せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2009年09月14日(月) 劇場入りと剃った眉

 9月14日(月)
 劇場入りと仕込みの日。
 昨日の眉つぶしを使ってのメークがうまくいかなかったので、今日、思い切って眉を剃った。
 生まれて初めての経験。
 メークが簡単にはなったのだけれど、どうも眉の下に「筋肉」がしっかりあるらしく、またそり跡もやや青く残っていて、ファンデーションを塗っても完全な眉なしにはならない。うーん。
 「城」チームの後、「根岸の一夜」の場当たり。
 通しますとのことだったのが、ほんとに場当たりをさくさくと済ませる。
 歩くたびに二重の屋台が揺れてしまうのが、ちょっと心配。
 稽古場での稽古と同じ歩数で歩こうとすると、屋台が大きく揺れてしまう。
 着物の芝居なので、歩数はとても重要だ。
 右から出るか左から出るか、工夫して練習もしたプランがあらかた台無しになる(笑)。
 終了後、両国駅前のはなの舞で「根岸の一夜」「城」チーム合同の飲み会。
 城チームの田口弘さんとお話する。
 田口さんが主演していたテアトロ海の公演「追伸・猫は死にました」の話をする。
 高校生の頃に見た、とても大事な芝居。
 こんなふうにご一緒できるなんて、なんてうれしいんだろう。
 衣装の鳥井さんとも初めての飲み。楽しい時間を過ごした。


2009年09月13日(日) 稽古場ラストと自然体の女形

 稽古場ラスト。明日は劇場入り。
 かつらをつけて、メークをして通し稽古。
 いろいろ発見。
 メークしやすいように眉をずいぶん整えて来たのだけれど(とても薄くつぶしやすくした)、眉つぶしがいまいちうまく効かず、川和さんからダメだしがある。
 もう剃るしかないか・・・
 長い髪のかつらも、まだ全然扱いきれていない。
 ラストの処理もどうなることやら。
 ともあれ、明日は劇場入り。
 帰り「根岸の一夜」のメンバーとさくら水産で飲み会。
 わいわいと楽しく。
 旬のサンマをおいしくいただく。
 夜中、新派のビデオを見る。
 花柳章太郎主演の「遊女夕霧」「婦系図 めの惣」、そして、「太夫さん」。
 「太夫さん」のビデオは前回見て巻き戻した時にテープが切れた(というか巻き終わりがはがれてしまった)のを修理して。
 VHSテープのこういう修理は久しぶり。やっぱりうまくいかず、もういらないと思ったビデオを一本余計に分解して参考にして成功。
 歌舞伎の女形とは違う、ずっと自然体な新派の女形さんたちの芝居がとてもおもしろい。
 先代の英太郎さん、瀬戸英一さん、何もしてないんじゃないの?というようなほんとに自然なおばさんになっている。
 そこにはもちろん芸の力があるんだろうけど、その何もしてないかんじが今の僕にはとても近しく思える。
 また、花柳さんの声の使い方、女っぽい仕草として多用する足を後ろに跳ね上げる動作も、いちいち具体的な参考になっておもしろい。
 様式よりは自然なリアクション、そしてやや余計じゃないかと思えるくらいの仕草の多さが、ちっとも不自然じゃない。
 「根岸の一夜」の加賀川さんでもっとできることはないだろうかといろいろ考える。


2009年09月12日(土) お墓参りと精算会

9月12日(土)
 劇団員の荒俊樹くんのお墓参りに行く。
 今年の4月に一度行って以来、二度目になる。
 最寄りの駅で待ち合わせて、総勢12名で墓苑までの道を歩いた。
 荒くんが亡くなってもう丸二年が過ぎた。実は彼の死を知ったのは、ずっと最近になってからだ。
 gaku-GAY-kaiへの出演と本公演の制作の手伝いをいつもお願いしていた荒くん。
 一番最初は、ぷれいす東京のイベントでの二人芝居で共演した。彼のアイデアで僕が書いた台本。
 止まってしまったエレベーターの中の二人のゲイ。この芝居は、後にフライングステージの本公演「プレゼント」の中の場面になってる。
 だから、ずっと連絡が取れなくても、頼りがないのは元気なしるしと思っていた。
 そういう距離の友達づきあい、劇団員どうしのつきあいだった。
 彼の友人から亡くなったという連絡をもらい(それも何ヶ月か経ってから)、それでも、なかなかご家族と連絡が取れず、こうした別れ方もしかたないのだと、受け入れるしかないと思っていたところ、フライングステージのHP経由で彼の大学時代のお友達から連絡をいただき、ご家族とお話することができたのだった。
 ずいぶん長いつきあいのに、なんて友達甲斐のない友達なんだろうと、かなしく申し訳ない。
 その気持ちは今も変わらない。
 今回のお墓参りは、僕たち彼の友人ばかりで、なんだかにぎやかに。
 駅から墓苑までの道を大勢で歩くのは、なんだか遠くの稽古場へ向かう時のようだなあと思った。
 顔ぶれには、久しぶりに会う面々が何人も。
 駅で集合したときには、誰かが「これで芝居ができるね」と言ったくらい、なんだかほんとに芝居のために集まったよう。
 薔薇がたくさん植えられたきれいな墓苑。
 なぜか一列にならんで一人ずつ手を合わせた。
 帰り、駅近くのファミレスでみんなで食事をした。
 こちらもまた、バカな話に笑いながら楽しい時間を過ごす。
 もう会えない彼のことを思いながら、みんなが笑っていた。
 いい時間をもらったなあと、そのことを荒くんに感謝したいような気持ちになった。
 また今度来ようと思う。
 写真は、最初の二人芝居の時に劇中で使った熊のぬいぐるみ。
 そのまんま「プレゼント」でも使った、荒くんからのプレゼント。

 夜は、G.comの精算会@下北沢に顔を出す。
 その前に、「根岸の一夜」のためにメーク用品の買い物。いつもの本多劇場のビルのメーク用品屋さんで、あれこれ相談しながら。
 精算会では、公演のビデオをみんなで見た。
 いつもは、苦手な記録ビデオ鑑賞なのだけれど、今回、一度も見れていない場面がいくつもあるのと、自分がどんなことをしているか、どんなふうみ見えるのかとても気になるので、じっくり見せてもらった。
 楽しい時間を過ごした。感謝。
 明日は「根岸の一夜」の最後の稽古。よし、がんばろう。


2009年09月11日(金) かつらと眉

 9月11日(金)
 「根岸の一夜」稽古。
 今日からかつらが来るということで、羽二重を用意して、いつもより早めに稽古場入り。
 僕が演じる加賀川さんの頭は、戯曲の指定では「櫛巻き」なのだけれど、今回は、下げ髪。
 出家するために髪を切る場面もあるので、その仕掛けも。
 実は羽二重を自分でつけるのははじめてで、汗をかいてしまう。
 まあ、こんなもんでしょと思い切って、なんとかおさまる。
 かつらをかけて、仕掛けの部分を幇間役で共演している初月さんにセットしてもらう。
 とてもありがたい。
 稽古は今日も通し稽古。
 衣装はなしで、かつらをかけて。
 後ろに下げ髪の重さがかかるので、立ったり座ったりするときの重心が変わった。
 ラクに立てたはずが思わぬ苦労をしたり、あちこちで確認をしながら。
 二度目の通しはラスト近くでタイムオーバー。最後の断髪のシーンにはたどりつけずに終了。
 次の稽古は日曜日、メークもありにさせてもらおうと思う。
 演出の川和先生に「眉はつぶした方がいいですね」と言われる。
 たしかにそのとおり。つぶしてどう描くかか、いろいろやってみようと思いますと伝えたところ、「描かなくてもいいかもしれません」と言われる。
 おお、眉なしか・・・。どうなることやら、日曜日にいろいろ試してみようと思う。


2009年09月10日(木) 東京湾と浴衣

 9月10日(木)
 来週の火曜が初日なのだけれど、二本立ての公演なので、今日は「城」の稽古。
 ということで、今日は稽古がない日。
 ミクシィのコミュ「目劇者」のイベントで、東京湾納涼船クルーズに参加。
 竹芝から遊覧船に乗って2時間の飲み放題クルージング。浴衣着用だと1500円に割引きということで、毎日着物を着ているこの夏のしめくくりとして、浴衣で出かける。
 東京出身なもののこの手の東京湾クルーズは初体験。
 「夏のせいかしら」で共演した織江ちゃん、コミュ管理人のオジーさん、東屋さんの他、今日が初めましてのみなさんとにぎやかに、おしゃべり&飲み放題。
 海の上から見る東京の夜景がとてもきれいで印象的。高いビルの上からでもないと見ることができないきらきらした風景が、海の上からは幾重にも重なって見える。
 レインボーブリッジをくぐり、羽田に発着する飛行機のお腹を見上げて、気持ちのいい2時間だった。
 トップデッキにずっといた僕たちですが、竹芝に帰り着いて、階段を下りて行ったところ、知らない背の高い学生風のお兄さんに突然、頬を両手ではさまれ、何か言われてびっくり(何を言われたのかはおぼえてない、そのくらいびっくりした)!
 知り合いと間違えたのか、それにしても、あの大きな手の感触といい、僕がびっくりしたほどには向こうは驚いていないようで、酔っぱらってたんだろうとは思うものの、不思議な経験。
 帰りは地下鉄で。浴衣は着替えないまでも、せめて下駄をサンダルに履き替えようかと思ったものの、カランカランと音をさせるのが楽しく、そのまま大門の駅へ。
 と都営浅草線のホームで見事にすべって転倒(笑)。
 やっぱり下駄は、石造りの道で履くモノではないと反省。
 帰宅して、やっぱりパンパンになっていたふくらはぎと(下駄履きのせい)、転んだときに打ったらしい右手をあたためるために、いつもより長めの入浴。


2009年09月09日(水) 小返し稽古と公演のご案内

宗興役の根岸さんがお休みなので、小返しの稽古。
冒頭から宗興の登場までを2回繰り返し、その後、成駒屋の手代が登場する場面、そして、遊女黛の登場からラストまでを。
休憩の後、冒頭からのラストまでの流れをもう一度。
立ち稽古になっての初めての小返し稽古。
幕開きに登場する酒井家用人役の杉浦くんも今日から復帰。風邪がなおってよかった!
差し入れの「あんこおかき」(両国名物)をいただく。
今日は川和先生の奥様も稽古場に来てくださる。
ほんとに久しぶりにお話できてとてもうれしい。
声が色っぽいとほめていただいた。
帰りは、雨が降り出した。今朝は10%だったのに・・・
稽古場の稽古もあと2回。
来週の月曜には劇場入り、火曜は初日だ。
みなさまのご来場をお待ちしています。

日本近・現代秀作短編劇100本シリーズ
第29回シアターX 名作劇場「城」「根岸の一夜」

日程:2009年9月15日(火)〜20日(日)
   15日(火)19:00
   16日(水)14:00 19:00
   17日(木)14:00
   18日(金)14:00 19:00
   19日(土)14:00 19:00
   20日(日)14:00
   ※開場時間は開演の30分前

会場:両国 シアターΧ
作:島村民蔵「城」 池田大伍「根岸の一夜」
演出:川和孝
出演:松尾智昭 根岸光太郎 田口弘 関根信一 藤本 至 鈴木宏昌
   藤田隆之 初月佑維 島影昌幸 村瀬知之 杉浦 直 吉田幸矢
   関塚まいこ 山口晶代 五弓陽子 奈良井志摩 小笠原和子
   安井実生

チケット:全席自由 前売 3,000円 当日 3,500円 学生 2,000円
   シニア(65歳以上)2,800円

関根は「根岸の一夜」に出演しています。
「名月八幡祭」「西郷と豚姫」等の歌舞伎作品で有名な池田大伍の短編劇。
江戸の文人画家、酒井抱一が悠々自適の暮らしをしている根岸の草庵を舞台にした一夜の出来事。
関根は、抱一の妾、花魁あがりの加賀川という女を演じています。

ご予約お問い合わせはフライングステージ 関根までどうぞ。(割引きチケットのご用意があります)

ご来場をお待ちしていますね!


2009年09月08日(火) 乙川優三郎「麗しき花実」と妙華尼さん

稽古は休み。
図書館に行って、朝日新聞に連載中の乙川優三郎「麗しき花実」を読む。
「根岸の一夜」の主人公、酒井抱一のに僕が演じる加賀川さんも登場しているらしいと聞いて、縮刷版を手に取った。
2月からの連載なので、けっこうな量、それでも、今度、いつ来れるかわからないので、一気に読んだ。
これまであまり意識していなかったが、連載小説の欄というのは決まったページにあるのではなく、日によっていろいろなところにある。
とてもいい雰囲気の挿絵を目当てにページをめくった。
7月までの縮刷版と8月から昨日までの分の新聞から、読めるだけの分は全部読んで、閉館時間になった。
加賀川さんは、出家した後の剃髪に頭巾姿、名前も妙華尼となっている(これは「根岸の一夜」も同じ)。
吉原に通う抱一について語る場面、故郷へ帰る女主人公を送る場面での言葉、いいセリフがいっぱいだ。
ああ、こういうこと言うんだろうなというのが、とてもしっくり腑に落ちた。
この人の具体的な資料はほんとに少なくて、抱一と一緒に書いた絵と、それと没年がわかるくらい。
なので、こんなふうに小説の中の生きた人物として描かれているのを読めたのがとてもありがたい。
「根岸の一夜」での抱一への加賀川さんの思いが、前より具体的になったように思う。


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