せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2009年10月08日(木) |
「時はおもちゃ箱につめこんで」初日 |
10月8日(木) 台風の朝。昨日から「8割程度の運転」と言い切っていた常磐線を当てにしないで千代田線でいけば大丈夫とたかをくくっていたら、西日暮里についたところで山手線が止まっていることが判明。 そんな、聞いてないよ!と思いながら、千代田線で大手町まで出て、東西線で高田馬場、西武新宿線に乗り換えて下落合に到着。 劇場入りの予定時間10時に15分遅刻。 10時半開始の場当たりを5分押して開始。 約2時間の上演時間に対して、場当たりにあてられる時間は3時間。 椅子の位置のバミリ等を確認して、通してもらう。 朝一で、気持ちも体もなかなか起きてこない時間から始まったせいもあり、台風でばたばたしていたせいもあり、前半、芝居がなかなか立ち上がってこない。 でも、それは「場当たり」だからと割り切って、とにかく進めていってもらう。 と、後半からぐっと芝居がしまってきた。 いいかんじで終了。 次の場当たりの準備のため客席に集まっている「痩せてたまるか」のキャストのみなさんがいるなか、今の場当たりのダメだしと確認してほしいことを伝える。 誰かが失敗したり、うまくいってないときに「もう、バカ!」と思うより、「大丈夫?頑張れ!」と思う方がいい結果を生みます、という話をする。 自分のため、自分がよく見えるようにというのではなく、自分の相手が、次にセリフをしゃべる相手がやりやすいように、きちんとセリフを渡してくださいとも。 僕が演出する舞台では、必ず伝えていることをいくつか。 そして、夜の初日。 満席のお客様を迎えて、いい初日になったと思う。 初めて聞くようなセリフ、初めて見るような場面がいくつもあった。 その場を生きてくれている役者達に感謝。 オペ室で篠原さん、有吉さんと一緒に舞台を見ながら、涙ぐんでしまう。 作品の内容もさることながら、瞬間を生きている役者達に感動した。 帰宅して、有吉さんとやりとりをして「月」のテキストレジの確認をする。 場当たりの結果、上演時間の調整のため。 上演なら問題がないものを、リーディングだと成立しにくいというポイントを中心にカットしていく。 思えば、去年の「ゴルゴダメール」では、場当たりをしたら2時間40分かかったのを、翌日の初日前に30分カットしたんだった。 今回は、約5分のカット。微妙なところだけれど、2時間を超えるリーディングというのはつらいだろうと思う。 主に1幕1場の筋の運びを整理して、有吉さんへキャストのみなさんへの連絡をお願いする。
2009年10月07日(水) |
小屋入り3日目と「月、白き水晶の夜」場当たり |
「月、白き水晶の夜」の場当たり。 冒頭から場ごとに通していくやり方で。 いただいた時間は4時間。約2時間の上演予定時間なので、余裕でいけると思っていたのだけれど、細かい手直しと確認をしながら進めた結果、時間いっぱいで終了。 合間に、「父産」のフライヤーの折り込みに来てくれた鈴木アツトさんとまつながかよこさんにあわただしく御挨拶。 アツトさんは、名古屋の「第9回AAF戯曲賞」の最終ノミネート6本のうちの一本に、前作「青鬼」が選ばれたそう。おめでとうございます! 最終選考は、今月の26日。いい結果になりますよう。 場当たり終了後、作者の有吉さんと一緒に、初子役の福井さんからの質問にこたえる時間。 その流れで、有吉さんと作品全般についての話をいろいろ。 また、短編の演出について黒川さんと打ち合わせ。 そして、夜は「劇読みvol.3」の初日。19時開演で、守夏代作「この花折るな」。 演出は藤井ごうさん。 とても不思議な家族のお話。にしやんこと西田夏奈子さん大活躍。「月」に出演の遠藤 好さんもとても素敵だ。 ポストパフォーマンストーク。ゲストは演出家の西川信廣さん。 帰りに食事。ごうさんと話す。 台風が来るということなのだけれど、不思議にとっても静かな夜。
2009年10月06日(火) |
小屋入り2日目と「短編連続上演」場当たり |
10月6日(火) 「短編連続上演」の場当たり。 担当している3本のうち、一番転換と小道具の扱いが大変な演目。 稽古場で伝えきれなかった演出を、楽屋でキャストに伝えて、その場で読んでもらう。 その後、場当たり。 セリフを覚えてないからこそのライブなノリでお願いしますと話す。 まずは「ムラサメ」。この作品が、場当たりの第一作目、キャストもスタッフもややさぐりさぐり。 キャストは、劇場のくせ、声のひびきを慎重に確認しながら。 続いて「どっきり地獄」。止めながらの通し。 きっかけと芝居を確認しながら。 一番心配していたポイントを難なく通過。あっけないほど。 キャストのチーム感がどんどん上がってくる。 そしてラストの大仕掛けも無事に通過。 こちらはキャストとスタッフのチームワーク。すばらしい! 最後は「幕切れ」。いろいろ仕掛ける二作の後、オーソドックスな演出(わりと)。 落ち着いた芝居を丁寧につくりあげて、終了。 作家を呼び込んでのカーテンコールまでの段取りを確認した。 今日の二本目の場当たりは三浦実夫さんの「金の卵1960」。演出は藤井ごうさん。 客席でおつかれさまですと挨拶して、楽屋へ。 出番が終わったキャスト、「金の卵」にも引き続き出演しているキャストからの質問をばたばたと受け付け、アドバイス。 「金の卵」の場当たりが始まる。 こうして何本も続けて出演する俳優さんはほんとに大変だ。 「演劇トライアスロン」と誰かが言っていたが、みんな俳優というより、アスリートに見えてくる。 楽屋で、有吉さん、石原さんと、打ち合わせをしつつ、主に「月、白き水晶の夜」について話す。 舞台監督の木村さんと、明日の「月」の場当たりの段取りの確認も。 帰り、遅くまでやっている新宿の100円ショップで「月」の買い物をあれこれ。
10月5日(月) 「劇読みvol.3」劇場入り。 西武新宿線下落合駅徒歩1分のTACCS1179。 初めて来た劇場。きれいなエントランスから地下に下りると、ちょうどいい大きさの劇場がある。 仕込み。明かり作り。 僕が演出を担当している「時はおもちゃ箱に詰めこんで」がすごいことになっている。 リーディングなのに、照明がどんどん変わっていく。台本自体、場面が、というか世界がどんどん変わっていくのだけれど、瀬戸さんのプランは、リーディングだったら、観客の想像にゆだねるところを、どんどん明かりが変わっていく。 青木タクヘイさんの音響も、芝居を裏打ちしながら、時に誘導しながら、これまた適確にバックアップしてくれている。 キャストが入っての場当たりは木曜日。楽しみだ。 夜中、昨日に続いて、髪のブリーチをする。「父産」の父親役のため。「白髪頭の中年引きこもり」というセリフがあるのだ。 地毛を脱色しなくても白くする方法はあるのだけれど、今回、髪にさわられる場面がありそうなので、さわっても平気なよう脱色して白髪頭になってみようと思う。 二日続けてはどうかと思ったのだけれど、「金の卵1970」の直前に白髪染めをした髪が、きれいに脱色されるかどうか、早く知りたくて無茶をする。 まだ少し赤みは残っているもののきれいに色は抜けていくよう。 あと一回、ブリーチをして、赤みを抜くシャンプーで仕上げをする予定。
2009年10月01日(木) |
最後の稽古と全部のせ |
10月1日(木) 「短編連続上演」最後の稽古。 全体を通すことはできなかったものの、3本がそれぞれとても具体的になった。 3本のうちで一番流れが複雑な「どっきり地獄」を通せたらなあ思っていたのだけれど、結局、それも時間切れでできず、それでも、3作ともいい稽古ができたと思う。 来週の本番に向けて、それぞれに大体1つずつの課題が残っているかんじ。 具体的にどうこうということではなく、「ここをがんばって!」という程度のこと。 ここを、えいっとがんばってもらえたら、一気に三作の違いがくっきりしてくるだろう。 できあがりつつある小道具の確認と扱いの練習。 今回の「どっきり地獄」のテーマは「全部のせ」だ。 ラーメン屋やカレー屋でのトッピングを「全部のせ」てもらうような、そんなおなかいっぱいな演出プラン。 男女3人ずつのキャストで3本の全然違う芝居を次々と演じていく、その疾走感というか、チームワークから生まれてくるものを大事にしたいと思う。
2009年09月30日(水) |
演劇授業と久しぶり! |
9月30日(水) 富士見丘小学校演劇授業 夏休みの宿題で子供たちに書いてもらった作文をもとに篠原さんと相馬杜宇さんが書いてくれた卒業公演の冒頭シーンをまずは読んで、それから話し合い。 思いも寄らない設定から始まる今回のお話が、ブレインストーミング、正解を見つけなくていいよという話し合いの中、さらにとんでもないものになっていく可能性を見せていく。 久しぶりに会った子供たちはやっぱり一回り大きくなったような印象。 記憶の中にあるキャラクターもさらに濃くなっているようだ。 1組、2組、それぞれのクラスの特徴も出て、とてもおもしろい話し合いになった。 今日の授業を踏まえて、また宿題を出す。続きを書いてきてくださいというもの。 さあ、どんなものになっていくだろうか。とても楽しみ。
夜は印象の稽古。 ここ数日の劇読みの稽古で演出だけをずっとしていたせいか、セリフをしゃべり動くのを体がよろこんでいるのを感じる。 シーンを一回やったあと、次を待っている間がもうわくわくしている。 広場で遊んでいる犬の気持ち、ふたたび(笑)。 久しぶりにダダこと岡田梨那ちゃんと一緒になる。 駅までの道をおしゃべりしながら。 稽古中のクロカミショウネン18の公演のことなど。 劇読みとまるかぶりなので、うまく行けるかどうか。 加藤さん、久米さん、香ちゃんはどんな芝居をしているんだろうと、わくわく想像する。
2009年09月29日(火) |
立ち稽古と十年ぶりの御挨拶 |
9月29日(火) 「月、白き水晶の夜」の稽古。二回目。 前回の読み合わせに続いて、今日は立ち稽古。 戯曲に描かれているのは、室内の一杯道具。 それほど忠実に位置を再現しなくてもいいだろうと考えていたのだけれど、やはり位置関係がわからないと関係も成立しにくいということが判明。 急遽、舞台上の椅子の位置を変更。 それをもとに俳優さんたちに動いていってもらう。 今回、ト書きを読んでくださるのは、劇団俳小の斉藤真さん。十年以上前、池袋演劇祭でお世話になって以来だ。 「何か賞がもらえたら授賞式は女装で!」という宣言のまま、女装していった受賞式で斉藤さんは司会をしていてくださった。 久しぶりの御挨拶をする。 全体の約半分までで今日は時間切れ。 もっともっとていねいに稽古したい、そんな深みのある台本なのだけれど、限られた稽古時間の中でできることを確認して、そのことをぐいぐい俳優さんたちに伝えていく。
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