せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2008年11月05日(水) |
「贋作・大奥2 ATSUHIME」顔合わせ |
というか、最初の稽古。 台本がまだ完成しないので、今日は、配役と歌ってもらう歌の確認。 gaku-GAY-kaiのいつものメンバー、アルピーナさん、エスムラルダさん、永山くん、モの字さん、マヤ吉さん、ヤケ太さんに、「新・こころ」以来のノイノイこと柳内さん、えんちゃんこと遠藤くん、初めましての大塚零さん、そして、フライングステージのマミィともっちゃん。大人数。そして、なんだか豪華。 gaku-GAY-kaiはフライングステージの本公演以上に、いろんな人とわいわいやるおもしろさがある。今回もとても楽しみ。 帰宅してから、マヤ吉さんの役どころと、エスムラルダさんの歌の変更をメールする。 一人で考えていても浮かばないアイデアが、みんなと話していると当たり前のように生まれてくる。そのおもしろさを栄養にして、今回も走っていこう。
2008年11月04日(火) |
わらび座「火の鳥 鳳凰編」 |
いただいたチケットで、わらび座公演「火の鳥 鳳凰編」を観に、シアター1010へ。 手塚治虫の原作をうまくまとめて、1時間50分のミュージカルにしてある。 なんとなくもう少しシリアスなものをイメージしていたので、キャラクターの造形というか、遊びのような部分が気になりながら、それでも、全編をおもしろく見た。 歌は、歌詞がまず先にあったようなかんじで、メロディよりも詞が聞こえてくるような印象。 役者さんは、みんな歌がうまくて、安心して聞いていられるのだけれど。 片腕の盗賊、我王に利き腕を傷つけられた仏師の茜丸。我王も後に仏師となって、茜丸と東大寺大仏殿の鬼瓦を競作することになる。 被害者だったはずの茜丸がどんどん邪悪な心に染まっていく過程、そして、悪人だったはずの我王の中に芽生えた思いの対比が鮮やかだ。 終盤、競作には勝ったものの、茜丸に「自分の腕を傷つけた盗賊は我王だ」と帝に告げられた我王は、もう一本の腕も切り落とされてしまう。残酷な結末。 地に倒れて、苦しむ我王の姿が、なんともいえない迫力だった。
その後、越谷の母親のところへ。 トイプードルとネコ二匹とうさぎがいる大所帯。 久しぶりに会ったうちのネコを抱き上げる。 近所の野良猫たちとは違う、どっしりとした重さ。 誰にもできないからと、ネコの爪を切る。 駅まで妹に車で送ってもらい、車中であれこれ話す。 帰ったというよりも、寄らせてもらったというような気持ち。 でも、遠さは感じない。 今度、会うのは暮れかお正月か。どっちだろう。
早稲田大学公認セクシュアルマイノリティサークル「GLOW」の演劇公演「海の告白」を見に行く。早稲田祭でのイベント。 大学のセクシュアルマイノリティサークルに所属する男の子が、サークルの面々と一緒に鹿児島の実家(海が近い)に夏休み帰省する。 彼には、そこで一人暮らしている母親に、自分がゲイだとカミングアウトするという計画があった。 一人だと言えないけど、みんなと一緒だと言えそうな気がして・・・というセリフが、とてもリアルに思えた。 回想シーン、カラオケボックスのシーン。となりの部屋のノンケの友達にゲイだということがばれてしまい、しかたなくカミングアウトする、主人公の友人の姿も描かれる。カミングアウトされたノンケの友達は、彼を受け入れずに去っていく。 後半、多くの人物が登場して、それぞれの思いを語る場面がある。 カミングアウトのむずかしさ、孤独をかみしめるつらさなどなど。彼ら自身の言葉が、しっかりとした強さを持って語られる。 それは、まるでフライングステージを旗揚げしたばかりの自分の姿を見ているようだった。 自分たちはゲイだと言って、舞台に立つことの重さ。その重さを彼らも引き受けているんだということが、とてもよくわかった。 実を言うと、21世紀を生きる現役大学生の彼らは、セクシュアルマイノリティである自分をもっと軽やかに、当たり前のように受け入れているんじゃないかと、勝手に想像していた。 大間違いだった。世の中がどんなに変わっても、変わったように見えても、一人一人が向き合う自分との問題は、そうそう変わるもんじゃないんだ。 主人公の母親へのカミングアウトはうまくいくのか。文字通り手に汗をにぎってドキドキしながら見守った。 その場面で、母親と向き合った主人公が、話し始めた途端に声をつまらせた。涙ぐんでいる。芝居なのに。セリフなのに。演技で揺れている心ではなく、ほんとうに動いている心と体がそこにあった。そして、その場面は、「母さん、実は・・・」というセリフで暗転した。どうなったんだろうか? 観客の一人一人に考えることをゆだねた、いい結末だと思った。 彼らは演劇に取り組むのは初めてなのだそうだ。それでも、冒頭のダンスシーンや、カラオケボックスでの歌(「天城越え」!)も、とってもレベルの高いちゃんとしたものだった。 終演後、客席で、抱き合って涙ぐんでいる出演者が何人もいた。 今日、一回だけの公演。何度も再演してもらいたい、いい舞台だったと思うけれど、きっとむずかしいだろうなと思う。 見ることができたことに感謝。今の僕が、この舞台を見ることができたことに感謝。 他のどんな舞台からももらえない、大切な何かを、手渡してもらった、そんな気がした。 フライングステージの旗揚げ公演は、16年前のちょうど今日だ。
2008年11月01日(土) |
鹿殺し「電車は血で走る」 |
青山円形劇場をどう使うんだろうと思っていたら、電車の線路を意味する白い線が円形の舞台のぐるりに描いてある。 電車は鼓笛隊というか楽団の行進だ。 もうこのアイデアだけでいいなあと思ってしまう。 実際にあった電車事故をモチーフに、関西のとってもローカルな地域の空気が円形劇場の空間にひろがっていた。 実は事故で死んでしまった女の子(チョビちゃん)へのほのかな思いを抱えたとってもナイーブな青年が丸尾丸さん。 このほのかさというか、ピュアなかんじが、なんともいえない。 劇中で繰り広げられる工務店のアマチュア劇団「宝塚奇人歌劇団」の歌詞には、「ファック」という言葉が思い切り登場するのだけれど、その荒々しさとピュアなかんじが、当たり前のように共存しているのが感動的だ。 死んだ娘を思っていつまでも電車を走らせている母親(傳田うに嬢)は、ヒゲをつけて駅長としても登場する。ヒールの靴にヒゲというアンバランスがおかしくて笑っていたら、最後にほろりとさせられてしまった。 つかこうへいの「熱海殺人事件」を新感線ばりのボリュームのある衣装とロックで突っ走る劇中劇が、鹿殺しの原点なんだろうなあと思って、おもしろく見ていた。 終演後、一緒になったしいたけをさんと楽屋でみなさんにご挨拶。 劇団というものが本来持っているはずの一体感や熱のようなものが、しっかり感じられたのが、ひとごとながら、とてもうれしい公演だった。
篠原さんと新宿で打ち合わせ。 富士見丘小学校の卒業公演の台本のプロットについて。 子どもたちが書いてきた作文を元に、今年もまた一本の芝居を立ち上げていく。 お互いに考えてきたいろいろを言葉にして伝えていくなかで、また新しい発見がある。 大筋を決めて、今年は基本的に篠原さんが台本を書き、僕が演出という分担なので、それを踏まえての次回の授業までのスケジュールの確認。それぞれへの宿題も。 プロットの打ち合わせの後、芝居についてのおしゃべりもひとしきり。 最近見た舞台のことや、これからのこと。僕も、新作「ジェラシー」のことを話させてもらう。相談というのではないけれど、話しながら、新たな発見があるのはこちらも同じ。 これから来年の2月まで、gaku-GAY-kai、「ミッシング・ハーフ」「ジェラシー」、そして富士見丘小学校の卒業公演と、作家として仕事が続く。いっぱいいっぱいにならないよう、一つずつきっちり進めていかないと。帰りの電車の中、スケジュール表を確認する。
先週、ベランダのゴミ袋を荒らされて以来、毎日、ネコのエサを小皿にのせて出かけている。 帰ってきても、そのままな時もあるのだけれど、夜遅くふとのぞいてみると、空っぽになっている。 いつ来たのか、まったくわからない。あのネコが来ているのかどうかも、わからない。 別につかまえてやろうなどとは思わないのだけれど、ちょっと張り合いがないことはたしか。 なんとか姿が見てみたい。どうしたもんだろうか。
中野のレズビアンと女性のためのコミュニティスペース「LOUD」へ、友人のミゾグチさん主催のパーティにうかがう。 パートナーとの21周年(!)と、ミゾグチさんの博士号取得のお祝い、そして、来年の4月に移転しなくてはいけない「LOUD」へのファンドレイジングもかねてとのこと。 久しぶりにうかがった「LOUD」。フライングステージも、以前、運営していた「TOGETHER」というグループも、とてもお世話になった。当時、そうあちこちにはなかった、軽印刷機がここにはあって、よく印刷をさせてもらった。パーティも何度か企画した。フライングステージの公演情報も毎回、「LOUD」の機関誌に載せてもらっている。 マンションの大家さんの都合で、移転しなくてはいけないのだそうだ。 広くはない室内が、人でいっぱい。ミゾさんにご挨拶。知り合いの何人かにも。今日もまたなつかしい、久しぶりな人たちに会えた。
買い物がてらの回り道、この間は先を越されてしまった二匹のネコたちにまた会う。 今日は、エサをやってみる。写真も撮った。 いつも一緒にいる二匹だけれど、仲良しではないのかもしれない。 黒い方は首輪をしている。飼い猫らしい。 茶トラは、目が少し赤い。病気なんだろうか。 頭をなでさせてもらう。茶トラは抱き上げることもできた。 ひさしぶりな生き物の重さ。
友人のマツウラくんの個展のオープニングパーティにうかがう。 久しぶりに来た天王洲。 運河沿いの道はまっくらで、ちょっと道に迷う。 真っ白な会場の中で、鮮やかな作品が生き生きと輝いている。 マツウラくんにご挨拶。ちょっと痩せたんじゃない?というかんじが、ますますアーチストなかんじ。 以前の個展は見逃してしまったので、ひさしぶりに彼の作品をたくさん見ることができてとてもうれしかった。 国内だけでにとどまらない彼の活躍も友人としてとてもうれしい。 いつもの平面の作品だけでなく、今回は立体が多くあるのが新しい。 ソフビの人形。ノリタケの陶器になっているものなどなど。 アルピーナさん、ジャスミンさんをはじめ、ひさしぶりな友人たちと会えたのもうれしかった。 ジャスミンさんは、デリーチェさんと二人で颯爽としたドラァグクィーン姿。かっこいい。 このあいだ、ばったり会った大ちゃんは、奥さんと子ども連れで来ていた。 優一郎くんは、長い髪をきれいに結んだ女の子の拵え。親の趣味なの?と尋ねたら、彼が自分でやりたがるんだそうで、髪をまとめているのはお気に入りのゴムなんだと教えてくれた。 個展は今月いっぱいまで開催とのこと。 くわしくはこちらをごらんください。
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