せきねしんいちの観劇&稽古日記
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G.com「金の卵1970」千穐楽。 12時、16時開演という、僕にとってはとっても早い開演時間。 きちんと7時過ぎには起きて、選挙に行き、そのまま劇場入り。 小道具や衣装のプリセットをのんびりしていたら、衣装の足袋を忘れてきたことに気がついた。 昨日洗濯して、小物用の物干しに干したままだ。肌着や襦袢は大きな物干しにかけてたから・・・。 衣装の重盛さんに「足袋を忘れてしまったので買ってきます!」と伝えて、中野のブロードウェイに。 和装小物のお店に心当たりはないが、着物の古着屋さんがあったはず。 と、1Fのたんす屋さんで足袋を発見。たすかった。 劇場まで走ってもどったものの、全員集合の時間には少し遅れてしまう。 本番は、ビデオのカメラが入ると挨拶をしたせいか、お客様の反応が少し固かったかもしれない。 1幕2場の大事にしている裾模様を広げてかける場面、山田の親方役の岩田安生さんと、とてもきもちよくやりとりができた。 休憩時間、岩田さんからキャストスタッフ全員への差し入れのまい泉のカツサンドを、おいしくいただく。 千穐楽の舞台。無事終了。 玉枝さんともこれでさようならだ。 おつかれさまでした! 終演後、バラシのお手伝いをして、撤収。打ち上げ。 明日は午後から「根岸の一夜」の稽古なので、終電で帰る予定が、結局始発までおしゃべりしてしまう。 玉枝さんの思い出話をたくさんしたんじゃないかと思う。 ひさしぶりにたくさん話す岡田さんに、玉枝さんの参考に幸田文の写真を見たこと、着物の着こなしの勉強で青木玉「幸田文の箪笥の引き出し」を何度も読んだことなどを話した。 次は、江戸時代の花魁あがりの加賀川さんだ。
4日目、中日折り返しての後半。 マチネ。 なかなかうまくいかなかった段取りがするっとできた。うれしいなあ。 重盛さんのお知り合いで今回僕の着ている着物を提供してくれた方が見てくださったとのこと。 感想をうかがい、ありがたい気持ちになる。 終演後、化粧品を買いに外に出る。 ソワレ。 終盤の嵐の場面が、せいいっぱいな芝居になってしまう。 それまでサンダルを履いて外に出ていたのを「いいや、裸足で」と思ったことが大きいのかもしれない。 劇中の玉枝さんそのまま、なりふりかまわずなかんじに(笑)。 エピローグへの早変わりの前でぐったりしてしまい、いつも以上に着替えを手伝ってくれている重盛さん、詩野ちゃんのお世話になる。呼吸を整えて、板付き。無事終演。 劇団員の羽矢瀬くんと水月アキラ、劇団印象のまつながさん、鈴木アツトさんに御挨拶。 篠原さんとも、久しぶりにおしゃべり。 明日は、12時開演の千穐楽2ステージ。劇場入りは10時30分だ。 朝一番で選挙に行って、少し早めに一日を始めようと思う。
良い天気。 帰ってきて、夜中に洗濯した着物の肌着や足袋がきれいに乾く。 今朝は、ジーンズもさらっと乾いていた。 朝一で行こうと思っていた整骨院は、ずいぶん調子がよくなったのでやめにする。 そーっとこのままでいこうと思う。 マチネ、14時開演。 今日も楽しく終了。 稽古でできなかった段取りがふっとできるようになった瞬間がうれしい。 「次は何だっけ?」と立ち止まって考えることなく、ラストまで一気にいけた。 終演後、客席で名作劇場でご一緒する根岸さんにごあいさつ。 劇団劇作家の佐藤さん、村尾さん、東宝現代劇の菅野さんが来てくださった。 元フライングステージ劇団員のノグが楽屋に顔を出してくれた。 橋本昭博さん、田谷淳さんと以前共演しているおつきあいだそう。 うれしい感想をもらう。 マチネソワレの間の時間、空の舞台に長い時間いてみる。 装置の本棚に置いてある美術の本を開いてみた。 日本の美人画の画集、風俗図鑑、ゴッホの画集。昭和40年代の初めの出版。 ソワレ、19時開演。 これで全公演の半分が終了、気を引き締めて、それでも舞台上で楽しむことを心がける。 無事に終了。 またいろいろな発見がうれしい。 終演後、ポケットの支配人の笠原さんに声をかけていただく。 ポケットのとなりでは新しい劇場が工事中。 4つの劇場がある街角が間もなく誕生する。 どんな空間が生まれるのか今から楽しみ。 今日は、どこにも寄らずにまっすぐ帰宅。 駅までの道を泉川さんとおしゃべりしながら。 今朝まで重たかった腰がとても軽くなっている。 このまま完治ということになったらいいな。 と思っていたら、帰りの東西線を下りようとしたら席から立ち上がれない。 真っ青になって、なんとかよろよろと下りて、ホームの柱にもたれてしばらく休む。 ぎっくり腰ではない、ないはずなんだけど、なんだこの痛みは。 その後はおそるおそる家まで帰るが、さっきのような痛みはもうない。 あれはなんだったんだろう。 大事をとってお風呂に入り、早めに横になる。
2009年08月25日(火) |
場当たりと美空ひばり |
場当たり稽古に間に合うよう劇場入り。 舞台装置がすっかり建て込まれたポケットの舞台。 1970年の神田川沿いの友禅工房がそのままあるよう。 楽屋で化粧前を準備し、早速、重盛さんと着替えと早変わりの打ち合わせ。 今回の早変わり部屋は、舞台上ではなく奈落だ。 上手の袖から階段を下りてすぐのところ。広々として着替えやすい。 茜役の内海詩野ちゃんと一緒に、ここで重盛さんのお世話になる。 舞台は裏回りもきちんと養生してあって、裸足で歩いても全然大丈夫になってる。 とてもありがたい。 小道具の位置を確認した頃、予定を30分押して場当たり開始。 実寸の高さ、戸の開け閉め、声の響きなどなど、いろいろな発見がある中、どんどんここで生きている人になっていけたんじゃないだろうか。 ポケットの舞台は久しぶりだけど(3年前の「ムーンリバー」以来)、慣れ親しんだ劇場だという気がして、今回もすぐ仲良く慣れたようなかんじ。 10月末に客演する劇団印象のまつながさんが来てくれてチラシを折り込んでくれた。 1幕と2幕の間の休憩時間に御挨拶。 場当たりは9時半の撤収時間いっぱいまで。続きはまた明日。 今回の僕の髪型とメーク、「なんか見たことあるな、このおばさん・・・」と思っていたのだけれど、誰だか判明した。 髪を思い切りひっつめた「美空ひばり」だ!(もちろん髪型だけね) そう思ったら、とってもすっきりして、ああ、そういう人かと腑に落ちたような気持ち。 帰りの電車は、付け毛をはずしただけのオールバックの髪型。 去年の「襤褸と宝石」はオールバックでポマードだったなあと思い出す。 今回は、ポマード特有の匂いがない分、少し気持ちがラクだ。 帰宅して、明日のチケットの予約の電話とメールをもらう。とてもありがたい。 明日から、日曜までの8回の公演。どの回もまだまだ席の余裕はあるそうです。 ぜひご来場いただけたらと思います。
<公演情報> G.com vol.8 金の卵シリーズ最終章「金の卵1970 神田川哀歌」
日程:2009年8月26日(水)〜 8月30日(日) 26日(水)19:00 27日(木)19:00 28日(金)14:00 19:00 39日(土)14:00 19:00 30日(日)12:00 16:00
会場:ザ・ポケット 作:三浦実夫 演出:三浦剛 出演:菊池 豪 佐藤晃子 土田裕之 末吉慶子 橋本昭博 田谷 淳 内海詩野 泉川真理 家紋健太郎 用松 亮 岩田安生 古口圭介 藤田健彦 本山三火 奥田晃平 重盛玲架 佐々木誠二 関根信一 伊東達広
チケット(全席指定) 前売 3,300円 当日 3,800円 学割 2,800円
大阪万博で幕を開けた1970年。 東京の神田川沿いにある手書き友禅工房。 金の卵として上京し、苦節15年の若き友禅作家と、 アパートに同居する人々のいつもの日常。 着物に作務衣、下駄、草履。 人も、時間も、神田川も、ゆるりゆるりと流れて
ご予約お問い合わせはフライングステージ 関根までどうぞ。 こちらからも関根扱いでご予約いただけます。
劇場入りの日なのだけれど「若手以外」は仕込みのお手伝いはなしでいいと言ってもらい、家にいる。 昼間、近くの整体に行く。 どうも腰が重たい。毎年のようにぎっくり腰になっているので診てもらう。 疲れがたまっているようなので、気をつけるようにとのこと。 少しやせた方がいいとも(笑)。 中断しているダイエットを再開しないと・・・。 夕方から劇場に顔を出そうかと思っていたのだけれど、今日は一日お休みをさせてもらうことにする。 制作の奥田さんに折り込みチラシの件と一緒に一応連絡をした。 公演の案内のメールを送り、たまっている洗濯をする。 昨日、稽古場から持って帰ってきた帯や着物類を片付けたいのだけれど、重たい衣装ケースを降ろさないといけないので、今日はやめておく。 夕方、都心は嵐になったそう。うちの近くはきれいに晴れている。 ものすごい勢いで流れる川をニュースで見る。 劇中に登場する神田川のことを思う。 衣装の着物の準備。襦袢に半襟をつける。 重盛さんのアイデアでマジックテープを活用。 季節が変わるので、四季用と絽を重ねておく。 夕方、猫がやってきた。 ガラス越しに黒い影が見えたので窓を開けたら、かすれた声で鳴いた。 こいつと会うのはずいぶんひさしぶりだけど、元気にしてたんだろうか。 少しやせたような気がするのは、夏毛になっているからか。 カリカリと缶詰を両方やって、写真を撮った。
2009年08月23日(日) |
「金の卵 1970」稽古場最終日 |
ブログの更新をすっかりさぼってしまっていました。 フライングステージ公演「プライベート・アイズ」の準備やら本番やらのこの数ヶ月。 日記は書き留めてはいたのですが、ブログにアップするという「もうひとふんばり」ができずにいました。 今日から復活しようと思います。 これまでも分もさかのぼって、ぼちぼちアップしていけたらと考えています。
今、関根は、G.com公演「金の卵 1970」の稽古中です。 初日は、今週の水曜日、8月26日(水)(公演情報は、下の方にのせておきますね)。 唐突なんですが、今日の分の日記から・・
朝、買い物。付け毛を無事購入。昨夜練習した髪型に早速挑戦してみる。 メークをして通し稽古。 開始前の短い時間、伊東さんとお話する。 芝居の打ち合わせから、髪型のことやら、僕のこれまでのことなどなど。 今回、どかんとした女将さんをやらせてもらっている。 それも、伊東さんというどーんとした旦那さんの存在があるからだ。 一歩下がって控えているかんじ、軽口をたたくかんじ、などなど、どういう夫婦なんだろうと、いろいろ考えてきたのだけれど、今日、伊東さんに言われたのは、「男は結局、女房の手のひらの上で遊ばされてるようなもんだから」ということ。「お互いにそれがわかってるのが、夫婦ってもんじゃないのかな」と。 おお、そうかとぐーんと目の前が開けたような気持ち。とてもありがたい。 その後の通し稽古は、いろんなトラブルがありながらも、みんなのびのびといい芝居になっていたと思う。 僕自身もとても楽しく玉枝さんを生きた。 あんまり楽しくて、一幕の終了後に着替えを忘れて話し込んでしまい、重盛さんに「着替えじゃなかったっけ? 」と言われて、あたふたと着付けを始めた。 チェック終了後、稽古場打ち上げで、みんなで乾杯。 その後、荷物をまとめて、稽古場ばらし。 「若手以外」のキャストはお疲れ様でしたということで、お先に失礼させてもらう。 とりあえず稽古場に持って行って使わなかったもの、洗濯が必要なものなどでけっこうな荷物になった。 明日の劇場入り、仕込みは若手のみなさんがやはりやってくださるということで、夕方に入りの予定。 昼間は、整体に行っておこうと思う。去年の夏にもやったぎっくり腰がそろそろ心配だ。
<公演情報> G.com vol.8 金の卵シリーズ最終章「金の卵1970 神田川哀歌」
日程:2009年8月26日(水)〜 8月30日(日) 26日(水)19:00 27日(木)19:00 28日(金)14:00 19:00 39日(土)14:00 19:00 30日(日)12:00 16:00
会場:ザ・ポケット 作:三浦実夫 演出:三浦剛 出演:菊池 豪 佐藤晃子 土田裕之 末吉慶子 橋本昭博 田谷 淳 内海詩野 泉川真理 家紋健太郎 用松 亮 岩田安生 古口圭介 藤田健彦 本山三火 奥田晃平 重盛玲架 佐々木誠二 関根信一 伊東達広
チケット(全席指定) 前売 3,300円 当日 3,800円 学割 2,800円
1970年の東京新宿、神田川沿い江戸友禅工房を舞台にした群像劇。 関根は、工房を切り盛りする肝っ玉母さんを演じています。
ご予約お問い合わせはフライングステージ 関根までどうぞ。 こちらからも関根扱いでご予約いただけます。 ご来場をお待ちしていますね!
「稽古場日誌」に関根が登場しています。どうぞご覧ください。
夜、N.G.A. 4th Attack! 子ども創作劇 「世界をかえろ!〜色のない空の下で〜」を見に、武蔵野芸能劇場へ。 富士見丘小学校の去年の卒業生、仁比祥太くんが、オムニバスのうちの一本を作・演出、出演している。 開演前に去年の卒業生、イナバさん、クロセくんに会う。久しぶりなクロセくんは、背が伸びてすらっとした印象。 午後、富士見丘小学校での近藤芳正さんによるワークショップのあとの平田さんと合流。ワークショップに参加していた、去年の卒業生カラサワくんの4年生になる妹さんとお母さんにご挨拶。 この出演は4歳から中学生までの子どもたち。作・演出も子供たち。5つの作品のオムニバスの最後の一本が仁比くんの作演出によるもの。 お話は、不思議な本の力で異世界にタイムスリップしてしまった子供たち。そこの世界は、「感動してはいけない」というきまりがあり、人前で笑ったり泣いたりすると罰せられてしまう。 現代からやって来た子供たちは、町の広場で演劇を上演することにする・・・という枠組み。 この枠の中で、演じられるオムニバス。なかなかおもしろかった。 初めの4本「異世界劇団カンパーナ」「あいつのハートを射止めろ作戦開始!」「OUT OVER」「三百円事件」、どれもなかなかおもしろい。子どもらしい発想が素直な芝居になっている。 演じている子供たちの年齢差が役柄にそのまま反映していないので、ものすごく年齢差のありそうなクラスメイトとかが当たり前に登場する。身長差も当然あるので、見ていると、不思議な感覚。 子どもらしいなあと思っていたら、最後の仁比くんの作品「いのちのたび」でびっくりした。 冒頭、一人の子どもが「いやだ、いやだ、ぜったいにいやだ!」と叫んでいる。なんだかよくわからないのだけれど、そのうち、交通事故で死んだ彼が死ぬのはいやだ!と言っているのだということがわかってくる。この導入のうまさ。演じている子(後から聞いたら5年生だとのこと。小柄なのでもっと幼いのかと思った)の演技、言葉のまっすぐさに圧倒される。 そして、彼(カイトという役)は、天使に会い、天国へ行くのを拒んで、同じように天国に行けないでいる仲間の所へ行くことになる。 この仲間というのは船を操っている、嵐に出会い、みんなで力を合わせたりしているうちに、友情が芽生える。 この設定もうまい。言ってみれば成仏できない幽霊たちが、船に乗っているというだけでなく、嵐に出会うというのもおもしろい。そして、船を操る彼らの芝居のいきいきとしていることといったら。 カイトは一人一人から、身の上話を聞く。なぜ死んだのか、一人一人の理由。ここで、作演出の仁比くんはリューという役で、戦争で家族を殺された男を渋く演じていた。 地上では、カイトのガールフレンドが自殺をはかり、船にやってくる。カイトは、彼女に「ここはお前のくるところじゃない」と冷たく言う。それでも・・と食い下がる彼女。このシーンは、なんだかすごいラブシーンだった。小柄なカイトと大柄な(たぶん高学年or中学生)な彼女のやりとりは、魔法にかけられて子どもになってしまった若者のように見えてきた。 説得されて彼女は生き返り、カイトもまた天国へ向かうことを決心する。 いいセリフがたくさんで、きっちり伝わる言葉がいっぱいで、ただだまっているだけの人物もみんな生き生きとその場を生きていて、ほんとうにすばらしかった。 子どもがやっているということが、なんの言い訳にもなっていない、すばらしい舞台だった。いっぱい泣かされた。 そして、この芝居を書いて演出した仁比くんの中にある芝居のセンスがとてもうれしかった。なんでこんなに芝居っていうものを知ってるんだろう?とびっくりしながら、富士見丘小の演劇授業がこんなふうに彼の中に息づいているのだということに感動した。 終演後、仁比くんに挨拶。お疲れ様でした! その後、平田さん、仁比くんのお父さんと三人で、仁比くんが出演している映画を見に渋谷まで出る。 今日が上映会だというのは聞いていたものの、ソワレの舞台を見たら間に合わないとあきらめていた。それが、21時15分開映とのことなので、急遽、ご一緒させてもらうことにした。 えんぶゼミの卒業制作映画「ひととき」渋谷シアターTSUTAYA 監督:石渡彩人 「中学二年の隼人は、英語の教師・優子に恋をしていた。ただ優子を見ていることが幸せだったが、そんなひとときの幸せもだんだんと崩れていき・・・」(公式サイトより) ひたすら先生が好きで、体育館での部活の様子をのぞき見したり、授業中、ビデオを隠し撮りしたりしてる中学二年生の学ラン姿の仁比くん。 小テストでカンニングをしたのがばれてしまい、かばんの中に隠していたビデオが見つかり、何を撮影していたかも知られてしまう。優子の「きもちわるい」という言葉に対して、泣くのではなく、薄く笑うラストが印象的だった。 平田さんと遅い夕食をご一緒しながら、今日は仁比くんの日だったねと言い合う。舞台も映画もとてもおもしろかった。まだ中学1年の彼がこれからどうなっていくのか、とても楽しみだ。 富士見中の演劇部での活動、がんばってほしいと思う。
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