三十一弦-花香-

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初雪 2001年12月10日(月)


初雪や シンシン降るが 定番ぞ! 吹雪く音(ふぶくね)強し 肩を丸めつ

夜深め 初雪しんしん 積もりつつ 寒の窓辺へ 暖か珈琲 彼とともに


初雪に 庭に走り出 歓喜した 幼日思う 元気吾あり

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誕の日 2001年12月07日(金)


誕の日の 父の表情 想浮かべ 産まれし意味 判らずともい

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〈コメント〉
3才くらいで生き別れ、そのまま死別した父。
しかし、自分の命を縮めてまで、育ててくれた父。
私の記憶の中の父が、いつも微笑んでくれるの。
きっと、私が産まれた日も素敵な笑顔で、
この世に迎えてくれたんだろうな。


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恨み坂、海眺坂 2001年12月06日(木)


登り坂 病ふ(やまふ)我が身に 鞭打ちて 動悸に振り向く 暗う(くろう)日本海

時雨冷う(ひう) 凍えし指先 相反し 坂に息切れ 服下熱す(ふくしたねっす)


帰り道 「早く床へ」と 涙想い(なみだおもい) 坂を怨んで からだ引き摺り



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異空の街 2001年12月05日(水)


夕暮れに 行き交う(いきかう)人々 佇む我(たたずむわれ) 異空間同士 CGのよう

ネオン街 夢幻の光 放つよう 我のみ浮きつ 離人の如し


コマ送り 瞬進せし ゼンマイ人形 街の人々? いや我こそぞ

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雪感の風 2001年12月03日(月)


朝焼けの 色を掻き分け 頬刺す陽(ひ) 雪感の風 枯葉飛ふ音(ね)

はらはらと 雪舞う姿 心待つ 吾に未だと 温に換わる日

夕暮れの 闇色早き 師走夕 一夜一夜に(ひとよひとよに) 雪感思わす

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師走 2001年12月01日(土)


木枯らしの 信濃川辺り 小走りに ナイトショーの余韻 語りつバス停へ

終バスで 夜街横切り 華やかし 酔い人とネオン 師走彩やか(あざやか)なり

師走時 世の忙しさ 吾写り 病忘れじ 心解れて(ほぐれて)

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君の誕生日 2001年11月30日(金)


君の誕生日 床から離れて お祝いと 心振り絞り 心軽やかに

祝膳 ほころぶ笑みで 頬張りて 四十路前 男(おのこ)幼顔

祝いをと 楽しく振る舞う 吾ゆえに 病の重み 棚に置けたや

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土留め闇 2001年11月29日(木)


土留め闇(どどめやみ) 胸(むな)に滴る(したたる) 血のやうに
刃(やいば)の言を 心無く突つ(つつ)

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終秋 2001年11月22日(木)


秋霧の 床にしと入り 寒凍みて 鮮やか色も 終ゆ(ついゆ)楽し無ず

刈田にて 殻米啄む(からごめついばむ) 白鷺(しらさぎ)に 故郷の冬 懐かし涙(るい)す

病身(やまいみ)を 枯れ葉のやうに 散りたくて 腐り葉なりて まだ枝(え)にしがむ

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苦、療養 2001年11月20日(火)


床中に 一生殆ど 過ごすだけ 悲しみだけに 心占められ

必死に 一時たりとも 必死に 病と向きて 疲れて病う(やまう)


闘病を 「休んでいいよ!」と、言われたい 誰(たれ)にと問われ ただ苦し泣く

横臥して 療養せしは 怠け者 我を追い詰め 生くる苦しや

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