎつままに 生きるかと 辛き咳つつ 心に過る(よぎる) ***** ***
誕生日 祝いのない日は 初めての 平静の時も また格別なり 賑やかな 祝いの席の 誕生日 なくとも君が 傍らで笑む うれし ***** ***
置いてかれ 世間の流れに 置いてかれ 流れる雲を 窓から眺めす 世間ばかり 速度高速 目に留らず 我は床にて 亀の歩みたら ***** ***
過ぎる日々 朝に凍む(こごむ)日 訪れし ついに掛け布団を もう一枚かな 昨日は 夏掛け布団 爽やかに 急な冷え込み 厚布団出し 秋を知る ***** ***
秋空を 仰ぐ術(すべ)忘れ 砂を踏む 病に足取られ 彩り(いろどり)見えず 秋空を ゆらりゆらりと 眺めしの 畦(あぜ)の薄(すすき)に 遠き夢馳せ(はせ) ***** ***
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