せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2009年09月28日(月) 立ち稽古と立ち稽古

 9月28日(月)
 午後と夜間で、「短編連続上演」と「時はおもちゃ箱に詰めこんで」の稽古、それぞれ二回目。
 今日は立ち稽古。
 稽古場にバミリをしてもらって、どんどん立っていく。
 短編は、舞台上の二重の向きをまず変更。
 3本の短編を一本ずつ、違う味わいのものにしていく。
 俳優さんたちにお願いする、セリフ以外のことが盛りだくさん。
 セリフもト書きも全く違う書かれ方をしたものを次々と演じていく俳優さんたちの、体と心のバネを頼りに思い切ったことをどんどん、繊細なことをていねいに演じていってもらう。
 今日は、「こんなことをお願いします」ということを伝えて、まずはやってみてもらう日。
 おお、そうなるかと納得したところ、変更を決めたところなどなど。
 3本の全体像は見えたかな?
 夜は「時はおもちゃ箱に詰めこんで」。
 二時間弱の上演時間が予想される作品。
 半分までいけたらいいなと思っていたのだけれど、9割方動きの確認と演出を終えることができた。
 のりのりで演じてくれた俳優のみなさんに感謝。
 にしやんこと西田夏奈子さんの無から有を生み出すその圧倒的な力がすさまじい。
 太陽のように暖かな熱と光を発しつづけてくれている。
 次回はラストのちょっとだけ大がかりな演出を試してみようと思う。


2009年09月27日(日) 一日稽古とあっという間

 9月27日(日)
「父産」一日稽古の日。
 稽古場に向かう電車の中では、正直「まだ着かないの?時間が経つのはなんて遅いんだろう」と思ってしまうのだけれど、稽古場ではなんだか楽しくて、あっという間に時間が過ぎてしまう。
 何本も台本を抱えていても、今はこれだけを考えていればいいという時間にいられると、ふっとのびのびとした自由な気持ちになる。
 今回、僕は父親役なので、自然と座組の最年長になっている。
 若い俳優さんたちが、もうみんなかわいくてしかたない。
 子離れできていない寂しがりやという設定をいいことに、この「かわいいなあ」という気持ちを自分に思う存分許してしまう。
 父親としての威厳とか格とかそんなんじゃなしに、もう「かわいいなあ」という気持ち。
 帰り、つい一人で駅までの道を歩くことに。
 環八の近くの古本屋に寄り道。
 さがしていた本を何冊も発見。手に取るが、今日はいいやとまた今度にする。
 今の気分では、読書は抱えている台本たちからの逃避になってしまいそうなので。


2009年09月26日(土) まぶしい若さと病み上がり

 9月26日(土)
 「父産」の稽古。
 熱は下がったもののふらふらするので、遅刻をさせてもらっての稽古場入り。
 体調が悪いときの稽古は、芝居をしながら、相手役から力をもらっているような気持ちになる。
 夢中になって芝居をしているうちに、声の調子も体の具合も、なんだかよくなっていくよう。
 今日のケータリングは、煮込みうどん。ごちそうさまです。
 「根岸の一夜」が終わって、一気に始まった「父産」「劇読み」2本(実は4本)の稽古で、ほんとうに大勢に俳優さんとご一緒している。
 特に若い俳優さんたちが大勢で、なんだかその若さがまぶしくってならない(笑)。
 「父産」では、父親役なので、僕には息子がいるわけなのだけれど、もうこれがみんなかわいくてしかたがない。
 息子ばなれができないという台本の設定上とは違う感覚で、かわいいなあと思ってしまう。
 自分のトシも同時に感じながら・・・(笑)。
 後半、舞台美術の坂口さんが来てくれたので、ざっくりと要所要所を通してみる。
 僕は、まだどうしていいかわからないでいるところが多いので、台本を持ったままの荒通しのような気持ち。
 途中でふっと、これって劇読みの気分に近いかもしれないと思ったが、思った瞬間、いや、劇読みではいくらなんでもこんなに大暴れはしていないと訂正。同時に、自分のあばれまくりぶりが客観的に見えたようで、おかしい。
 稽古終了後、みんな駅までの道を歩いて行くというのを、共演の小角まやちゃんと二人でバスに乗って。明日は一日稽古の日。


2009年09月25日(金) 立ち稽古と演劇トライアスロン

 9月25日(金)
 劇読みの稽古三本目、短編連続上演の稽古初日。
 熱は、まだ下がりきらないものの、一本当たり3回しかない稽古なので、えいっと起きて出かける。
 今日の稽古場は、印象の稽古場のすぐ近くの施設。
 はじめましての御挨拶、そしてまずト書きの読みの指定と読み合わせ。
 その後、さっくり読んでもらって、演出プランの説明をする。
 僕は、この演目で3本目(台本としては5本目)だけれど、出演の俳優さんたちも同様に何本もかけもっている方が多い。
 今日の短編に出演している小泉真希さん、河合杏奈さん、はなたろうさんとは「時はおもちゃ箱に詰めこんで」で、及川陽葉さんとは「月、白き水晶の夜」でもご一緒している。彼らは他の作品にも出演しているので、僕以上に同時進行で稽古が進んでいる感覚は強いだろうと思う。
 今回、音響の青木タクヘイさんのところの柳川しおりさんが全作品のオペレーターをするのだけれど、7演目、9作品のオペレーションをするのは、まさに「演劇トライアスロン」ですよと話したところだった。
 僕もこんなところでぜーはーしていてはいけない。
 終了後、演出助手でついてくれている、劇団劇作家の黒川陽子さん、有吉朝子さん、舞台部の三浦実夫さんと打ち合わせ。
 黒川さんは短編「どっきり地獄」、有吉さんは「月、白き水晶の夜」、三浦さんは「金の卵1960」の作者(三浦さんはG.comの「金の卵1970」の作者でもある)。
 本業は劇作家のみなさんに、小道具や衣装の相談とお願いをあれこれする。
 劇団劇作家のみなさんは、他にも代表の篠原久美子さんを初めとして、毎回の稽古場に来て、スタッフとしての仕事をいろいろしてくれている。
 小劇団は、作家、演出家、俳優がいるもので、こういった中間のポジションの仕事をしてくれる人が大勢いるというのは、実はめずらしいのではないかと思う。
 作家、稽古場では、さらっとスタッフになっているというのが、何とも言えず、潔く、いいなあと思える。
 そして、とっても大助かりでありがたい。
 短編の連続上演は、三本の全く違うテイストの違う戯曲を6人の俳優が続けて演じる。
 その続き方、もとい続け方をあれこれ考える。
 読んでもらった印象は、「立ち稽古してみなきゃわからないなあ」というもの。
 リーディングで立ち稽古というのもなんだか不思議なかんじだが、次回の立ち稽古がとても楽しみになった、今日の初稽古だった。


2009年09月24日(木) 知恵熱でダウン

 9月24日(木)
 朝起きたら熱っぽくて、ふらふらする。
 熱を計ったら38度を超えていて、びっくり。
 朝一番で病院へ。
 すぐにインフルエンザの検査をされて、ちょっとドキドキしていたのだけれど、結果は陰性。
 ただの風邪でしょうとのこと。
 喉が少し腫れていると言われたのだけれど、自覚症状はなし。
 先週の本番、今週の稽古と声を出し続けているからだと思う。
 舞台の本番が終わると前はよく熱を出してダウンしていたものだけれど、このところ舞台が続いていたのでダウンするひまがなくここまで来たのが、ついに折れたのかもしれない。
 というか、一気に始まった6本の台本を前にしての知恵熱じゃないかと、これが実は正解じゃないかと思う。
 まつながさんに連絡をして今日の稽古をお休みさせてもらう。
 今日は僕を含めてキャスト全員が勢揃いする日だったかもしれないとのこと。
 申し訳ない。
 とりあえず横になって、いつもより長い時間眠ってみる。


2009年09月23日(水) 二つの稽古と公演案内

 9月23日(水)
 午後、劇読みの稽古、有吉朝子「月、白き水晶の夜」の稽古初日。
 今日は読み合わせ。
 劇中に登場する英語のセリフを福井裕子さんが読んだとたん、びっくりする。
 フランスの女優、サラ・ベルナールがレストランのメニューを読んだだけで、観客を感動させたというエピソードを聞いたことがあるが、まさにそんなかんじ。
 聞こえてくるのは、英語の詩なのだけれど、なんだろう、意味とかそういうことじゃなくて、音の響きに感動してしまう。
 ト書きを読む、斎藤真さんの声もすばらしい。こちらもまた響きが心に直に伝わってくるよう。
 リーディングで声の力を思い知った、そんな稽古。
 篠原さん、相馬くんと駅前まで一緒に歩いてもらって、その道すがら富士見丘小学校の演劇授業の打ち合わせ。立ち話でばたばたと。
 その後、僕は、昨日に続いて「父産」の稽古場へ。
 昨日に続いて、体を「父産」に向けて調整している、そんな気分になりながら。

 劇読みの公演案内をまとめて載せておきますね。

◇劇団劇作家「劇読み!vol.3」◇

日程:2009年10月7日(水)〜10月12日(月・祝)
   タイムテーブル等はこちらをご覧下さい。

会場:TACCS1179
   東京都新宿区上落合1-17-9
   西武新宿線下落合駅北口、南口から共に徒歩2分 地図

チケット:各ステージ券(自由席)/2,000円 シンポジウム/1,000円 
     全日程フリーパス/5,000円

劇団劇作家の本公演「劇読み!」の第3弾!
8人の劇作家の戯曲をフェスティバル形式でお届けします。

【公演ラインナップ】

●「この花折るな」作:守 夏代 演出:藤井ごう
●「痩せてたまるか!」作:相馬杜宇 演出:山本健翔
●「時はおもちゃ箱に詰めこんで」作:錦織伊代 演出:関根信一
●「ざっとむがし、あっとこさ」作:佐藤喜久子 演出:山本健翔
●「金の卵1960 〜あすなろう〜」作:三浦実夫 演出:藤井ごう
●「月、白き水晶の夜」作:有吉朝子 演出:関根信一
●「短編連続上演」演出:関根信一
  ・「ムラサメ」作:坂本 鈴
  ・「どっきり地獄」作:黒川陽子
  ・「幕切れ」作:相馬杜宇

【スタッフ】
 総合演出:篠原久美子
 演出:関根信一 藤井ごう 山本健翔

【キャスト】
 稲葉智美 枝元 萌(ハイリンド) 遠藤純一(劇団昴) 遠藤 好(青年座) 
 及川陽葉(劇団俳協) 鴨川てんし(燐光群) 河合杏奈 河嶋政規(プロペラ☆サーカス)
 菊地一浩 岸槌隆至(文学座) 日下部そう(有限会社プリッシマ)小泉真希(劇団俳協)
 斉藤 真(劇団俳小) 阪上善樹(サムライプロモーション) 清水 愛(劇団俳協)
 志村彩佳(WHOOPEE) 鈴木弘明 高橋義和 手塚美南子(天然工房) 西田夏奈子
 西山水木(La Compagnie An) はなたろう 原 陽三(青年劇場) 日榮春華(劇団俳協)
 福井裕子(演劇集団 円) 藤 あゆみ 三原玄也(オフィスクロキ)
 矢原将宗(THEATRE MOMENTS) 山本悠生(劇団俳協)

 関根は、以下の3演目の演出をしています。

◎10月8日(木)19:00〜、10月12日(月・祝)17:00〜
「時はおもちゃ箱に詰めこんで」作:錦織伊代

 二十歳の誕生日、菜月の部屋に現れたのは幼馴染みの桃と、奇妙な集団「迷子達」。授業という名の「不思議な遊び」を繰り広げる迷子達との共同生活が、菜月の蓋を開けていく……。
演出:関根信一(劇団フライングステージ)
出演:小泉真希 清水 愛 河合杏奈 はなたろう 山本悠生 西田夏奈子
   手塚美南子 日榮春華 志村彩佳

◎10月10日(土)19:00〜、10月12日(月・祝)11:00〜
「月、白き水晶の夜」作:有吉朝子

 頃は大正、ある病院に一人の女性が閉じ込められていた。そこへ、白い狐に導かれ現れた恋敵の息子。オペラ「白狐」を真ん中に、年月を経てなお鮮やかにとどまる愛と、刹那の思いを描く。
 演出:関根信一
 出演:福井裕子 遠藤 好 及川陽葉 菊地一浩 矢原将宗 日下部そう 斎藤 真

◎10月9日(金)19:00〜、10月11日(日)13:30〜

「短編連続上演」
・「どっきり地獄」作:黒川陽子
 漫才コンビを襲った解散危機は怒涛のミザナビームの幕開け!
・「幕切れ」作:相馬杜宇
 離婚届を出しに行く車内。赤子、カルピス、ポテトチップス。
・「ムラサメ」作:坂本鈴
 血を浴びる程切れ味を増す妖刀のように、女を抱く程モテる男。

 演出:関根信一
 出演:及川陽葉 河合杏奈 小泉真希 高橋義和 はなたろう 三原玄也

 9日(金)19:00の回、終演後、ポストパフォーマンストークに
 関根信一が出演します。詳細はこちらをご覧下さい。

 ご予約お問い合わせは、関根までお願いします。


2009年09月22日(火) 帰ってきた稽古場とカレーライス

 9月22日(火)
 午後から劇団印象「父産」の稽古。
 昨日の演出家から今日は役者に切り替え。
 うまくいっているのかどうかよくわからないのだけれど、とにかくセリフをしゃべり、動き回り、父親役をがしがし演じてみる。
 力づくというか、力まかせに。
 あっという間に汗だくになってしまい、はずかしい。
 夕方、まつながさんがケータリングでカレーをつくってくれる。
 あたたかいご飯はうれしい。座組のみんなで食卓を囲むのも。
 後半の稽古でまた汗をかいて、今日はおしまい。
 8月のG.com、この間の名作劇場と二つ続いた女役でおさえていてものを、全部自由にしたような気分の稽古。さぐりながらも、やりたいほうだいをさせてもらった。
 稽古場で時々感じる、広い公園の広場で、犬が散歩のつなを外されて、さあ、好きに遊んでいいよと言われたような気持ち。
 夕方にきっちり食事をさせてもらったのだけれど、稽古の後でみんなで食事に行く。
 楽しくおしゃべりをしながら、今日は早めに失礼する。


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